ドローンを使った、地上基準点 (GCP) なしで測量レベルの精度を実現する方法

ドローン カメラがとらえた地上基準点 (GCP)

ドローンを使って写真からのデータによる測量で高精度を得るには、通常、地上基準点 (GCP) の配置が必要となります。GCP には、ドローンの飛行前に配置される人工のターゲット (大きな十文字など) か、(トータルステーションや RTK GPS などの) 高精度な計測機器で測量した自然のフィーチャーがあります。

ドローンを使って、全域において 2 cm から 4 cm の高精度の測量を実現するには、通常 10 個以上の GCP が必要となります。GCP を測量全域に配置し、実際の測量作業後に除去する方法は、手間もコストもかかります。GCP の必要性を軽減できれば、その両方を節約することができます。

どうすれば GCP の数を減らすか、または完全に取り除くことができるでしょうか。そのカギは、飛行中、または写真撮影中のドローンの位置情報を高精度で把握することにあります。たいていのドローンにはナビゲーション用 GPS (および IMU と気圧高度計) が組み込まれていますが、位置情報 (特に絶対的な意味合いで) はそれほど正確ではありません。GPS や位置データを搭載した最新のドローンを使った写真ベースの測量はおおよそのところ正確で、相対精度は適正であるといえますが、絶対精度に関しては 5 m から 10 m となります。一方、撮影時のドローンの位置を高精度で把握できていれば、測量精度を大幅に向上することが可能となります。

これを行うには、ドローンの GPS/GNSS 受信機の差動法を利用します。リアルタイム キネマティック (RTK) GNSS および後処理キネマティック (PPK) GNSS が使用できますが、この場合においてはリアルタイムの位置情報は必須ではないため、無線リンクを必要とせず、RTK より信頼性が高く、より遠距離でも機能する PPK の方が優れているといえます。さらに、小さな GNSS 受信機ではなく、オフィスに戻ってからコンピューターを使って処理ができるため、PPK 処理能力が向上します。

ドローンのカメラの上に取り付けられた PPK 受信機 (黒いアンテナの付いた白いボックス)

PhotoModeler UAS には新しい *PPK システム モジュールが組み込まれているため、GCP を削減または完全に排除することができます。ドローンを使った高精度の測量によるコストと時間の削減を想像してみてください。PhotoModeler UAS の PPK システムは、Klau Geomatics 社の PPK システムのデータを使用しています。この PPK システムは、ドローンに取り付ける軽量でクオリティの高い GNSS 受信機と、ベース ステーション (Klau Geomatics 社の販売している別のユニットか独自の GNSS リファレンス ステーション、または CORS) で構成されています。ドローンの飛行後、ドローン カメラの写真、PPK ユニットからのデータ、およびベース ステーションからのデータを PhotoModeler UAS に読み込み、処理します。結果として、点群、高密度メッシュ、コンター、3D ファイルのエクスポート、オルソ画像などの形式で、非常に精度の高い地上測量が実現します。

ここでは、KG 社の PPK ユニットを使用し、PhotoModeler UAS で処理を行った実際のテスト結果を紹介しています。このテストの目的は、GCP を使用しない場合の測量の精度を確認することでした。まず、カメラとシステムのキャリブレーションを行いました。PPK のカメラの位置データだけを外部入力として使用し、GCP を使うことなくプロジェクトを開始しました。また、チェック ポイントとしてのみ使用するために GCP をインポートしました。GCP はデータ処理後にインポートされ、データの調整や処理には影響しませんでしたが、算出された 3D ロケーションを外部データとチェックとして比較することができました。GCP は写真上でマークされ、PhotoModeler UAS が (事前に算出されたカメラの位置とカメラのキャリブレーションだけを使用して) 3D ロケーションを算出し、レポートが生成されました。

9 個の GCP を確認した結果は次のようになりました。

RMS エラーは、偏北距離および偏東距離は約 2 cm、標高については 6 cm に収まっていました。GCP を使用することなく、ここまで高精度の測量を実現することができました。 標高値については、必要に応じて GCP を 1 つか 2 つ使用することによってさらに誤差を縮めることが可能であると思われます (これには着陸後のドローンを使用することもできます)。このプロジェクトに関して PhotoModeler UAS が生成した PPK の PDF レポートのリンクはこちら。


*(2018 年 6 月現在) 現行バージョンの PhotoModeler UAS には埋め込みの PPK モジュールは含まれていませんが、多くの主要な PPK / RTK ベンダーのデータを読み込んで、最小限の GCP で高精度の測量が可能です。

注: 2018 年 12 月より、エクセルソフトは、PhotoModeler Technologies 社によるフォトグラメトリ ツールの新製品 PhotoModeler Premium の販売を開始しました。また、新製品のリリースをもって、これまでの PhotoModeler Scanner および PhotoModeler UAS 製品は終息となりましたのでどうぞご了承ください。

PhotoModeler の製品概要、価格、およびライセンス体系などについては、こちらを参照してください。

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記事参照:
2016 年 11 月 8 日
©Copyright 2018 PhotoModeler Technologies
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