Docker は、開発者エクスペリエンスを簡素化し、企業が安全かつ効率的に拡張できるようにすることに注力しています。Docker Desktop 4.38 リリースにより、開発者の生産性と企業のガバナンスの向上を期待できます。
ビルド パフォーマンスとマルチノード Kubernetes テストを最適化してチームの「シフト レフト」を支援する強力な機能である Bake の一般提供を開始しました。また、運用効率を高めるために設計されたいくつかのエンタープライズ機能の提供範囲も拡大しています。そして最後に、Docker AI Agent (旧 Project: Agent Gordon) がベータ版となり、Docker CLI、デスクトップ、ハブ全体でインテリジェントなリアルタイムの Docker 関連の提案を提供します。これは、Docker の概念理解やエラー修正、生産性向上に役立ちます。

Docker の AI Agent が開発者の生産性を向上
Docker AI Agent (別名 Project: Agent Gordon) は、Docker スイートにシームレスに統合された、組み込みのコンテキスト認識アシスタントです。Docker Desktop と CLI で利用できるこの革新的なエージェントは、コンテナー管理や Docker 固有のトラブルシューティングなどのタスクに対して、リアルタイムでカスタマイズされたガイダンスを提供し、中断を伴うコンテキストの切り替えを排除します。Docker AI Agent は、Docker に関するあらゆる概念やテクノロジに対応できます。Docker の使い始めから、Dockerfile や Compose ファイルの最適化、Docker テクノロジの理解まで、幅広く活用できます。開発者が直面する課題に正確に対処することで、Docker AI Agent はよりスムーズで生産性の高いワークフローを実現します。
Docker の AI エージェントの最初のバージョンは、サインインして Docker Desktop を利用しているユーザー向けにベータ版として利用可能になりました。エージェントはデフォルトで無効になっているため、有効化が必要です。Docker の新しい AI Agent と、それを使用して開発者の速度を加速する方法の詳細については、こちらをご覧ください。

Docker Bake でビルド構成を簡素化し、パフォーマンスを向上
Docker Bake は、Docker ビルドを簡素化および高速化するオーケストレーション ツールです。実験的にリリースされましたが、Docker Desktop 4.38 リリースで、本機能の一般提供を開始しました。
Dockerfile はビルド手順を定義するのに便利ですが、さまざまなオプションや引数を指定しながら docker build
コマンドを使いこなす必要があり、手間がかかる上にミスも発生しやすいのが現状です。Bake は、すべてのオプションやイメージの依存関係 (ターゲットとも呼ばれる) を 1 つの宣言型ファイルにまとめることで、この問題を解決します。これにより、毎回フラグを指定する必要がなくなります。さらに、Bake は並列処理や重複排除を活用し、より高速で効率的なビルドを実現します。
Docker Bakeの主な利点
- シンプルさ: 複雑なビルド構成を 1 つのシンプルなコマンドに抽象化します。
- 柔軟性: カスタム関数、マトリックスなどをサポートし、宣言型の構文でビルド構成を記述します。
- 一貫性: チーム全体でビルド構成を簡単に共有および維持します。
- パフォーマンス: Bake は複数のイメージのワークフローを並列化し、より高速で効率的なビルドを可能にします。
Bake を Compose ファイルに直接統合することで、マルチサービス ビルドを簡素化できます。Bake は Compose ファイルをネイティブにサポートします。これにより、共有構成を使用して、単一のリポジトリから複数のイメージを簡単かつ効率的にビルドできます。さらに、ローカルおよび CI で Docker Build Cloud とシームレスに連携します。Bake に最適化されたビルドを基盤として、より効率的な Docker Build Cloud のパフォーマンスと、より高速なビルドを実現できます。
ビルド構成の合理化、パフォーマンスの向上、Bake を使用したチーム ワークフローの改善の詳細については、こちらをご覧ください。
Docker Desktop でのマルチノード Kubernetes テストによるシフトレフト
今日の複雑な本番環境では、「シフトレフト」がこれまで以上に重要になっています。開発サイクルの早い段階で問題に対処することで、コストを削減し、修正を簡単にし、より効率的なワークフローと優れた成果につながります。そのため、Docker は、開発者の作業ループに直接フィードバックを統合できるよう、新機能や改善を継続的に提供しています。
Docker Desktop にマルチノード Kubernetes の統合機能が追加され、開発者のマシン上でより簡単かつ広範なテストが可能になりました。
シングルノード クラスターはアプリのデプロイを素早く確認するのに適していますが、分散システム特有の複雑で予測不能な問題への対処や耐障害性のテストには不十分です。
この課題を解決するため、軽量かつ高速で使いやすいローカルテストおよびマルチノード クラスター シミュレーション向けのソリューションである「kind」を採用し、Kubernetes ディストリビューションをアップデートしました。

主な利点:
- マルチノード クラスターのサポート: より現実的な運用環境を複製して、ノード アフィニティ、フェイルオーバー、ネットワーク構成などの重要な機能をテストします。
- 複数の Kubernetes バージョン: 移行パスの検証に必須である、さまざまな Kubernetes バージョン間で簡単にテストできます。
- 最新のメンテナンス: kind は継続的にメンテナンスされているオープンソース プロジェクトであるため、次の Docker Desktop リリースを待たずに、オンデマンドで最新バージョンに更新できます。
ローカル テストとシミュレーションにマルチノード Kubernetes クラスターを使用する方法については、ドキュメントをご覧ください。
Docker Business サブスクリプションの管理機能の一般提供開始
Docker Desktop 4.36 リリースでは、管理を効率化し、セキュリティを強化し、運用効率を向上させる Beta 版のエンタープライズ管理ツールを導入しました。早期アクセス プログラムでは非常に好評をいただいています。
例えば、macOS の構成ファイルを使用したサインインの強制や、複数の組織にまたがる認証の適用により、大規模企業における展開がより柔軟で簡単になります。さらに、PKG インストーラーを使用することで、macOS 向け Docker Desktop の大規模導入が容易になり、DMG ファイルを PKG に変換する手間が不要になります。
現在、以下の機能がすべての Docker Business ユーザーに提供されます。
今後も Docker はエンタープライズ管理機能の拡充に取り組んでいきます。今後の発表にご期待ください!
まとめ
Docker Desktop 4.38 では、開発者の体験を簡素化しつつ、企業向けに強力なツールを提供するという取り組みをさらに強化しました。
Bake の一般提供 (GA) により、複雑なビルド構成を 1 つのコマンドで簡単に管理できるようになりました。新しい Docker AI エージェントは、開発者が使い慣れた Docker ツール内でリアルタイムのガイダンスを提供します。さらに、Docker Desktop のマルチノード Kubernetes テスト機能を活用すれば、本番環境に近い環境を再現し、開発サイクルの早い段階で問題を特定、解決できます。加えて、新しい管理ツールをすべての Business ユーザー向けに提供し、導入、管理、監視をよりシンプルにしました。
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*本記事は、Docker 社が提供している以下の記事から抜粋・転載したものです。
Docker Desktop 4.38: New AI Agent, Multi-Node Kubernetes, and Bake in GA
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