全米で展開するプライベート航空会社の Jet Link では、ジェット機の整備からパイロットの飛行手順、客室乗務員やコンシェルジュ サービスに至るまで、さまざまな Web および印刷ベースの文書を作成しており、その多くは、アメリカ連邦航空局 (FAA) の承認を必要とします。
Jet Linx が、MadCap Flare のシングルソース オーサリング機能とマルチチャネル パブリッシング機能を活用して、同社の業務を支える重要なコンテンツを Apple iPad、携帯電話、デスクトップからアクセスできるレスポンシブな HTML5 形式と、FAA 準拠の PDF 形式の両方で作成し、マニュアル作成時間を 2~3 週間から 3 日に短縮した事例を紹介します。
導入目的
- Jet Linx の従業員が Web およびモバイル デバイスでマニュアルに簡単にアクセスできるようにする。
- 従業員が必要な情報をすぐに見つけられる、直感的でモダンな Web エクスペリエンスを構築する。
- アメリカ連邦航空局 (FAA) の規制変更や更新にすばやく対応できるようにする。
- Jet Linx の担当者と対象分野の専門家 (SME) の双方がコンテンツを簡単に作成できるようにする。
導入効果
いつでも、どこでもアクセス可能に: MadCap Flare のマルチチャネル パブリッシングとレスポンシブ デザインを活用することで、Jet Linx のパイロット、フライト コンシェルジュ、整備士は、携帯電話、Apple iPad、Web ブラウザーから業務マニュアルにアクセスできるようになりました。
モダンな Web エクスペリエンスの実現: MadCap Flare と Capture を活用し、検索機能、関連資料へのハイパーリンク、図などを含む、操作しやすいデジタル ライブラリを提供できるようになりました。
FAA コンプライアンスへの対応: MadCap Flare のトピックベース オーサリング、マルチチャネル パブリッシング、検索/置換機能、目次 (TOC) により、Jet Linx は FAA 準拠のオンラインおよび PDF 形式のマニュアル作成時間を 2〜3 週間から 3 日に短縮しました。
コンテンツ作成の効率化: MadCap Flare のコンテンツ再利用、Microsoft Word ファイルのインポート、テンプレート機能により、SME は使い慣れたソフトウェアで作業でき、コンテンツ作成者は新しいマニュアルを迅速に作成できるようになりました。これにより、MRO (保守、修理、点検) 事業部門向けの完全なライブラリをわずか 4 日で完成させることができました。
監査への対応: MadCap Flare と Git の連携によるバージョン管理により、Jet Linx はヘルプ Web サイトのバージョンを簡単に追跡および文書化し、規制要件や監査に対応できるようになりました。
導入した MadCap Software のソリューション & サービス
卓越した顧客体験と最高の安全慣行を中核とし、全米でパーソナライズされたプライベート ジェット旅行を提供する Jet Linx に近道はありません。2019 年、同社は機内体験における比類ないサービス水準が評価され、プライベート航空会社として世界で唯一、フォーブス トラベル ガイドの 5 つ星認定を受けました。Jet Linx はまた、IS-BAO (ビジネス航空機運航に関する国際的な安全基準) Stage 3、ARGUS プラチナ、Wyvern Wingman の安全評価も取得しており、これは世界の全航空機運航会社のうち 1% 未満しか達成していない偉業です。
Jet Linx のファーストクラス体験への取り組みは、ジェット機の整備からパイロットの飛行手順、客室乗務員やコンシェルジュ サービスに至るまで、同社の運航の大部分で作成される Web および印刷ベースの文書にも及び、その多くは、アメリカ連邦航空局 (FAA) の承認を必要とします。現在、Jet Linx は、MadCap Flare のシングルソース オーサリング機能とマルチチャネル パブリッシング機能を活用して、この重要なコンテンツを Apple iPad、携帯電話、デスクトップからアクセスできるレスポンシブな HTML5 形式で配信し、PDF をバックアップとして利用しています。
航空業界の文書作成を現代化
1999 年に設立された Jet Linx は、約 110 機の航空機の運航、乗客、整備を管理するエンドツーエンドのプライベート ジェット企業です。長年、同社は業界の慣例に従い、連邦政府の規制対象となるコンテンツを Microsoft Word で作成し、PDF ファイルとして公開していました。しかし、運用の最適化を目指し、Jet Linx は文書作成のアプローチを現代化したいと考えていました。
当初、同社は航空業界向けに特化した一般的な XML コンテンツ作成ツールを導入しました。しかし、このツールはコストが高く、複雑な上に、Jet Linx の増大するニーズに対応できるほど迅速にコンテンツを作成することができませんでした。残された多数のマニュアルを検討した結果、この業界特有のツールを使用することは持続可能なアプローチではないことが明らかになりました。
「Flare のおかげで、FAA のあらゆる規制と、FAA が文書作成に求める要素に対応した専用テンプレートをすぐに構築することができました。同時に、PDF や印刷物から可能な限り HTML オンラインへと移行したいと考えていました。Flare を使うことで、その目標を達成することができました」と Jet Linx の出版担当ディレクター兼事業継続計画コーディネーターである Chris Bradley 氏は振り返っています。

20 以上の一般業務マニュアルの主要オンライン リソースとなっています。
現在、Jet Linx のデジタル ライブラリは、従業員約 500 名の主要なオンライン リソースとして利用されています。このライブラリには、アメリカ連邦航空局 (FAA) が義務付けている 100 以上の航空機マニュアルに加え、20 の一般業務マニュアル、その他のガイド、トレーニング資料、その他の文書が含まれています。
MadCap Flare で作成したレスポンシブな Web サイトは、検索やナビゲーションが容易な HTML5 コンテンツとして情報を提供します。必要に応じて、PDF ファイル形式でダウンロードすることも可能です。
「私たちは Flare の HTML5 プロジェクトをコンテンツ管理ポータルとして使用しており、誰もがライブラリ全体にアクセスできます。これは素晴らしい機能です」と Chris 氏は述べています。
どこからでもアクセス可能なモバイル コンテンツ配信
Jet Linx の 300名以上の従業員、特に運航、整備、および顧客サービス担当者は、業務マニュアルやその他のコンテンツに携帯電話や会社支給の Apple iPad からアクセスする必要があります。たとえば、同社のフライト コンシェルジュ チームは、MadCap Flare で作成されたトレーニング マニュアルを Apple iPhone でのみ使用しています。
「安全は当社の最優先事項であり、必要なときに、必要な情報にすぐにアクセスできることは非常に重要です。Flare を使用して配信されるマニュアルは、ビルへの入館方法に関するセキュリティ マニュアルから、パイロットの飛行前チェックリスト、フライト コンシェルジュの業務、飛行機の整備マニュアルなど多岐にわたります」と Chris 氏は述べています。
「フライト コンシェルジュの職務においては、研修資料やクイック リファレンス カードへのアクセスしやすさが非常に重要です。しかし、フライト コンシェルジュ チームは常に移動しています。デジタル ライブラリを導入し、各自の携帯電話からマニュアルを確認できるようにしたことで、フライト コンシェルジュの業務に大きな変革をもたらしました」と Jet Linx のシニア コンシェルジュ トレーナーである Carla White 氏は説明します。
一方、Jet Linx のパイロットは iPad を使用して、MadCap Flare から提供されるマニュアルに加えて、ForeFlight 統合フライト アプリケーションにアクセスしています。これらすべてが、パイロットとフライト コンシェルジュにモダンなモバイル体験を提供しています。
「この 1 年半の間に、モバイル ユーザー向けにページ レイアウトを調整するため多くの作業を行い、これまでにないほどモバイル分野でのテストと改良を重ねてきましたが、MadCap Flare を使うことで、信じられないほど簡単で直感的に行うことができました」と Chris 氏は述べています。
情報へのアクセスを簡素化
Jet Linx は、オンラインでの容易なアクセスと、FAA (アメリカ連邦航空局) の公式承認を得た Word または PDF 文書という要件との両立を図らなければなりません。同社は、マニュアルを Web コンテンツとして提供し、ユーザーが必要な情報を見つけやすいようにサイド ナビゲーション機能を搭載することで、この課題に対応しています。ユーザーは必要に応じて、FAA 承認済みの PDF をダウンロードできます。
「航空マニュアルは単独で存在するものではありません。通常、さまざまな付随資料や通達、その他の手順や情報を参照しています。Flare を使って Web ページを作成し、マニュアルに含まれる通達、フォーム、その他の付随資料を一箇所にまとめ、従業員が必要なものをすべて入手できるようにしました」と Chris 氏は説明します。
Jet Linx は、デジタル ライブラリの Web ページに MadCap Flare に同梱の最新の HTML5 テンプレートを使用し、グラフィックとスキンを追加することで、外観や操作性を同社の Web サイトと統一しています。また、MadCap Flare のドロップダウン メニューとすぐに使える検索機能を活用して、従業員がオンライン マニュアルを素早く操作できるようにしています。さらに、Jet Linx は HTML5 ベースのコンテンツでハイパーリンクを活用し、情報への迅速なアクセスを実現しています。
「私たちは、整備士が必要な情報を見つけるため、真冬の駐機場で紙のマニュアルと格闘することを望んでいません。今では iPad で HTML5 ライブラリを開き、検索すれば必要なコンテンツにたどり着けます。400 ページに及ぶ航空機マニュアルには約 1,000 個の参照リンクが用意されているので、整備チームは航空機の耐空性を判断するために必要な情報を素早く見つけられます」と Chris 氏は指摘します。
より直感的な体験を生み出すため、Jet Linx は MadCap Capture も活用し、MadCap Flare ベースの文書に図やその他の画像を組み込んでいます。
MadCap Capture を使えば、画像や画像のコールアウトを Flare コンテンツに簡単にインポートしてフォーマットできます。また、iPhone、iPad、その他の小型ディスプレイ デバイスでも明瞭に表示できるよう、HTML5 出力では Flare のサムネイル機能を使用しています。
Jet Linx
出版担当ディレクター兼事業継続計画コーディネーター
Chris Bradley 氏
ユーザー フィードバックによる継続的な改善
最後に、Jet Linx はデジタル ライブラリにフィードバック ボタンを設け、ユーザーからの意見を積極的に募っています。これにより、明確化や修正が必要な箇所を把握することができます。この機能を MadCap Flare のマスター ページに追加したことで、各 Web ページにフィードバック ボタンを簡単に適用できるようになりました。

業務マニュアルやその他のコンテンツにアクセスしています。
全体として、デジタル ライブラリに対する従業員の反応は非常に好意的だと Chris 氏は述べています。
ユーザーは情報を見つけるのが格段に速くなり、Flare で配信しているコンテンツに大変満足しているため、このフォーマットをさらに活用する方法を模索しています。
Jet Linx
出版担当ディレクター兼事業継続計画コーディネーター
Chris Bradley 氏
FAA の要求への迅速な対応
米国で運航する航空会社として、Jet Linx は、FAA が課す連邦航空規則 (CFR) のパート 91 およびパート 135 要件の頻繁な変更に対応する必要があります。これは多大な労力を要するものです。Jet Linx は 32 種類のジェット機を含む 120 機の航空機を管理しているため、規制の一部が変更されるたびに、32 種類の異なる航空機仕様についてメーカーと連携する必要があります。さらに、メーカー側でもジェット機のマニュアルを更新するため、それに応じて Jet Linx も自社のマニュアルを更新する必要があります。たとえば、コロナ期間中は安全に関する変更が頻繁に行われ、Jet Linx の業務マニュアルの更新頻度も高まりました。
また、FAA は航空会社に対し、マニュアル全体ではなく、改訂されたセクションのみを確認すれば済むように、章ごとに改訂履歴を保持することを義務付けています。Flare のトピックベースのオーサリング機能は、FAA の厳格な変更管理規則へ準拠を容易にします。MadCap Flare の 3 つの機能、目次 (TOC)、変数、相互参照は、FAA が要求する各章の開始ページと終了ページを正確に把握するための有効ページ リスト (LOEP) のサポートを簡素化します。
MadCap Flare は Git バージョン管理システムと簡単に統合できるため、各マニュアルの変更履歴を文書化する必要もなくなり、シームレスな追跡が可能になります。Jet Linx の文書は、Git にバインドされていない限り、デジタル ライブラリに追加されることはありません。
Flare と Git の統合は素晴らしいです。コンテンツのすべての変更、それが挿入された場所、そしてその理由を確認できます。これにより、矛盾点を追跡し、変更を加え、翌日にはコンテンツを変更した航空機の飛行許可を FAA から取得できるようになりました。
Jet Linx
出版担当ディレクター兼事業継続計画コーディネーター
Chris Bradley 氏

オンラインで簡単にアクセスできます。
マニュアルの公開準備が整ったら、Jet Linx は FAA 承認済みの PDF 版と HTML5 版の内容が同じであることを確認する必要があります。同一でない場合、Web 版のコンテンツは別のバージョンと見なされてしまいます。MadCap Flare のマルチチャネル パブリッシング機能は、異なる出力間での一貫性を確保します。
「当社のすべての一般業務マニュアルは、1 つの Flare プロジェクトに保存されており、シングルソース パブリッシングにより、出力オプションを選択するだけで PDF とデジタル コンテンツの両方を公開できます」と Chris 氏は説明します。
コンテンツ作成の迅速化
Jet Linx では、組織全体に分散している複数の対象分野の専門家 (SME) がマニュアルのコンテンツ作成に貢献しています。MadCap Flare は Microsoft Word からのインポートをサポートしているため、SME は使い慣れたソフトウェアで作業を続けられます。さらに、シングルソース テンプレートを使用することで、コンテンツの適切なフォーマットを確保できます。

シングルソース テンプレートは素晴らしいです! SME には、Flare で作成したプレースホルダー付きの Word テンプレートを提供してそこに入力してもらい、戻してもらっています。その後、そのコンテンツを Flare プロジェクトにインポートするだけです。
Jet Linx
出版担当ディレクター兼事業継続計画コーディネーター
Chris Bradley 氏
MadCap Flare を使ってドキュメントを迅速に作成できたことは、Jet Linx が最近買収した会社のオンボーディングにおいて重要な役割を果たしました。
「4 日間ですべての FAA マニュアルを Word から Flare に変換し、FAA 申請の準備として新しいテンプレートに組み込むことができました。新しいドキュメント ライブラリをチームに見せたところ、『すごい、まるで石器時代から脱却したみたいだね。これで大丈夫だ』と言われました」と Chris 氏は振り返ります。
デジタル ライブラリは従業員に非常に好評ですが、Jet Linx チームは MadCap Connect for Zendesk を使用して、MadCap Flare コンテンツを Zendesk HelpCenter に直接公開することを検討しています。
Flare を使用することで、業界で一般的に使用されているものよりもはるかに高度なマニュアルを 3 日間で、しかもはるかに低コストで作成できます。
Jet Linx
出版担当ディレクター兼事業継続計画コーディネーター
Chris Bradley 氏
「Zendesk は、全社的なあらゆる問題に対応する主要ツールになるでしょう。MadCap Connect for Zendesk があれば、Flare ベースのヘルプを必要なときにすぐに利用できるようになります」と Chris 氏は説明します。
「Flare を使えば、業界で一般的に使用されているものよりもはるかに高度なマニュアルを、わずか 3 日で、しかもはるかに低コストで作成できます。私は長年 Flare を使っていますが、Flare でできることは実に多岐にわたります。可能性は無限大です」と Chris 氏は締めくくっています。
この資料は、MadCap Software の Web サイトで公開されている「Jet Linx Delivers First-Class, FAA-Approved Airline Operations Manuals and Training via Mobile Devices, Web Browsers and Print Using MadCap Flare」の日本語参考訳です。
This blog first appeared on the MadCap Software website. MadCap Software is the leading software provider for end to-end documentation solutions.