インテル® マス・カーネル・ライブラリー 9.0 Linux* 版
リリースノート
目次
概要
ディレクトリー構造
インテル MKL 9.0 の新機能
動作環境
インストール
既知の制限事項
テクニカルサポートとフィードバック
関連製品とサービス
権利の帰属
著作権と商標について
インテル® マス・カーネル・ライブラリー (インテル® MKL) は、工学、科学、金融系ソフトウェアの開発者向けに、線形代数ルーチン、高速フーリエ変換、ベクトル・マス・ライブラリー関数、乱数生成関数を提供します。これらのルーチンや関数はすべて、最新のインテル® Pentium® 4 プロセッサー、ストリーミング SIMD 拡張命令 3 (SSE3) およびインテル® 64 に対応したインテル® Xeon® プロセッサー、インテル® Itanium® 2 プロセッサー用に最適化されています。本ソフトウェアは、インテル以外の (x86) プロセッサーでも問題なく動作します。
インテル MKL は、線形代数機能として、LAPACK (ソルバーおよび固有ソルバー) に加え、複雑な数学ソフトウェアで必要な BLAS レベル 1 (ベクトル演算)、レベル 2 (ベクトル-行列演算)、レベル 3 (行列-行列演算) を提供します。FORTRAN 90/95 用に、少ない引数で LAPACK ドライバー・サブルーチンや計算サブルーチンを呼び出すことができるインターフェイスも用意しています。スパース連立方程式の解の算出用には、スパース BLAS レベル 1、レベル 2、レベル 3 のサポートに加え、直接法スパースソルバーおよび反復法スパースソルバーも用意しています。また、インテル MKL は、(変換の長さが 2 の累乗に限定されない) 混合基数に対応する多次元離散フーリエ変換 (1 次元、2 次元、3 次元) を備えています。偏微分方程式を解くために、効率的なプリコンディショナーを作成するいくつかの便利なツールを提供します。インテル MKL のベクトル化された超越関数 (ベクトル・マス・ライブラリー (VML) と呼ぶ) は、多くのプロセッサー上で、LibM (スカラー) 関数よりも優れたパフォーマンスと精度を実現します。ベクトル・スタティスティカル・ライブラリー (VSL) は、さまざまな確率分布および畳み込み/相関ルーチン用の高性能かつベクトル化された乱数ジェネレーターを提供します。また、浮動小数点値の区間に対して演算を行う関数群も用意しています。区間演算パッケージには、区間線形連立方程式のソルバー、逆区間行列のソルバー、および区間行列の正則性/特異性をテストするための関数が含まれています。インテル MKL の BLAS、LAPACK、直接法スパースソルバー (DSS)、FFT、VML、ポアソン・ライブラリー関数は、OpenMP* を使用してスレッド化されています。インテル MKL は完全にスレッドセーフです。
インテル MKL の一部の基となった BLAS の原版は http://www.netlib.org/blas/index.html から、 LAPACK の原版は http://www.netlib.org/lapack/index.html から入手できます。LAPACK の開発は、E. Anderson、Z. Bai、C. Bischof、S. Blackford、J. Demmel、J. Dongarra、J. Du Croz、A. Greenbaum、S. Hammarling、A. McKenney、D. Sorensen らによって行われました。LAPACK 用 FORTRAN 90/95 インターフェイスは、http://www.netlib.org/lapack95/index.html にある LAPACK95 パッケージと類似しています。すべてのインターフェイスは、純粋なプロシージャー用に提供されています。
本リリースのインテル MKL の一部の FFT 関数は、カーネギーメロン大学からライセンスを受けて、SPIRAL ソフトウェア生成システム (http://www.spiral.net/) によって生成されました。本リリースのインテル MKL の一部の FFT 関数は、ヒューストン大学からライセンスを受けて、UHFFT ソフトウェア生成システムによって生成されました。SPIRAL の開発は、Markus Püschel、José Moura、Jeremy Johnson、David Padua、Manuela Veloso、Bryan Singer、Jianxin Xiong、Franz Franchetti、Aca Gacic、Yevgen Voronenko、Kang Chen、Robert W. Johnson、Nick Rizzolo らによって行われました。
インテル MKL のディレクトリー構造については、「入門ガイド」(ファイル名: Getting_Started.htm) を参照してください。本ガイドは、インテル MKL 製品 Web サイト (http://www.intel.com/software/products/mkl/) にあります。
インテル MKL 8.1 からのパフォーマンスの向上
- インテル® Core™2 Duo プロセッサーにおけるパフォーマンスの向上
- VML の Div および Inv 関数のパフォーマンスが 2.7 倍向上
- Asin および Acos 関数のパフォーマンスが 5-20% 向上
- インテル Core Duo プロセッサーにおけるパフォーマンスの向上
- BLAS
- ZDOTU、ZDOTC - キャッシュのデータで 10-35% パフォーマンスが向上しました。
- VSL のパフォーマンスが約 13% 向上
- インテル Itanium 2 プロセッサーにおけるパフォーマンスの向上
- FFT
- 単精度および倍精度実数 1D FFT (n = 2、4、8、16、32、64、128) が 3 倍まで高速化
- VML
- Ln、Log10、Asin、Acos、Sinh、Cosh 関数のパフォーマンスが 25-83% 向上
- 長いベクトル (倍精度で n>250,000 または単精度で n>500,000) のパフォーマンスが平均 60% 以上向上しました。パフォーマンスは、要素ごとの小さなベクトル・パフォーマンスの 20% 以内になりました。
- VSL
- ガウス分布生成器および多変量ガウス分布生成器のパフォーマンスがそれぞれ 35% および 15% 向上しました。
- SSE3 対応のインテル Pentium 4 プロセッサーおよびインテル Xeon プロセッサーにおけるパフォーマンスの向上
- BLAS
- BLAS レベル 2 関数のパフォーマンスの向上
- CGEMV - アライメントされたデータで 30-80% パフォーマンスが向上しました。
- ZGEMV - インテル 64 システム上のアライメントされていないデータで 5-35% パフォーマンスが向上しました。
- DTRMV - 小さなサイズで 20% パフォーマンスが向上しました。
- BLAS レベル 1 関数のパフォーマンスの向上
- SNRM2、SCNRM2 - キャッシュのデータで 10 倍までパフォーマンスが向上しました。
- ZDOTU、ZDOTC - キャッシュのアライメントされたデータで 10-25%、アライメントされていないデータで 100% パフォーマンスが向上しました。
- その他のパフォーマンスの向上
- SPARSE BLAS: 圧縮スパース行形式のスパース行列-ベクトル積ルーチンのパフォーマンスが 20-50% 向上しました。次の関数が影響を受けます: mkl_dcsrgemv、mkl_dcsrsymv および mkl_dcsrmv。
- DGETRF および DLASWP のパフォーマンスが向上しました。
- FFT: 17 よりも大きな 2 の累乗サイズの倍精度および単精度複素数 1D FFT のパフォーマンスが最大 40% 向上しました。
- インテル 64 システムで 64 ビット・モードで実行している場合、単精度および倍精度実数 1D FFT (n = 2、4、8、16、32、64) が 3 倍まで高速化しました。
- VML 関数は、OpenMP を使用した自動スレッド化により、ベクトルの長さが n > 200 のマルチプロセッサー・システム上と、ベクトルの長さが n > 10000 のハイパースレッディング・テクノロジーをサポートするシステム上では効果的に使用されます。デュアルコア・プロセッサーおよびデュアル・プロセッサー・システムのパフォーマンスが最大 90% 向上しました。
その他の機能の向上
- BLAS
- SSE3 対応インテル Xeon プロセッサーの DAXPY、ZAXPY における NaN 問題が修正されました。
- ZTRSV/CHERK/ZHERK の ALPHA および BETA パラメーターの初期化が修正されました。
- 直接法スパースソルバー (DSS)
- dss_delete() は、スタンドアロンで起動したときに内部エラーを引き起こしません。
- DSS は 1x1 行列でも正常に動作し、エラーを出力しません。
- DSS インターフェイスは非対称行列をサポートします。
- PARDISO は、共役勾配ステップの複素数行列で失敗しません (iparm(4)=61 や 62 など)。
- PARDISO の 2x2 行列でのヒープ割り当て解除エラーが修正されました。
- DSS/PARDISO の (CGS または反復改善法でない) 解法フェーズのパフォーマンスがマルチ RHS およびマルチスレッド環境で 5 倍まで向上しました。
- 新しい RCI Flexible Generalized Minimal RESidual (FGMRES) 反復法ソルバーが実装されました。
- 以下のスパース BLAS 三角ソルバーが OpenMP を使用してスレッド化されました。
- mkl_dcsrsm - 圧縮スパース行形式のレベル 3 三角ソルバー
- mkl_dcscsm - 圧縮スパース列形式のレベル 3 三角ソルバー
- mkl_dcoosm - 座標形式のレベル 3 三角ソルバー
- FFT
- 単精度および倍精度の 1D、2D、3D インプレース実数 FFT、CCE 形式が追加されました。
- 古い FFT インターフェイスがライブラリーから削除されました。後方互換は、FFT ラッパーでサポートされます。インターフェイスの説明がマニュアルから別のファイル (ファイル名: fft2dfti.pdf) に移動しました。
- インプレース実数 FFT 用の FFTW 3.x ラッパーが追加されました。
- 新しい FFTW 3.x C インターフェイス・サポートの例が追加されました。
- インプレース実数 FFT 用の FFTW 2.x ラッパーが追加されました。
- 新しい FFTW 2.x C インターフェイス・サポートの例が追加されました。
- 例を含む FFTW 3.x Fortran インターフェイスがサポートされました。
- インテル Itanium 2 プロセッサーでサイズ n=2^k (k=24, 26, ...) の 1D 倍精度複素数 FFT を修正しました。
- すべてのプラットフォームで CCE 形式を使用する 3D 実数 FFT を修正しました。
- LAPACK
- 対称三重対角行列用の DSYRDB ルーチンが追加されました。機能的には、DSYTRD に似た連続帯域縮退アプローチを実装していますが、約 1000 以上の大きな行列サイズで非常に高速です (特にマルチスレッド・モード)。詳細は、MKL リファレンス・マニュアルの WebHelp バージョンおよび MKL man ページを参照してください。
- *STEVR の修正: VL/VU は RANGE='V' の場合に参照されなくなりました。
- NetLib との一貫性のために、インテル MKL に次のルーチンが追加されました: *LAMC1、*LAMC2、*LAMC4、*LAMC5、IEEECK。
- DTGSEN/STGSEN の修正: Q は誤参照されなくなりました。
- CBDSQR/DBDSQR/SBDSQR/ZBDSQR の修正: NRU、NCVT、NCC のいずれかが N よりも大きい場合、十分なワークスペースが割り当てられるようになりました。
- CGEQRF/DGEQRF/SGEQRF/ZGEQRF の修正: M<N の場合に xGGLSE の呼び出しでエラーメッセージが表示されていた問題が修正されました。
- LAPACK に対するすべての Fortran 90/95 インターフェイスが純粋なプロシージャー用に提供されました。
- VSL
- 'mkl_vsl.fi' ファイルおよび 'mkl_vsl_subroutine.fi' ファイルは、FORTRAN ソースの固定形式と自由形式の両方と互換性を保持します。
- 新しい機能
- 分布生成で fast/accurate モードが提供されました。
- ユーザーが定義した擬似乱数生成器のパラメーターに基づく擬似乱数シーケンスの生成がサポートされました。
- VML
- VML は、Acos、Acosh、Asin、Asinh、Atan、Atanh、Cos、Cosh、Exp、Ln、Log10、Pow、Powx、Sin、Sinh、Sqrt、Tan、Tanh 関数で単精度複素数型データと倍精度複素数型データをサポートするようになりました。
- 単精度および倍精度用の新しい丸め関数 (Trunc、Ceil、Floor、Round、NearbyInt、Rint) が追加されました。
- 単精度および倍精度引数用に 3 つの関数 (ErfInv、Hypot、Modf) が追加されました。
- VML 関数が OpenMP を使用してスレッド化されました。
- 畳み込み/相関
- 倍精度と単精度の両方について複数次元の場合に FFT モードがサポートされました。
- 区間演算ソルバー
- 区間線形連立方程式の最適な解を求める新しい 2 つのルーチン、DIGEPSS/SIGEPSS が追加されました。
- PDE のサポート
- 高速ヘルムホルツ、ポアソン、ラプラスソルバーに関する新しいセクションが追加されました。
- 動的にリンク可能な三角変換ライブラリー・ファイルが追加されました。
- サービス
- サービス関数の定義が mkl_blas.h から新しく作成されたヘッダーファイル mkl_service.h に移動しました。
ハードウェア
インテル MKL をインストールして使用するには、サポートしているプロセッサーを搭載したシステムが必要です。ホストシステムは、700MB のディスク空き容量が必要です。
サポートしているプロセッサー - インテル MKL は、以下のプロセッサーをサポートしています。
- インテル Itanium 2 プロセッサー
- デュアルコア インテル Xeon プロセッサー MP 7000 番台
- デュアルコア インテル Xeon プロセッサー 5100 番台
- インテル Core Duo プロセッサー
- インテル Core 2 Duo プロセッサー
- 64 ビット インテル Xeon プロセッサー
- インテル Xeon プロセッサー DP / MP
- インテル Pentium D プロセッサー
- インテル Pentium M プロセッサー
- ストリーミング SIMD 拡張命令 3 (SSE3) 対応インテル Pentium 4 プロセッサー
- インテル Pentium 4 プロセッサー
- インテル® Celeron® D プロセッサー
- インテル Celeron プロセッサー
- インテル Pentium III プロセッサー
- AMD* Athlon* および Opteron* プロセッサー
ソフトウェア
インテル MKL を使用するには、サポートしているコンパイラーが必要です。
推奨ソフトウェア - 以下のソフトウェアをインテル MKL とともに使用することを推奨します。
- インテル® Fortran コンパイラー 9.1 Linux 版
- インテル® C++ コンパイラー 9.1 Linux 版
インテル MKL は、以下のオペレーティング・システムをサポートしています。
- Red Hat* Fedora* Core 4 (IA32/インテル 64)
- Red Hat EL3 (IA32/インテル 64/Itanium)
- Red Hat EL4 (IA32/インテル 64/Itanium)
- Red Flag* DC Server 5.0 (IA32/インテル 64/Itanium)
- Suse* SLES* 9 (IA32/インテル 64/Itanium)
- Suse SLES 10 (IA32/インテル 64/Itanium)
- Mandriva/Mandrake Linux* 10.1 (IA32/インテル 64)
- HaanSoft Linux* 2006 Server (IA32/インテル 64/Itanium)
- Miracle Linux* 4.0 (IA32/インテル 64/Itanium)
- Turbo Linux* 10 (IA32/インテル 64/Itanium)
インテル MKL は、以下のコンパイラーをサポートしています。
- インテル Fortran コンパイラー 8.1 Linux 版
- インテル Fortran コンパイラー 9.1 Linux 版
- インテル C++ コンパイラー 8.1 Linux 版
- インテル C++ コンパイラー 9.1 Linux 版
- GNU コンパイラー・コレクション
注意:
- インテル MKL には、Fortran と C のインターフェイスおよびそのデータ構造が含まれています。インテル MKL を異なるコンパイラーとリンクする方法については、テクニカル・ユーザー・ノート (doc ディレクトリーにある mkluse.htm ファイル) を参照してください。
- インテル MKL は、上記にリストされているプロセッサー・モデルと同じ命令セットを正しくサポートしているプロセッサー・モデルであれば、上記にリストされていない場合でも動作する可能性があります。特定のプロセッサー・モデルに関して質問がある場合は、インテル® プレミアサポートまでお問い合わせください。
- いくつかのドキュメントを表示するには、Adobe* Acrobat* Reader 6.0 またはそれ以降が必要です。
インテル MKL のインストール時に、インストールに関するガイダンスが提供されます。ステップごとにインストール手順を説明したファイル (ファイル名: Install.txt) へのリンクが示されます。このファイルは doc ディレクトリー以下にあります。
インテル MKL 9.0 におけるスパースソルバーの制限事項
- デフォルトのスレッド数 (OMP_NUM_THREADS が設定されていない場合) は、システムのプロセッサー数になります。これは、インテル MKL のデフォルトの OpenMP モードとは異なります。デフォルトのスレッド数は 1 に設定されています。
- 本リリースでは、静的にリンク可能なスパース・ソルバー・ファイルのみ提供しています。
- 拡張精度の蓄積は、PARDISO のオリジナルバージョンと同じ quad double (16 バイトの実数精度) ではなく、long double (10 バイトの実数精度) で実装されています。
インテル MKL 9.0 における FFT 関数の制限事項
- DftiCopyDescriptor 関数は実装されていません。
- DFTI_TRANSPOSE モードは、デフォルトケースでのみ実装されます。
- DFTI_REAL_STORAGE モードにはデフォルト値のみ指定可能で、DftiSetValue 関数 (例えば、DFTI_REAL_STORAGE = DFTI_REAL_REAL) によって変更することはできません。
インテル MKL 9.0 における LAPACK 関数の制限事項
- ILAENV 関数 (ローカル環境の問題依存パラメーターを選択するために LAPACK ルーチンから呼び出される) は、ユーザーのバージョンでは代用できません。
インテル MKL 9.0 におけるベクトル・スタティスティカル・ライブラリー (VSL) 関数の制限事項
- インテル 64 用の畳み込みおよび相関関数は、SSE3 命令をサポートしていない AMD プロセッサーでは動作しません。
インテル MKL 9.0 における区間演算関数の制限事項
- 区間ライブラリーには、インテル Fortran コンパイラーの libifcore ライブラリーが必要です。
- 区間演算関数のデフォルトバージョンはありません。つまり、すべてのバージョンに SSE 命令が含まれます。
インテル MKL 9.0 における多倍長関数の制限事項
- アプリケーションが MKL に動的にリンクされていて、GMP 関数の呼び出しを含む場合、libvml および libm ライブラリーにリンクする必要があります。
コマンド例: $CC prog.c -L$MKL_LIB_PATH -lmkl -lvml -lguide -lpthread -lm
インテル MKL を使用する場合、明示的に 'libm' をリンクする必要があります。インテル MKL ライブラリー・ファイルへの参照の後、リンク行に '-lm' を追加してください。
インテル 64 対応のインテル・プロセッサー上では、GNU Fortran コンパイラー (バージョン 3.2.3) でコンパイルされたユーザープログラムは、-fno-f2c GNU Fortran コンパイラー・フラグが使用されていない場合、単精度値を返すインテル MKL の関数で正しくない結果を返すことがあります。GNU Fortran コンパイラーは、デフォルトでリターンレジスターの最初の 8 バイトが REAL*4 である (倍精度値として表現される) と想定しますが、インテル Fortran コンパイラーは、リターンレジスターの最初の 4 バイトが REAL*4 であると想定します。インテル MKL の動作は、インテル Fortran コンパイラーの動作と互換性があります。GNU Fortran コンパイラーの動作は、-fno-f2c フラグを使用することでインテル Fortran コンパイラーと互換になるように変更されます。
FFT、VML、VSL、および PDE サポート関数は Fortran 77 コンパイラーでは使用できません。
VSL 関数はすべて、現在の演算のエラーステータスを返します。例えば、VSL の API のデフォルトは、以前のバージョンの MKL ではサブルーチン形式でしたが、現在では関数形式です。つまり、Fortran のユーザーは、VSL ルーチンを関数として呼び出す必要があります。関数の呼び出し例:
errstatus = vslrnggaussian(method, stream, n, r, a, sigma)
サブルーチンの呼び出し例:
call vslrnggaussian(method, stream, n, r, a, sigma)
ただし、インテル MKL では、後方互換用にサブルーチン形式も用意しています。サブルーチン形式のインターフェイスを使用するには、手動で include\mkl.fi ファイル内の include 'mkl_vsl.fi' という行を include 'mkl_vsl_subroutine.fi' に変更し、mkl_vsl.fi ファイルの代わりに mkl_vsl_subroutine.fi ファイルを組み込みます。VSL の API 変更は、C/C++ ユーザーには影響しません。
ハイパースレッディング・テクノロジー (HT テクノロジー) は、各スレッドが異なる演算を実行している場合、またはプロセッサー上に十分に活用されていないリソースがある場合に特に有効です。インテル MKL は、このどちらにもあてはまりません。ライブラリーのスレッド化された部分が効率的に (利用可能なリソースの大半を使用して) 実行され、各スレッドで同一の演算を行っているためです。HT テクノロジーを有効にせずにインテル MKL を使用すると、より高いパフォーマンスを得られることがあります。
メモリー割り当て: より高いパフォーマンスを得るため、インテル MKL によって割り当てられたメモリーは解放されません。これは仕様で、インテル MKL ルーチンがメモリーバッファーを操作するのは 1 回 (割り当て) だけです。ツールによっては、これをメモリーリークとして報告することがあるため、注意してください。必要に応じて、メモリーを解放することができます。プログラムでインテル MKL の MKL_FreeBuffers
(
)
関数を使用するか、各呼び出しの後に MKL_DISABLE_FAST_MM
環境変数を設定します (詳細は、doc
ディレクトリーにあるテクニカル・ユーザー・ノートを参照してください)。しかし、これらの方法を使用してメモリーを解放しても、メモリーリークが報告されなくなるとは限りません。実際、ライブラリーを複数回呼び出す場合、各呼び出しごとに新しいメモリーの割り当てが必要になり、報告される数は増えることもあります。上記の方法で解放されなかったメモリーは、プログラムの終了時にシステムによって解放されます。各スレッドに割り当てられるバッファーの最大数は 32 です。この制限を回避するには、上記のようにメモリー管理を無効にします。
メモリー管理では、各スレッドに割り当てられるバッファーの数に制限があります。現在は、この数は 32 です。この制限を回避するには、上記のようにメモリー管理を無効にします。
Red Hat Enterprise Linux 3.0 では、正しいサポート・ライブラリーがリンクされていることを確認するために、環境変数 LD_ASSUME_KERNEL を設定する必要があります。
例: 'export LD_ASSUME_KERNEL=2.4.1'
セルフヘルプおよびユーザーフォーラム
チュートリアル、基本操作のヒント、製品に関する既知の問題点、製品のエラッタ、互換性に関する情報、FAQ など、多くのセルフヘルプ情報については、インテル® ソフトウェア開発製品テクニカルサポート Web サイト (http://www.intel.com/software/products/support/index.htm) (英語) を参照してください。問題に対する解決策を素早く得たり、製品を効果的に使用するための情報を入手することができます。
インテル MKL ユーザーフォーラム (英語) (http://softwareforums.intel.com/ids/board?board.id=MKL) は、ユーザー同士の意見交換や専門家への質問などの場としてご利用いただけます。
問題の送信方法
インテルでは、お客様からのフィードバックを非常に重視しております。本製品で提供されるツールについてテクニカルサポートを利用したり、製品アップデートを入手するには、インテル® レジストレーション・センター (https://registrationcenter.intel.com/) で登録する必要があります。
インテル MKL に関する質問または問題は、サポート (https://registrationcenter.intel.com/support/) までお問い合わせください。
注意: 特定の国に対してアクセスを制限する必要があるソースコードが含まれている場合は、サポートが可能かどうかを判断するため、ソースコードを送る前にサポート担当者に確認してください。
インテル・プレミアサポートから問題を送信する場合は、次の手順に従ってください。
- ブラウザーで Java* および Java スクリプトが有効になっていることを確認します。
- http://www.intel.com/software/products/support に移動します。
- ログイン名とパスワードを入力します。どちらも大文字と小文字が区別されます。半角英数字と一部の記号のみ使用できます。
- [Submit Issues] ボタンをクリックします。
- 「Confidentiality Statement (機密保護について)」を読み、(内容に同意されたら) [I Accept] ボタンをクリックします。
- [Product] ドロップダウン・リストの隣にある [Go] ボタンをクリックします。
- 左側のナビゲーション・バーの [Submit Issue] リンクをクリックします。
- [Product Type] ドロップダウン・リストから [Development Environment (tools,SDV,EAP)] を選択します。
- ソフトウェアまたはライセンスに関連する問題の場合は、[Product Name] ドロップダウン・リストから [Intel® MKL for Linux*] を選択します。
- 質問を入力し、ウィンドウの残りのフィールドも記入します。
問題の報告や製品に対するご意見を送信する際は、次のガイドラインに従ってください。
- 問題、その他ご意見を入力してください。
問題を報告する場合は、その問題を再現できるように、できるだけ具体的に (コンパイラーやリンク・コマンドライン・オプションなども含めて) 説明してください。可能な場合は、テストファイル (小さなもの) を含めるようにしてください。
- システム構成情報を入力します。
オペレーティング・システム、インストールされているアプリケーションの名前とバージョンなど、問題の特定に役立つと思われるすべての情報が含まれていることを確認してください。
インテル・ソフトウェア開発製品の詳しい情報については、http://www.intel.co.jp/jp/developer/software/products/ を参照してください。関連製品には次のものが含まれます。
- インテル® ソフトウェア・カレッジ (英語) では、インテル® アーキテクチャーおよびソフトウェア最適化技法を習得するための、インタラクティブなチュートリアル、ドキュメント、コードサンプルを提供しています。
- インテル® VTune™ パフォーマンス・アナライザーは、アプリケーションの CPU 利用状況を評価し、パフォーマンスを改善するために修正を行うべきかどうかを判断するのに役立ちます。
- インテル C++ コンパイラーおよびインテル Fortran コンパイラーは、最新の IA-32 プロセッサーおよびインテル Itanium プロセッサーをサポートしており、ソフトウェアの実行を高速化する上で重要な役割を果たします。
- インテル® パフォーマンス・ライブラリーには、各種のインテル® プロセッサー向けに最適化されたルーチン群が収められています。インテル MKL は、数学、科学、工学などのソフトウェア開発に役立つ、最新のインテル Pentium プロセッサーおよびインテル Itanium プロセッサー向けに最適化された線形代数、高速フーリエ変換、ベクトル演算関数を提供します。インテル® インテグレーテッド・パフォーマンス・プリミティブは、複数のインテル・アーキテクチャーおよびオペレーティング・システム用のハイパフォーマンスなソフトウェアをビルドするクロスプラットフォーム・ツールで構成されています。
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本資料で提供される情報は、予告なく変更されることがあります。インテルは本資料の内容およびこれに関連して提供されるソフトウェアにエラー、誤り、不正確な点が含まれていたとしても一切責任を負わないものとします。本資料およびこれに記載されているソフトウェアはライセンス契約に基づいて提供されるものであり、その使用および複製はライセンス契約で定められた条件下でのみ許可されます。本資料は、明示されているか否かにかかわらず、また禁反言によるとよらずにかかわらず、いかなる知的財産権のライセンスを許諾するためのものではありません。本資料に掲載されている情報は、インテル製品の概要説明を目的としたものであり、インテルによる確約と解釈されるべきものではありません。
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