
概要
Apryse は、Web、サーバー、デスクトップ環境でのドキュメント活用を支える強力なツールを提供しています。本記事では、以下の 3 つの違いを解説し、アプリ開発に最適なソリューション選びをサポートします。
- WebViewer: 多機能な JavaScript SDK
- WebViewer Server: パフォーマンスを強化するバックエンド
- PDFViewCtrl: デスクトップ向けビューア
はじめに
Apryse は 25 年以上にわたり、PDFや各種ドキュメントの処理に特化した経験を積み重ね、現在は Server、Web、Mobile 向けの SDK (および Fluent を使ったドキュメント生成) を提供しています。
「View PDF Apryse」などで検索すると、さまざまな選択肢が出てきて混乱するかもしれません。本記事では、その中でも「View」という名前を持つ主要な機能を取り上げます。
WebViewer
WebViewer は JavaScript ライブラリであり、Apryse Web SDK として PDF、Office 文書、画像、動画などの表示、注釈、編集を可能にします。これは Apryse Server SDK の JavaScript 移植版であり、ブラウザー上でファイルを解析およびレンダリングするために WASM を使用します。
当初は PDF 機能 (多様なドキュメントを PDF にオンザフライ変換を含む) だけでしたが、近年では PDF 編集、DOCX の閲覧や編集、スプレッドシートの閲覧 (まもなく編集も可能予定) へと進化しています。
WebViewer は強力であるだけでなく、導入も容易です。HTML 内に DOM 要素を用意し、そこに WebViewer をマウントするだけで利用できます。数行のコードで多彩な機能を呼び出すことができるため、開発工数を大幅に削減し、製品をより早く市場に投入できます。
例えば、テンプレートから文書を生成 → 編集 → 証明書でのデジタル署名、といったワークフローを 1 つの SDK で完結させることも可能です。複数ベンダーのライセンスを組み合わせる必要がなくなります。

WebViewer UI
ユーザーが操作する UI は WebViewer の一部と思われがちですが、実は独立したコンポーネントです。
WebViewer にはデフォルト UI が同梱されていますが、自作の UI を構築することも可能です。デフォルトの UI は直感的で使いやすく、WCAG 2.1 AA に準拠しています。2025年6月28日以降、ヨーロッパを中心にアクセシビリティ対応が求められる環境でも安心して利用できます。

さらに「モジュラー UI」により、わずかなコード変更と設定ファイルで外観を柔軟にカスタマイズ可能です。

UI はオープンソースとして公開されており、フォークして独自の機能追加も自由に行えます。
WebViewer Server
WebViewer は標準で幅広い機能を備えていますが、CAD など一部の形式には直接対応していません。また、複雑なドキュメントは低スペックのモバイル端末でレンダリングが遅くなる場合があります。
そこで登場するのが WebViewer Server です。Apache Tomcat 上で動作する Java コードを介して、WebViewer から Apryse SDK へのリクエストを処理します。サーバー上の強力なリソースを活用できるため、重い処理も効率的に行え、結果を WebViewer に返す仕組みです。
さらに複数インスタンスでロードバランシングを構成すれば、大規模ユーザー向けにスケーラブルで快適な閲覧環境を提供できます。

WebViewer Server は簡単に導入でき、独自の Tomcat サーバーを AWS や Azure にデプロイすることも、Linux ベースの Docker コンテナーを使用することも可能です。
カスタム サーバー
場合によっては、WebViewer と Apryse SDK の間に 独自のカスタムサーバーを構築したいこともあるでしょう。その場合、データ処理の流れを完全に制御できます。
詳細はここでは割愛しますが、Apryse のドキュメントにはカスタムサーバーの構築方法が掲載されています。
Server PDFView Control
最後に紹介するのが PDFViewCtrl (PDF View Control) です。これは Web ではなく デスクトップ アプリ向けのビューア機能です。
Apryse Server SDK は文書処理機能(編集、分割・結合、ページ操作、データ抽出、テンプレートからの生成など)を提供しますが、PDFViewCtrl を使えば C++ または .NET アプリ内で直接 PDF を表示・注釈できます。ブラウザーを介さずデスクトップアプリに統合できるのが特徴です。

ただし、PDFViewCtrl は一部の SDK ダウンロードにのみ含まれます。.NET Core には対応しておらず、.NET 4.5.1 以降や専用の C++ パッケージで利用可能です。
なお、デスクトップアプリに PDF 閲覧機能を組み込みたい場合、Electron や Tauri を利用して WebViewer を組み込む方法もあります。この場合、PDF に加え DOCX 編集やスプレッドシート閲覧など、より広範な機能をクロスプラットフォームで提供可能です。

まとめ
「PDF 表示」という検索から始めましたが、Apryse の Web/Server SDK が提供するのは 単なる「表示」にとどまらない多彩な機能です。
今回ご紹介したのは概要に過ぎません。より詳細な情報は、Apryse Web サイトに掲載されている豊富なドキュメントをご覧ください。
Apryse では無償トライアルを提供しています。ぜひお試しください。
Apryse 製品の詳細は、弊社 Web サイトをご確認ください。
記事参照:
© 2025 Apryse
「WebViewer, WebViewer Server, and PDFViewCtrl – What’s the Difference?」