今回の記事では、Kudan の AR フレームワークが提供するさまざまなトラッキング手法のメリットをご紹介します。
マーカーベースのトラッキング
マーカーベースのトラッキングは、カメラフレーム内の事前に定義された画像セットを検出およびトラッキングします。検出は、カメラフレーム内にある画像と識別可能なサイズに依存します。マーカーベースのトラッキングで使用可能なマーカーは 1 つに制限されません。1 つのカメラフレームで、複数のマーカーを検出およびトラッキングできます。トラッキングの座標は任意ですが、マーカーの物理的なサイズが明確な場合、これらの座標を物理的な単位に変換できます。これにより、AR コンテンツを正確にスケールおよび位置づけできます。
AR コンテンツは、必ずしもトラッキングしたマーカー上に表示される必要はないため、マーカーベースのトラッキングを物体認識の外観に使用できます。例えば、自動車自体を検出しようとする代わりに、初期化のポイントとして自動車ショールームのスタンドの上にマーカーを使用できます。マーカーの寸法およびスタンドと車の間の距離は制御され、アプリケーションは、色の変化や新しい細部のように車両上に正確な補強を配置できます。
マーカー上でビデオを再生する芸術アプリ
Kudan は、写真をビデオの最初のフレームとして使用する芸術作品の展示の一部となるアプリを開発しました。写真が検出されると、ビデオが再生されます。初期化のポイントとして写真を使用することは、既存の画像に QR コードを追加するよりはるかに自然に実現できました。印刷された写真のサイズを制御することで各ビデオが写真全体に収まるよう正確にスケールし、写真からビデオへのシームレスな移行ができるため、このような状況ではマーカー認識が上手く動作しました。
iOS および Android 向けに、マーカーベースのトラッキングをネイティブに設定する方法も英語で紹介しています。
検出とトラッキングに最適なマーカー画像の見分け方は、「AR (拡張現実) 向けに最適なマーカーを構成する要素」をご覧ください。
マーカーレス トラッキング
マーカレス トラッキングは、カメラ フレーム内の特徴点を使用して、デバイスの相対的な位置をトラッキングします。トラッキングの初期化には、’ArbiTrackerManger’ クラスで設定可能な最小限の特徴点が必要です。一般的には、特徴点の数が多いほどトラッキングが安定します。マーカーレス トラッキングは完全な SLAM システムではなく、リローカリゼーションをサポートしていないため、トラッキングが失われたりドリフトが発生した際に復元できません。しかし、マーカーレス トラッキングは、初期化を始めるにあたり特定の 3D 情報を必要としないため、瞬時に初期化できます。マーカーレス トラッキングは、マーカーベースのトラッキングより柔軟性がありますが、信頼性の高さはマーカーベースのトラッキングには至らず、鋭い動きでトラッキングを失う可能性があります。マーカーレス トラッキングはジャイロスコープにも依存しており、ジャイロスコープを備えていないデバイスでは動作しません。
マーカーレス トラッキングは、以下のような状況で上手く動作します。
・トラッキング領域に十分な数の特徴点がある場合。
・デバイスをゆっくりと滑らかに動かす場合。
・トラッキング領域が静的な場合。
・トラッキング領域に十分な照明があり、反射面が最小限に抑えられている場合。
家具の配置アプリ
Kudan AR SDK は、マーカーレス トラッキングを使用して、実際に家具を配置できる可能性を提供します。マーカーベースのトラッキングを使用した場合、家具を動かすたびにマーカーを動かす必要があるので、反応が遅くなります。マーカーレス トラッキングを使用した場合、ユーザーは、部屋の中心に立って家具を配置できます。また、トラッキングが失われてもオブジェクトを再配置するだけで簡単に修正できます。
iOS および Android 向けに、または Unity プラグインを使用して、マーカーレス トラッキングを設定する方法も英語で紹介しています。
拡張トラッキング
拡張トラッキングは、静的マーカーで標準のマーカーベースのトラッキングを使用する際の強化機能です。トラッカーは、初期のマーカーを起点として周囲から新しいマーカーを作成します。これにより、より遠くからトラッキングおよび検出が可能になり、ユーザーは、トラッキング損失のリスクが低減された状態でマーカーの周りを自由に移動できるようになります。これは、SDK の ‘setExtensible’ メソッドを通して簡単に切り替えることができます。拡張トラッキングは、マーカーベースのトラッキングの精度とマーカーレス トラッキングの柔軟性を兼ね合わせています。
Kudan AR SDK 製品の詳細は、弊社の製品ページをご覧ください。
記事参照:
2017年 4月 25日 Kudan Limited.
「Kudan AR tracking」