2024年 7月、AWS は Cloud9、CodeCommit を含む複数のサービスの新規利用受付を終了すると発表しました。このニュースは、多くの開発者や企業に驚きと戸惑いをもたらしています。特に Cloud9 と CodeCommit は、AWS の開発ツールの中でも広く利用されており、今回の発表は今後の開発ワークフローに大きな影響を与える可能性があります。
受付を終了するのは、 Cloud9、CodeCommit に加えて「Amazon S3 Select」「Amazon CloudSearch」「Amazon SimpleDB」「Amazon Forecast」「AWS Data Pipeline」。現在すでに利用しているユーザーに対しては、サービス内容を変更することはないといことです。
After giving it a lot of thought, we made the decision to discontinue new access to a small number of services, including AWS CodeCommit.
引用: X: Jeff Barr – AWS Chief Evangelist
Cloud9 と CodeCommit とは?
Cloud9
Cloud9 は、クラウドベースの統合開発環境(IDE)です。ブラウザ上でコードの記述、実行、デバッグを行うことができ、開発環境のセットアップの手間を省くことができます。AWS の各種サービスとの連携も容易であり、サーバーレス アプリケーションの開発などにも活用されてきました。
CodeCommit
CodeCommit は、AWS が提供するフルマネージド型の Git リポジトリサービスです。Git の機能を AWS クラウド上で利用でき、コードのバージョン管理や共同開発を安全かつ効率的に行うことができます。
新規利用終了の影響
今回の発表は、主に新規に AWS アカウントを作成するユーザーに影響します。既存のAWS アカウントで Cloud9 や CodeCommit を利用している場合は、引き続きこれらのサービスを使用できます。しかし、新規アカウントでは Cloud9 や CodeCommit の新規利用ができないため、代替となるサービスやツールを検討する必要があります。
開発ワークフローへの影響
Cloud9 や CodeCommit を利用していた開発チームは、今回の発表を受けて、開発ワークフローの見直しを迫られる可能性があります。特に、新規プロジェクトや新規メンバーの参画時に、代替となるサービスやツールへの移行が必要となるケースも考えられます。
代替サービスと移行のポイント
AWS は、Cloud9 の代替として Amazon SageMaker Studio の利用を推奨しています。SageMaker Studio は、機械学習向けの開発環境ですが、コード エディタも備えており、Cloud9 の代替として活用できます。
CodeCommit の代替としては、GitHub や GitLab などの外部の Git リポジトリサービスが候補となります。これらのサービスは、AWS との連携機能も提供しており、CodeCommit からの移行も比較的スムーズに行える可能性があります。
CodeCommit と GitHub を比較
- コミュニティとエコシステムの広さ: GitHub は世界中の開発者に利用されており、活発なコミュニティと膨大なオープンソース プロジェクトが存在します。これにより、情報共有やコラボレーションが容易になり、開発効率の向上に繋がります。また、GitHub Marketplace では様々なツールやサービスが提供されており、開発ワークフローを拡張できます。
- サードパーティ連携の豊富さ: GitHub は多くのサードパーティ ツールやサービスとの連携が可能です。CI/CD ツール、プロジェクト管理ツール、コード レビュー ツールなど、様々なツールと連携することで、開発ワーク フローを効率化できます。
- 機能の豊富さ: GitHub は CodeCommit よりも多くの機能を提供しています。例えば、GitHub Actions による CI/CD の自動化、GitHub Pages による静的ウェブサイトのホスティング、GitHub Discussions によるコミュニティとのコミュニケーションなどが可能です。
- 使いやすさ: GitHub は直感的なインターフェースと豊富なドキュメントを備えており、初心者でも簡単に使い始めることができます。また、GitHub Desktop などのGUI クライアントも提供されており、コマンドライン操作が苦手な開発者でも快適に利用できます。
- 知名度と採用実績: GitHub は世界中の企業や開発チームで広く採用されており、その知名度と実績は CodeCommit よりもはるかに高いです。GitHub を採用することで、開発チームのモチベーション向上や人材獲得、学習コストの低減にも繋がります。
移行のポイント
- データの移行: Cloud9 の環境設定や CodeCommit のリポジトリデータを、代替サービスに移行する必要があります。
- ワークフローの調整: 代替サービスに合わせて、開発ワークフローの調整が必要となる場合があります。
- 学習コスト: 新しいサービスやツールの習得には、一定の学習コストがかかります。
GitHub への移行については AWS 公式のドキュメントをご参照ください。
AWS CodeCommit リポジトリを他の Git プロバイダーに移行する方法 | Amazon Web Services ブログ (外部リンク)
今後の展望
AWSは、今回の発表の背景として、より優れた開発体験を提供するためのサービスの統合と最適化を進めていることを説明しています。SageMaker Studio は、機械学習だけでなく、一般的なソフトウェア開発にも対応できる機能を拡充していくと予想されます。
一方、CodeCommit については、AWS は明確な代替サービスを提示していません。今後、AWSが新たなGitリポジトリサービスを提供するのか、それとも外部サービスとの連携強化に注力するのか、注目が集まります。
まとめ
AWS の Cloud9 と CodeCommit の 新規利用終了は、多くの開発者や企業に影響を与える可能性があります。しかし、代替となるサービスやツールは存在し、移行も可能です。今回の発表を機に、開発ワーク フローを見直し、より効率的で生産性の高い開発環境を構築するチャンスと捉えることもできます。
弊社では CodeCommit の代替として、優れた機能が豊富な GitHub Enterprise を取り扱っております。製品の詳細、お見積り、体験版についてなどお気軽にお問い合わせください。
*AWS Cloud9 と CodeCommit の新規利用終了に関する公式情報については、必ず AWS の公式サイトやドキュメントをご確認ください。