API マネジメントを活用した製造業界での成功

産業革命以来、製造業は世界中で主要産業のひとつとなりました。それ以来、繊維製品からコンピューター チップにいたるまで、製造業は常にイノベーションの方法を模索してきました。AI と API (Application Programming Interfaces/アプリケーション プログラミング インターフェース) の時代には、テクノロジ企業は競合他社よりも優位に立つために技術的なブレイクスルーを求めています。 

このブログ記事では、製造業が直面するおもな問題や、API マネジメントが市場投入までの時間を短縮し、コストを削減し、新たな収益源を解き放つことによって、これらの組織の競争力を高めるのにどう役立っているかについて説明します。

製造業に共通する課題

Kong 社でのポジションで、筆者は製造業に携わる多くの企業とお会いしてきました。時代は変化し、課題も進化します。そして今日、私が耳にし続けているのは、かつて顧客にとって満足のいったものが、多くの場合、もはやそれでは済まないということです。ここでは、製造業が克服しようとしている根強い課題について説明します。

新たな収益源を見つける

歴史的に見れば、製造業には「製品を作り、それを売る」という単純明快な収益ビジネス モデルがありました。かつては単純な需要と供給の相関関係がありました。しかし今日、企業は新たな収益源を生み出すと同時に、顧客により良いサービスを提供しようとしています。

なぜメーカーにとって、単に製品を売るだけでは十分でなくなっているのでしょうか?第一に、市場はさまざまなブランドやメーカーの同等製品で飽和状態にあり、あらゆるモノが商品化されています。多くのメーカーにとって、消費者目線で自社の製品を競合と差別化することが難しくなっています。消費者により良いインセンティブを与えるために、メーカーは既存の製品に付加価値を付ける追加のサービスを顧客に提供しようと考えているのです。

市場投入までのコストと時間

製造業では、コストを評価することは最も重要です。工場を建設するためには、企業は何百万ドル、何十億ドルもの投資をする必要があります。これは非常にコストのかかる、しかし不可欠なプロセスです。企業は常に建設プロセスを最適化し、費用を最小限に抑えようとしています。これにより、投資に何百万ドルもの差が生じる可能性があります。 

加えて、メーカーは常に市場投入までの時間を短縮しようとしています。工場の立ち上げが早ければ早いほど、生産と収益を増やすことができます。 

工場が製品を製造できるようになると、メーカーは製造工程を最適化できるかどうかも確認します。製品の製造が早ければ早いほど、収益も早く上がります。これは収益性にとって極めて重要なポイントであり、拡大や革新を続けるためには、より多くの収益が常に必要とされます。

最近、メーカーが苦悩しているのを目のあたりにしたのは、サプライ チェーンにおける不足と予測可能性の問題です。大手製造企業にとって、こうした問題は莫大なコストがかかります。問題が長引けば長引くほど、損失は飛躍的に大きくなってしまいます。 

サプライ チェーンの問題と並行して、メーカーは需要の不確実性も経験しています。企業は、こうした問題を事前に食い止める方法を模索しています。

製造業における API マネジメントのメリット

製造業がこうした課題に立ち向かうための第一歩は、デジタル化にあります。これは、競争力を持ったソフトウェアを開発することを意味します。独自のソフトウェアを開発することで、顧客満足度を向上させたり、新たな収益源を開拓したりすることができるため、製品の差別化につながります。また、デジタル化のプロセスやソフトウェアの自社開発は、新しい工場や製品にかかる時間やコストの削減にも役立ちます (「デジタル ツイン」)。こうしたデジタル ツインの取り組みから得られた経験は、メーカーが製品を販売する顧客と、収益化できる IoT プラットフォームの構築に利用できます。今日の最新ソフトウェア開発の世界では、分散システム、マイクロサービス アーキテクチャ、クラウドや Kubernetes の採用が成功のカギを握っています。ビジネス モデルに API マネジメント戦略を導入することは、これらの取り組みの基礎となります。

収益と競争優位性のためのソフトウェアおよびサービス

競合他社より優位に立つために、製造業者は API を活用して独自のソフトウェアを構築することができます。筆者の経験では、最も成功している製造企業はこの必要性に気づいています。これは、社内でソフトウェアを強化することから始まり、その後、販売製品に同梱したり、ソフトウェアを製品そのものにしたり、 SaaS として提供したりすることができます。

具体的には何をどうすればよいのでしょうか?最新のソフトウェア開発は、マイクロサービス アーキテクチャとクラウド サービスを活用して、アジャイルかつ高スピードで進めてられています。クラウドとマイクロサービス アーキテクチャに移行する際、組織はコネクティビティを可能にする API を必要とします。最終的には、このプロセスを簡素化して処理できる API マネジメント ソリューションが必要となります。

API マネジメントによって、メーカーは自社のソフトウェアを使って追加のサービスを作ることができます。このような機能は、既存の製品に付随して顧客を魅了します。付加的なサービスにより、顧客は競合他社に比べ、ある企業の製品にはより多くの金額を支払ってもいいと思うかもしれません。メーカーにとっては、価格設定を犠牲にすることなく消費者ベースを拡大し続けられることになります。

こうしたソフトウェアやサービスを製品と並行して販売することで、継続的な収益源を生み出すことが可能となります。大手製造業各社はこぞってソフトウェアを活用し、自社をソフトウェア ビジネスや SaaS 企業に変革することの重要性を表明しています。別の例として、自動車会社は車に付随するアプリを開発し、顧客がよりつながりを感じられるようなサービスを提供しています。

ソフトウェアやサービスに API を利用すると、市場投入までのコストや時間にも大きな影響を与えます。API の活用により、メーカーはデジタル ツインを使って工場建設プロセスを評価し、建設プロセスのスピードアップや不要なコストの予測に役立てることができます。

新たな収益源として、メーカーはデジタル ツインや IoT ソリューションを追加のサービスとして販売できます。メーカーの IoT クラウドは、工場や生産を継続的に監視することもでき、そのデータを顧客と共有すると、顧客はコスト最適化や予知保全に活用できる知見を得られます。

ダウンタイムやサプライ チェーンの問題に対処するため、API サービスは企業内の傾向を注意深く監視し、予知保全を行うことができます。たとえば、ある企業の API は、特定の部品の異常から生じるサプライ チェーンの潜在的な問題に気づくかもしれません。その場合、社内のチームは予防措置として余分な部品を送ることができます。用心するに越したことはありません。製造業者は、ダウンタイムがもたらすコストのリスクを最小限に抑えられるようになります。

時間が経つにつれて、組織はますます多くのデータを収集し、その予測能力がより正確になります。これこそが、製造業の企業がデータ ドリブンになろうとしている理由です。そして、これを実現するには容易にアクセスできるデータが必要であり、そのためには API が必要となります。

適切な API マネジメント ソリューションの選択

API マネジメント ソリューションは製造業にとって極めて重要です。データ ドリブンを目指す企業にとって、自社に適したプラットフォームを見つけるにはどうしたらよいのでしょうか?経験と投資を最大限に活用するために、製造業者が API マネジメント ソリューションに求めるべき主要な機能がいくつか存在します。

API マネジメント ソリューションをご検討中ですか?「API ゲートウェイ ベンダーに聞くべき 5 つの質問」ガイド (英文) をご覧ください。

モダナイゼーションによる製造業の成功

Kong を使用して製造オペレーションのモダナイゼーションを図ると、多くのメリットが得られます。たとえば、Cargill 社は、アジャイル、DevOps、CI/CD の実践と API ファーストのマイクロサービス アーキテクチャを採用することにより、社内の API スイートをよりダイナミックに変革し、創業 150 年で蓄積した豊富なデータを活用しながら、新しいデジタル製品やサービスの開発と展開を加速させました。

Kong でモダナイゼーションを行う際に、メーカーが報告するその他の大きなメリットをいくつか紹介します。

  • コスト削減 — レガシー システムやあまりモダンでないソリューションからの API マネジメントの統合は、大変な仕事に思えるかもしれませんが、心配はいりません!Kong の API マネジメント サービスは軽量で、他の選択肢よりも少ないインフラで簡単に実装できます。このため、Kong の製品は他のソリューションよりも総所有コスト(TCO) の面で費用対効果が高くなります。
  • 比類ないパフォーマンス — Kong の API マネジメント ツールは、軽量で最小限のインフラで動作しますが、パワーや機能を犠牲にすることはありません。Kong は、大規模なデータセットや大量のリクエスト負荷に対して十分な試行を重ねており、市場で最もパフォーマンス性の高いソリューションの 1 つです。どのような事態にも対応できるという安心感が得られます。
  • サイロ化を解消するアーキテクチャの非依存性 — Kong の製品はアーキテクチャに依存しないため、規模の大小、新旧を問わず、ほぼすべての環境に適合します。多くのメーカーは、旧来のソリューションを管理しながら、最新のクラウド ソリューションも活用して俊敏性を維持できるソリューションを求めています。API マネジメントに対する Kong のポリグロット アプローチを使えば、メーカーは現状について心配する必要はありません。Kong の製品はさまざまなプラットフォームのインフラ上で動作し、他のベンダー製品とも連携できます。たとえば、Vestas 社は、Kong が提供するアーキテクチャの非依存性によって、マルチクラウド、ハイブリッド、オンプレミスのデプロイメントをサポートし、レガシー環境をサポートしながら最新のアーキテクチャ要件を満たせることを発見しました。
  • 市場投入までの時間短縮 — API マネジメントは、最適化とイノベーションの可能性を広げ、市場投入までの時間を短縮します。Kong では、API は発見可能で再利用可能です。これは、顧客やユーザーとの API コミュニケーションを可能にすると同時に、社内コミュニケーションにも役立ちます。
  • 自動化 — さらに、Kong は開発者に自動化のメリットをもたらし、チームはインフラに労力を割くことなく、ビジネスの価値創造に集中できます。自動化された API のデプロイメントにより、市場投入までの時間をさらに短縮できます。自動化はまた、サプライ チェーン業務の保護にも役立ちます。Kong は、自動化されたセキュリティとガバナンスでインフラを簡単に保護します。さらに、Kong の充実したプラグイン エコシステムにより、新たに発生する、または独自のセキュリティ上の懸念に対応できるカスタマイゼーションを実現できます。
  • API の収益化 — 一部の企業は、API を直接公開して収益化することを検討しています。たとえば、「スマート」ビルディング業界のメーカーなどが挙げられます。彼らはこれまで建築資材を製造、販売してきましたが、今ではそれらの建材を追跡、監視できる API サービスを統合することが可能です。これにより、建設プロセスにおける各パーツが互いにコミュニケーションを取り合い、データの読み取りや保存方法において相互に連携するようになります。彼らは、この情報を自社のデータ セットや分析に活用できるだけでなく、顧客にもこのデータにアクセスするオプション サービスを提供することができます。最終的には、SaaS の提供や  API を介したデータ アクセスの収益化により、新たな収益源を生み出すことができるのです。これは、製造業が API を直接公開して収益化するための試みの一例です。製造業界の未来にとって、これが次のステップとなる可能性があり、Kong はその実現をサポートします。

製造業界の成功事例

製造業界における Kong のお客様についてもっと知りたいですか?以下の成功事例 (英文) をご参照ください。

API マネジメントの利点に関するさらなる洞察については、セキュアな API ファースト企業になるためのガイド (eBook: “Become a Secure API-First Company by Protecting Your Digital Infrastructure”) をご覧ください。

記事参照: 2024 年 7 月 29 日
© Kong Inc. 2024
Building Success in the Manufacturing Industry with API Management

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