潜在顧客から最もよく聞かれる質問の 1 つは、「API を収益化する正しい方法は?」です。この記事では、我々の経験から最適な方法と一般的な落とし穴を紹介します。
確実に言えることは、「作成すれば収益化できる」という API 収益化戦略はうまくいきません。当たり前だと思われるかもしれませんが、少なくないケースでそれが試されています。ここでは、API 収益化におけるこの一般的な誘惑を回避する方法を示します。
API 収益化戦略
適切なチームが重要
数多くのクライアントとの戦略ワークショップに参加した経験から、収益を生み出す API ベースの製品を構築する第一の要因は、プロジェクトを実行するチーム構成と言えます。
多くの場合、社内システムを近代化するために行った投資によって、これらのサービスを自動化して顧客に直接収益化するという新しい可能性に最初に気付くのは、先見性のあるテクノロジ リーダーです。
しかし、彼らの思い描くサービスを立ち上げるために必要なことを整理すると、サービスを成功させるには、顧客を開拓するマーケティング、顧客をサポートするサポート チーム、サービスの価格設定と販売を行うセールス チームなどが必要になることが分かります。
計画を立てる際に重要なことは、これは単なる技術的な取り組みではなく、完全に新しい製品やサービスの創造であるということです。これは当たり前のことですが、API 収益化をサポートする適切なテクノロジの実装 (これは間違いなく重要ですが、必要な要素のせいぜい半分程度です) に注目するあまり、このことが忘れられがちです。
要するに、収益化を成功に導くには、製品管理とテクノロジ (IT/エンジニアリング) のシニア リーダーが協力して取り組む必要があります。
テクノロジ リーダーは、社内で構築した自動化インフラや API エコシステム上に有料サービスを構築する機会を見出したら、最初に製品管理部門に連絡を取り、新しい収入源を構築できることを伝えます。
潜在需要の特定
製品管理リーダーは、顧客からの API 駆動型サービスの需要について、懇意のセールス/カスタマー サクセス担当者とパートナー/提携先に連絡すべきです。
顧客やパートナーから、API を使った既存サービスの拡張について尋ねられたことがあるかどうか、それぞれの担当者に確認します (経験上、この方法で潜在需要が特定されることは多く、これは先に進む前に必ず行うべきです。この方法で興味のあるパートナーや顧客を特定できれば、ゴールへの大きな近道が見つかったことになります)。
消滅を避け、MVP をすばやく特定
API 収益化には本質的に全く新しいビジネスを構築する必要があることを認識した後、残念ながら、取り組みが止まってしまうケースは少なからずあります。
マーケティング、セールス、運用、財務など、サポートが必要なすべての部門に、予定外のプロジェクトのためにスケジュールを調整してもらうことは、特に経営陣のサポートがなければ困難であるため、無理もないことです。
そのため、問題を管理しやすい MVP (Minimum Viable Product: 実用最小限の製品) サイズに縮小することを推奨します。
製品管理の作業
このプロセスの最初のステップでは、製品管理部門で API を利用したサービスのアイデアを出し、セールス チーム、パートナー、顧客の協力を得て、その需要を調査する必要があります。
作業期間は約 30 日に設定します。期間内に需要が見つからない場合、これは短期的に追求する価値のある取り組みではないと言えるでしょう (しかし、調査することによって、その判断をすばやく下すことができます)。
製品管理上の重要な質問はほかの製品と変わりありません。
- どのような問題を解決するのか?
- その問題は、顧客がお金を払ってでも解決したいと思うものなのか?
- ターゲットとなる顧客は? 誰がこの問題を抱えているのか?
- 代替品 (自社サービスまたは競合サービス) は?
- その他
この時点で、プロセスを通じて需要のあるアイデアがいくつか見つかっている場合、次のステップは優先順位を決定することです。これは、詳細な検討と複雑な意思決定のプロセスになる可能性がありますが、この記事では簡潔にするために、推奨事項を 2 つに絞って説明します。
- 対価を払う意思のある顧客を優先する。調査でサービスにお金を払う意思のあるパートナーや顧客を特定できた場合、彼らを最優先にします。彼らはサービスの構築を助け、プロセスの最後に対価を払ってくれる顧客を実質的に保証し、MVP を正当化するのに役立ちます。
- シンプルさはすべてに勝る。MVP 候補を検討する場合、コンプライアンスのハードルが最も低いもの、開発に要する時間が最も短いもの、複雑でない価格モデル、事務部門がサポートすべき変更が最も少ないものなどを選びます。MVP の主な目的は、アイデアをテストするための投資を最小限に抑え、プロセスを成熟させ、想定外のギャップを明らかにすることです。MVP をシンプルにすればするほど、社内の抵抗が減り、ギャップを発見するまでの投資も少なくて済みます。そして、MVP の成功の後に続く、より複雑な取り組みにおいて、これらの問題すべてにうまく対処できるようになります。
まとめ
上記のステップに従うことで、API 収益化の取り組みの強固な基盤を構築し、最初の API を利用した製品を作成するのに必要なリスクと投資を最小限に抑えることができます。
しかし、API 収益化の取り組みを成功させるには、ビジネスとテクノロジの円滑な連携が不可欠です。次回は、テクノロジの観点から API 収益化のベスト プラクティスに注目します。
著者紹介
Jason Cumberland は、API およびデータ収益化プラットフォーム HyperCurrent の CPO 兼共同設立者です。これまで数十社の企業幹部に対して、API 収益化戦略の構築と成熟を支援してきました。
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参照記事: 2022 年 5 月 11 日
Jason Cumberland
© Kong Inc. 2022
「API monetization: How to get started」