コンテンツ開発プロセスを改善する方法

この記事では、MadSkills の MadCap Flare コンサルタントとして Nestlé 社と 2 年余り協業し、さまざまな共同ドキュメント作成ツールの導入に携わった Hennah Rahman 氏の体験を紹介します。Microsoft Word から MadCap Flare へのコンテンツ移行に数多く取り組む過程で、Nestlé 社のチームはコンテンツ開発プロセスを変更し、効率を高めてビジネス目標を達成する必要性を認識しました。

コンテンツ開発プロセスを構築する際は、多くの要素と制約を考慮し、その時点で可能な限り最適なプロセスを構築しますが、時間の経過とともに状況は変化し、プロセスが機能しなくなったり、より良いコンテンツを作成するためプロセスの改善や変更が必要になることがあります。

Nestlé 社もこの課題に直面しました。そして、ラーニング センターのコンテンツとコンテンツ開発プロセスの品質を向上し、対象分野の専門家 (SME) がコンテンツをより簡単に更新できるようにし、テクニカル ライティング ソフトウェア、MadCap Flare のデザイナー、ライターが、コンテンツの保守ではなく、新しいプロジェクトにより多くの時間を費やせるようにするため取り組むことになりました。

コンテンツ開発プロセスの検証

まず、Nestlé 社のチームは、コンテンツ開発プロセスにおいて何が機能していて、何が機能していないかを検証することから始めました。これには、マイクロコンテンツの作成や、トレーニングと開発の効率を高める学習およびコンテンツ開発ツールの活用が含まれます。

コンテンツ マーケティングと開発の現状把握

コンテンツ開発プロセスを改善する前に、それが構造化されたコンテンツの作成と編集をどのように促進しているか、現状をを理解することが不可欠です。明確に定義されたコンテンツ マーケティングのワークフローは、制作を効率化し、一貫性を確保し、ビジネスの目標や目的と整合性を確保するのに役立ちます。執筆とレビューのプロセスを効率化し、コンテンツ目標をオーディエンスの期待やマーケティング戦略と整合させるには、構造化されたコンテンツ開発計画が不可欠です。非効率性は進捗を遅らせ、目標達成やオーディエンスとの効果的なエンゲージメントを阻害する可能性があります。

ステップ 1: コンテンツとトピックの提案

多くの場合、対象分野の専門家 (SME) は、以下の方法でコンテンツを提案します。

  • 散発的なフィードバックを含むメール
  • SharePoint 経由で共有された Microsoft Word ファイル
  • 会議での口頭によるやり取り

これらの方法は効果的かもしれませんが、体系的な追跡が欠如しているため、紛失、作業の重複、見落としや遅延につながることがよくあります。

ステップ 2: コンテンツの作成と編集

SME から提案を受け取ると、コンテンツ開発チームはコンテンツの作成や更新に取り掛かります。これには以下の作業が含まれます。

  • SME のフィードバックに基づいたコンテンツの作成や修正
  • メールや Word 文書で受け取った編集内容の反映

しかし、情報が不完全であったり、何度も確認が必要な場合は、ボトルネックが発生し、進捗が遅れることがよくあります。

ステップ 3: コンテンツのレビューと承認

レビュー プロセスは通常、以下のサイクルで行われます。

  • SME がドラフトをレビューし、メールまたはドキュメントにコメントを追加して編集内容を提出します。
  • ライターが SME のフィードバックを確認します。
  • ライターが変更内容を反映し、変更済みのコンテンツを SME に送って承認を得ます。
  • 同時に複数のバージョンが存在するため、混乱が生じる場合があります。

この方法は時間がかかり、修正を効率的に管理する一元的な追跡システムが欠如しています。

ステップ 4: 公開と配信

  • コンテンツが承認されると、以下の処理が行われます。
  • ラーニング センターにコンテンツがアップロードされます。
  • プラットフォームでコンテンツが公開されます。
  • 社内外のチャネルを通じてコンテンツが配信されます。

コンテンツ配信プラットフォームを活用することで、新しく作成されたコンテンツが適切なチャネルを通じて適切なオーディエンスに効率良く正確に届けられます。しかし、正確性を確保するには手作業による監視が必要となることが多く、効率性とリソースの割り当てに影響します。

コンテンツ開発プロセスの成功と課題の特定

Nestlé 社の従来のワークフローでは、対象分野の専門家 (SME) は、追加や更新が必要な新しいトピックについて、Microsoft Word ファイルをメールや Microsoft SharePoint で共有していました。場合によっては、説明に加えて、更新や追加すべき内容を示す画像をメールに添付することもありました。このプロセスは機能していましたが、SME はラーニング センターの個々のチーム メンバーと直接やり取りしていたため、これらのタスクに費やされている時間を把握するのは困難でした。皆さんも経験があるかと思いますが、メールは埋もれてしまうことがあるため、SME からの提案を見落とすことがありました。

学習コンテンツや e ラーニング コンテンツの更新には Microsoft Word が使用されていましたが、一部の SME は MadCap Contributor も使用していました。その場合、SME はコンテンツを更新するため、ラーニング センターのチーム メンバーにメールで MadCap Contributor パッケージの提供を依頼していました。Flare 担当者は、SME から戻された MadCap Contributor パッケージの変更内容を一目で確認できるため、これは効果的なアプローチでした。しかし、SME は新しい編集ツールを使いこなすため、ある程度の学習期間を必要としました。さらに、MadCap Contributor パッケージを Flare にインポートする際に、同じファイル名が使用されていると、画像が上書きされてしまう問題がありました。そのため、Nestlé 社のチームは、リスクを冒す価値はないと判断しました。

MadCap Central (現在の MadCap Flare Online) もわずかですが使用していました。この軽量なエディターは、コンテンツのレビューや投稿を容易に行うことができますが、Flare のすべてのスタイルを表示できるわけではなく、レビュー エディターで画像や表を追加できないという制約がありました。

学習コンテンツ開発プロセスでは Acrolinx も使用していましたが、期待していたほど活用されていませんでした。Microsoft Word では Acrolinx は機能していましたが、推奨された更新を適用するとコンテンツの意味が変わってしまったり、文書化されている情報の種類によっては適用できないことがありました。そのため、SME は不満を抱き、Acrolinx スコアが向上せず、提案も役に立たないと感じて、最終的に Acrolinx の使用を中止しました。Acrolinx for Microsoft SharePoint はほとんど利用されず、MadCap Contributor 用の Acrolinx プラグインには問題がありました。Acrolinx はバージョン 1.2 以降で MadCap Contributor のサポートを終了しており、今後も MadCap Contributor のサポートが追加される予定はありません。MadCap Flare は引き続きサポートしています。

SME とラーニング センター チームにとって何が機能し、何が機能していないのかを理解し、テクニカル ドキュメントの書き方の学習方法とコンテンツの開発方法のどこを変更して改善すべきかを把握するためのアンケートを実施しました。アンケートの結果について、次のセクションで説明します。

教訓: コンテンツ開発戦略の合理化

レビューを担当する SME のフィードバックから、コンテンツ戦略を改善するには、コンテンツ開発プロセスから MadCap Contributor を排除する必要があることは明らかでした。これにより、MadCap Central (現在の MadCap Flare Online) と Microsoft Word の 2 つの選択肢が残されました。これらの選択肢をそれぞれ検討した結果、ラーニング センター チームは、MadCap Central をより堅牢なレビュー ツールにするため、初期の時間と労力を投入することにしました。必要に応じて Microsoft Word も使用しますが、SME には更新にかかる時間が短く、費用対効果も高い MadCap Central の使用を推奨しました。また、可能な限り CSS スタイルを簡素化し、div の使用を減らすことが、Word コンテンツのインポートに役立つ可能性があると判断しました。コンテンツ開発ワークフローを最適化することで、長期的なコンテンツ戦略をサポートし、公開されるすべての資料で一貫性を確保する、よりスケーラブルなプロセスを構築できます。

次のステップ: ワークフローの簡素化

今後、ラーニング センター チームは、MadCap Central で現在のトピック ページ テンプレートがどのように表示されるかを確認します。そして、MadCap Central でスタイルが正しく表示され、簡素化されるように、Flare の既存のスタイルを変更するか、新しい CSS スタイルを作成する予定です。目標は、コンテンツ開発を合理化し、簡素化されたスタイルにより SME によるコンテンツ更新と管理を容易にし、ラーニング センター チームのクリーンアップ作業を軽減することです。MadCap Central に表と画像のサポートが追加されたことは、私たちにとって大きなメリットでした。MadCap Central の画像サポートを利用するには、Flare 2024 へのアップグレードが必要ですが、その価値があると考えています。この待望の機能を使い、ワークフローをさらに簡素化するのが待ち遠しいです。

並行して、ラーニング センター チームは SME と協力し、各ラーニング センターが作成するコンテンツの種類に基づいてカスタマイズされた Acrolinx プロファイルの定義に取り組んでいます。このプロセスは、SME により積極的な関与を促し、Acrolinx を使用して推奨される変更を適用することの価値を認識する助けとなるでしょう。MadCap Central のトピックで Acrolinx を使用したレビューを有効にするため、すべての SME に Acrolinx Chrome 拡張機能プラグインのインストールを依頼する予定です。

さらに、ラーニング センター チームは、トピックの更新と新規トピックの提案プロセスを自動化するためさまざまなツールを調査しています。これにより、コンテンツ更新の提案とそれに費やされた時間を追跡できるようになります。理想的には、SME のプロセスも簡素化され、MadCap Central コンテンツ管理プラットフォームでページの更新を迅速かつ簡単に提案できるようになります。

新しいコンテンツ開発プロセスのこれらの側面をそれぞれ定義、テスト、最終化するにあたり、これらのプロセスを文書化し、SMEと共有する予定です。包括的なコンテンツ開発計画は、コンテンツの作成、レビュー、配信のプロセスが効率的でマーケティング目標と一致していることを確認し、MadCap Central へ移行するのに役立つでしょう。

まとめ

コンテンツ開発プロセスの見直しは価値のある取り組みです。改善により学習者向けコンテンツの質を向上し、生産性を高め、プロジェクト コストを削減することが可能です。

MadCap Flare の評価版でドキュメント作成ワークフローを効率化する強力な機能をぜひ体験してみてください。


この資料は、MadBlog で 2025 年 5 月 14 日に公開された「How to Improve Your Content Development Process」の日本語参考訳です。

This blog first appeared on the MadCap Software website. MadCap Software is the leading software provider for end to-end documentation solutions.

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