フォトグラメトリと自動車事故

フォトグラメトリの有用なアプリケーションの 1 つに、自動車事故、特に現場の証拠を除去された後の自動車事故シーン再現の分野があります。自動車事故現場を再現できるフォトグラメトリの機能は、事故の余波を調査する警察や法医学の専門家にとって非常に重要です。自動車事故は、重大な人身傷害、物的損害、ひいては死亡につながる可能性があります。時として、衝突した車両は全壊し、アクセスできない場合もあります。

それでは、捜査官はそのような状況でいかにして事故の全貌をつなぎ合わせるのでしょうか。その答えは、事故現場の写真を処理し、3D 空間でポイントを三角化し、エリアの 3D モデルを作成して主要な測定値を抽出できるフォトグラメトリ ソフトウェアかもしれません。フォトグラメトリによるモデルを使用して事故現場を再現し、事故の瞬間に車両がどれくらいのスピードを出していたのか、またその進行方向などを見極めることができます。また、警察やその他の関係者は、これらの再現モデルを法廷で証拠として使用することもできます。

この記事では、物理学的な観点から自動車事故に触れ、PhotoModeler Technologies のフォトグラメトリ プログラムがどのようにして事故現場を再現し、警察や科学捜査官の作業に役立てられているのかについて説明します。

自動車事故と物理学

自動車事故を再現するには、事故発生の背景にある物理学を理解する必要があります。本質的なところまで突き詰めると、自動車事故は、力とエネルギーの危険な組み合わせを伴います。ここでは、物理学の基本的な部分に触れます。衝突について論じる際には、力、運動量、運動エネルギーの 3 つを検討します。車両がオブジェクトにぶつかると、その運動量は常に保持されます。オブジェクトに作用する力は、その質量と、移動 (加速) 具合によって異なります。エネルギーが失われることはありませんが、総運動エネルギーは変化します (残りのエネルギーは、音、熱、光、およびマテリアルの変形に使われます)。また、弾性衝突と非弾性衝突の概念も関わってきますが、自動車事故においては、その両方の組み合わせとなります (これは、オブジェクト間で運動量がどう伝達するかに影響します)。車は、建物のような固定のオブジェクト、別の車や自転車のような可動オブジェクト、または電柱のように、その中間に位置するオブジェクトにぶつかることがあります。いずれの場合も、 2 つのオブジェクトは衝突後に異なる動作をします。衝突後の特性として重要なのは、変形の速度と変形量です。

私たちは、個人的な観察から (そして映画の自動車事故シーンからも) 大きな建物にぶつかった車が建物に小さな損傷 (亀裂または小さなへこみ) を与える可能性があることを理解していますが、車は多くの運動エネルギーをノイズや変形などの他のエネルギーに変換します。巨大な建物 (およびその基盤となる地球) は、さほど動くことはないでしょう。しかし逆に、自転車や歩行者に衝突する車自体には大きなダメージはありませんが、相手側のオブジェクトには多くのエネルギー (およびダメージ) を与えます。

双方のオブジェクト (一方が車、もう一方が車、建物、柱、自転車、または歩行者) の特性 (質量、摩擦など) がわかっている場合には、衝突時の速度などを決定できます。速度がわかっている場合には、運転手が制限速度を違法に超えていた (よって過失がある) かどうかを判断できます。また、進行方向を見極め、目撃者や運転手の説明を裏付けることもできます。この情報は、自動車保険の査定や訴訟において過失の判断を下す際に役立ちます。証言者の説明と物理学的な検証が一致することは、訴訟では非常に有利です。

自動車事故現場におけるフォトグラメトリの適用

自動車事故後の法廷での訴訟においては、時としてフォトグラメトリで生成された測定値やモデルが唯一の証拠となる場合があるため、フォトグラメトリ ソフトウェアは重要な役割を果たします。フォトグラメトリ業界に携わる人々、または PhotoModeler のブログ記事の以前からの読者は、フォトグラメトリが写真をもとにした測定技術であることをすでにご存じですが、自動車事故現場の再現において因果関係を証明するのに必要な要素とは一体何でしょうか。

PhotoModeler などのプログラムのフォトグラメトリ アルゴリズムでは、衝突の角度、道路上のタイヤのスリップ痕、あらゆる物的損害、オブジェクトが衝撃を受けた角度、車両自体のダメージの程度などの状況的要素をキャプチャした写真が必要となります。

総じて、フォトグラメトリは、それらのオブジェクトの写真から事故現場や車の主要な部分の測定値を割り出します。測定結果から、調査員は他のソフトウェアまたはスプレッドシートを使用して状況を物理学的に計算します。事故の測定値を delta-v (速度の変化) に変換して車両の走行速度を算出したり、タイヤのスリップ痕を測定して速度を推定したり、事故現場とそのすべてのパーツ (道路、交通信号、照明、車が残した跡、車の停止位置など) をマッピングすることが可能です。フォトグラメトリを使ったこのようなマッピングは、法廷で有用な証拠となります。

フォトグラメトリに使用するための写真は、その概念に精通した人物が撮影すべきであることも付け加えておくべきでしょう。フォトグラメトリ ソフトウェアに使用するには、撮影時の最適なカメラの位置や角度、正確な「ターゲット」を把握したうえで撮影された写真が必須となります。

警察による事故現場の測定は、フォトグラメトリの主要な適用方法の 1 つです。警察では、地上レベルで撮影した写真と、上空からドローンで撮影した写真の両方を使用します。専門家以外の人物が撮影した写真 (事故現場の目撃者、保険査定人、または防犯カメラで撮影された写真など) も使用される場合があります。これらの補助的な写真は、他の現場データと組み合わせることにより、訴訟において重要な証拠となることがあります。

ここで考慮すべきもう 1 つの重要な点は、自動車事故後に関与する、警察と科学捜査官の相違点です。この 2 つの職業は異なる役割を果たしています。警察は証拠を記録し、破壊されることのないよう保存します。その後、警察は道路を公共に再開する必要があります。一方、科学捜査官は、事故後の現場を再構築しなければならず、場合によっては必要なデータ (上記の目撃者や防犯カメラの画像など) が不足しています。 事故そのものが凶悪犯罪である場合や、特に死亡者がいる場合、警察はこの事故現場の再構築に関与することもあります。

最終的には、事故現場に関連するすべてのパーツの重複する写真を十分に取得することにより、関係者はフォトグラメトリ プログラムを使って写真のポイントをマッチングして三角法を適用し、スケーリングした事故現場の 2D または 3D モデルを作成できます。モデルのオブジェクトがすべて正しい場所にあり、角度も幾何学的に正確に表示されているため、科学捜査官はコンピュータの前に座った状態で、選択した任意の角度から自動車事故のシーンを確認することができます。 このデータは、法廷で事故の原因を論証するために使用されます。

自動車事故で使用されるフォトグラメトリ ソフトウェア

フォトグラメトリ ソフトウェアは、自動車事故の再現において高い有用性を提供するため、PhotoModeler 製品は警察、犯罪現場の調査官、エンジニアなどの業務で役立てられています。PhotoModeler Technologies は、警察やエンジニアリング業界との 25 年にもわたる長年の関係を誇りとし、今後もフォトグラメトリ技術をもってその関係を継続していけることを期待しています。


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