最新の PDF デジタル署名規格のサポートした iText 8

iText PDF ライブラリのバージョン 7 の最初のリリースから 7 年、iText Core バージョン 8.0.0、別名 iText 8 をリリースしました。

iText 8 の新機能

2016年に iText Core バージョン 7.0.0 をリリースでは、iText をゼロから作り直すために振り出しに戻りました。iText 2/5 や .NET 版の iTextSharp など、さまざまなバージョンで iText を継続的に開発し、開発者やお客様が求める機能を追加してきた結果、少し扱いづらくなっていました。iText 5 はモノリシックなライブラリであるため、機能を追加していくうちにコード ベースが大きくなっていきました。

そこで iText 7 は、開発者が必要な機能を決め、そのモジュールだけを読み込むことができる、よりスリムでモジュール化されたライブラリとして誕生しました。フォームや SVG の機能が必要なければ、formssvg のモジュールをロードする必要はなく、貴重なメモリや初期化時間を節約できます。

同時に、モジュラー アプローチにより、セキュアな再編集、複雑な言語レンダリング、HTML/XML を PDF 作成のテンプレートとして使用するなど、特殊なアドオンで iText の機能を拡張することができました。お客様のニーズや要件を満たすために、iText Suite の一部として新しいアドオンの開発を続けてきました。

iTextバージョン 8 は、この考え方をさらに進化させ、現代の文書処理のニーズに応えるべく、コア ライブラリを書き直し、改良を加えています。バージョン 7 は当時予定されていたPDF 2.0 仕様を中心に設計されていましたが、iText Core 8.0.0 では、多くの新機能を導入し、PDF 2.0 の最新の暗号関連の拡張をサポートしています。

iText Core 8.0.0 のリリースノートはこちら。

それでは、新機能をより詳しく見ていきましょう。

新しい電子署名規格に対応

特に、ISO/TS 32001 で規定されている SHA-3 ハッシュ関数のサポートが追加され、ISO/TS 32002 からは、デジタル署名用のモダンな楕円曲線もサポートされています。これらの拡張機能は非常に新しいものですが、特に PDF Association とISO の両方に関連しているため、iText のようなオープンソース プロジェクトでは、このような標準を早期にサポートし、普及させることが重要だと考えています。

FIPS の標準サポート

暗号製品の評価基準である連邦処理基準 (FIPS 140-2) に準拠するため、iText Core に Java および .NET Bouncy Castle FIPS API のダイレクト サポートが追加されました。FIPS 140-2 は米国/カナダ連邦の規格ですが、実用的なセキュリティと現実的なベストプラクティスとして、世界中の政府/非政府部門で広く採用されています。

.NET ユーザーの方は、FIPS のサポートは .NET Core で動作しますが、制限のため、 .NET Framework は現在サポートされていませんので、ご注意ください。

SHA3-512 アルゴリズムにて承認モードで FIPS を使用するコード例、また、FIPS実装の使用に関する詳細については、Bouncy Castle changes ページを参照してください。

その他のデジタル署名の変更点

新機能 (PAdES の優先方式として ETSI が指定した RSASSA-PSS パディング方式など) のサポートと、デジタル署名のプロセスを容易にするために、sign モジュールに大幅な改良を加えました。

フォーム作成の改良

form モジュールにも大きな改良が加えられました。フォームを作成する際、iText で PDF を作成する際に好まれているような、より論理的なレイアウトベースのアプローチを利用することができるようになりました!フォーム フィールド用のレイアウト要素を作成し、ParagraphTableDiv などの他のレイアウト要素と同様に、Document オブジェクトに追加できます。これにより、フォームの作成とメンテナンスが非常に楽になります。

コード例や、Forms module changes ページもあわせてご確認ください。

その他の新機能

二重マッピングを含む非同一 CMap (UniJIS-UCS2-H など) を含む PDF からのテキスト抽出についても、とても素晴らしい改良が加えられています。この変更により、文書内の CMap のソース エンコーディングに関係なく、信頼性の高い Unicode 抽出が可能になりました。

GitHub リポジトリには、新しく改良された Java.NET のレイアウト モジュールのドキュメントがございます。

また、一般的な API の改善も多く、リリースノートや API ドキュメントでより詳しい情報をご覧いただくことができます。

iText Core のリリースに伴い、iText Suite のアドオンの一部も更新しました:

pdfCalligraph 4.0.0

pdfCalligraph は iText Core のアドオンで、PDF 文書を作成する際に高度な書体サポートを提供します。グローバルな言語や文字体系に対応した正確なレンダリングにより、ドキュメント ワークフローを拡張することができます。

pdfCalligraph のリリース 4.0.0 では、com.ibm.icu.icu4j の依存関係を更新しました。また、このリリースは iText Core バージョン 8.x.x リリースとの互換性のために行われています。

pdfHTML 5.0.0

pdfHTML は、HTML/XML (および関連する CSS) から PDF を作成するための iText Core アドオンです。

pdfHTML 5.0.0 の新機能は、入れ子要素の外観に影響を与える CSS プロパティ text-decoration-color のサポートです。この CSS プロパティは、text-decoration-line プロパティによって追加されたテキスト装飾の色を設定します。

pdfOCR 3.0.0

pdfOCR は、iText Core のアドオンで、文書や画像に OCR を実行するためのものです。

このリリースでは、JDK19 と Leptonica ライブラリを使用する際に、例外が発生する可能性がある非互換性の問題を解決しました。このリリースは iText Core バージョン 8.x.x リリースとの互換性のために行われています。

pdfOptimizer 3.0.0

pdfOptimizer は、PDF のファイル サイズを縮小するための iText Core アドオンです。

このバージョンでは新しい変更点はありませんが、このリリースは iText Core バージョン 8.x.x リリースとの互換性のために行われています。

pdfSweep 4.0.0

pdfSweep は、PDF からコンテンツを安全に再編集するための Java と .NET 用の iText Core アドオンです。

このバージョンでは新しい変更点はありませんが、このリリースは iText Core バージョン 8.x.x リリースとの互換性のために行われています。

pdfXFA 4.0.0

pdfXFA は、Java および C# (.NET) 用の iText Core アドオンで、動的な XFA フォームを静的な PDF にフラット化することが可能です。また、変換された XFA フォームにデジタル署名を追加することで、PDF ワークフローでのさらなる処理やアーカイブのための追加セキュリティとして利用できます。

このリリースでは、テーブル セルに関連するいくつかのフラット化の問題と、コンテンツがページ領域の外側に描画される問題が修正されています。

まとめ

このリリースの目的は、将来の開発のための優れたプラットフォームを構築し、PDF 作成 (PDF/A および PDF/UA を含む)、PDF へのデジタル署名、その他多くの機能を備えた、最も高性能で開発者に優しい Java および .NET ライブラリとしての iText の評判を維持することにあります!

最新の PDF デジタル署名規格のサポート、FIPS 準拠、フォーム作成の改善など、iText Core バージョン 8 は、以前の iText バージョンよりも大きな飛躍を遂げたと確信しています。

 

本製品に関するご質問、ご不明な点はエクセルソフトまでお気軽にお問い合わせください。

iText 製品の詳細は、弊社 Web サイトをご確認ください。

 

記事参照:
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