Docker 社は、安全かつ高品質なアプリを迅速にリリースするためのツール提供に重点を置いています。過去数年間、継続的に新プランや新製品/機能をリリースし、個人の開発者や組織のニーズに対応してきました。今回の Docker サブスクリプション プランのアップデートは、開発ワークフローにさらなる価値、柔軟性を提供します。
インナー ループを高速化
Docker コミュニティの声から、多くの開発者が、現在のニーズを満たすだけでなく将来のニーズにも対応できる新たな機能を備えたツールを求めていることが明らかになりました。
このニーズに応えるため、Docker はユーザーがすべてのツール (Docker Desktop、Docker Hub、Docker Build Cloud、Docker Scout、Testcontainers Cloud) へアクセスできるよう、 プランを一新しました。Docker で開発の効率性や安全性を高めているユーザーは、すでにこれらすべてのツールを活用しています。
新しい包括的なスイートにより、1 つのサブスクリプションで、必要なすべての機能に簡単にアクセスできます。また、新製品に対する従量課金制の導入により、必要に応じて追加することもできます。これにより、すべての有償サブスクリプション ユーザーは、従量課金制オプションを含むすべての機能へのアクセスが可能になり、ニーズの変化に応じてリソースを拡張できます。個人の開発者、小規模なチームのメンバー、大企業のいずれであっても、新しい Docker Personal、Docker Pro、Docker Team、Docker Business のそれぞれのプランで、適切なツールをすぐに利用開始できます。
これらの変更により、Docker Hub へのアクセス上限を引き上げただけでなく、新機能にアクセスできるようにしました。Docker Scout の高度なセキュリティとソフトウェア サプライ チェーンの洞察から、Docker Build Cloud の生産性を向上する機能まで、アプリケーションを迅速かつ効率的に構築、デプロイ、検証するためのツールを提供します。
Docker 社のこれまでのリリース
- 世界最大のコンテナー レジストリ: Docker 社は、現在までに Docker Hub に 100 万ドル以上を投資しており、現在、60 ペタバイトを超えるデータを保有し、毎月数十億回のプルを処理しています。Docker Hub では、コンテンツの見つけやすさ、詳細なイメージ分析、イメージのライフサイクル管理、および検証済みの高保証コンテンツがさらに改善されました。
- インサイトの向上: ビルド ビューから GitHub Actions ビルドの検査、ビルド チェック、Scout のヘルス スコアまで、チームの使用状況をより詳細に把握し、開発の成果を上げるための分析情報を提供しています。今年後半には、Docker Desktop におけるインサイト機能のリリース予定しています。
- ソフトウェア サプライ チェーンの保護: 2023 年 10 月に Docker Scout をリリースし、ポリシー評価と修正の推奨により本番環境に移行する前にセキュリティ問題に対処し、ソフトウェアの SBOM を追跡できるようにしました。その後、開発者がイメージの安全性を迅速に評価し、ソフトウェア サプライ チェーン全体でアプリケーションのセキュリティ改善を加速するための新しい機能を追加しました。
- コンテナーベースのテスト自動化: 2023 年 12 月には、Testcontainers の開発元である AtomicJar 社を買収し、コンテナーベースのテスト自動化を追加しました。Testcontainers Cloud は、エンタープライズ機能とスケーラブルなクラウドベースのインフラストラクチャを提供し、組織全体で一貫した Testcontainers エクスペリエンスで監視を一元化します。
- 強力なクラウドベースのビルダー: 2024 年 1 月、Docker Build Cloud をリリースし、強力なネイティブ ARM および AMD クラウド ビルダーと共有キャッシュを組み合わせて、ビルド時間の最大 39 倍高速化を実現しました。
- ビジネスのセキュリティ、制御、コンプライアンス: Docker Business プランを保有しているユーザー向けに、セキュリティとコンプライアンスの機能を強化し、安全かつ効率的な開発を実現できるようになりました。Docker Business は、エンタープライズ グレードの開発環境に最適な機能として、ロールベースのアクセス制御 (RBAC)、SOC 2 Type 2 コンプライアンス、一元管理、コンプライアンス レポート ツールを備えています。 しかしこれは Docker Business のほんの一部の機能に過ぎません。今後、セキュリティと効率性を向上させる組織アクセス トークンをリリースする予定です。これにより、組織レベルでのアクセスを容易にします。
- AI アプリケーションの構築支援: 新しい GenAI Stack や、GitHub Copilot の拡張機能、NVIDIA とのパートナーシップ、AI ヒント コンテンツの提供により、Docker コミュニティの AI アプリケーション開発を簡素化します。
これまで、新機能のリリースや世界最大のコンテナー レジストリを提供してきましたが、今後も改善を続け、そのためのリソースも増えていきます。今回、包括的なスイートの提供に伴い、価格改定も行いました。以下では、変更点の概要をご紹介します。
- Docker Business の価格: 価格に変更はありませんが、付加価値と機能が追加されます。
- Docker Team の価格: 月額 9 ドル (1 ユーザー) から 月額 15 ドル (1 ユーザー) に変更します (年間割引、年間割引を適用しない場合は 16 ドル)。
- Docker Pro の価格: 月額 5 ドルから月額 9 ドルに変更します (年間割引、年間割引を適用しない場合は 11 ドル)。
- Docker Personal: 今後も無料でご利用いただけます。このプランは、すべての開発者がコンテナー ファーストである Docker のアプローチを体験できるよう、引き続き改善していきます。
- Docker Hub のイメージのプルとストレージを制限しますが、これは、商用アカウントの 3%未満のみにしか影響はありません。サービス アカウントをお持ちの Docker Team や Docker Business ユーザーは、イメージ プル制限の上限の引き上げにより、以前に発生していた料金がなくなります。
- Docker Build Cloud を利用できる量 (分) の増加と無制限の Docker Scout リポジトリ分析により、生産性を向上させるための十分な量 (分) とリポジトリ数が提供されます。
- Docker Hub を含むすべての製品に従量課金制の価格設定を適用して、柔軟性とスケーラビリティを提供します。
すべてのプランでより多くの価値を提供
一新したプランには、より多くの機能、上限が引きあがった使用制限、簡素化された価格設定が含まれており、すべてのプランでより大きな価値を提供します。一新したプランには、次のものが含まれます。
- Docker Desktop: Docker Desktop は、高度なセキュリティ機能、シームレスなクラウドネイティブ互換性、エンタープライズ グレードの管理をサポートしながら開発を加速するツールを備えています。また、業界をリードするコンテナーファーストの開発ソリューションとして進化し続けています。
- Docker Hub: Docker サブスクリプションは、プライベートおよびパブリック リポジトリの使用など、Hub の基本機能をカバーします。Docker Hub が世界最大のコンテナー レジストリとして成長し続けるために、イメージのプルとストレージに従量課金制を導入します。これには、強化された使用状況監視ツールも含まれており、ユーザーが使用状況を理解して管理しやすくなります。
- Docker Build Cloud: Build Cloud のシート単位ライセンスを廃止し、Pro、Team、Business プランに含まれるビルド時間を増やしたため、プロジェクト全体でより迅速かつ効率的なビルドが可能になりました。ニーズに応じてビルド時間を追加するオプションも利用できますが、Docker Build Cloud のスピードでビルドする場合には、追加オプションは必要ないかもしれません。CI ツールを使用しているユーザーにとって、Build Cloud のスピードは CI 費用の節約にも役立ちます。
- Docker Scout: Docker Team プランと Docker Business プランでは、Scout 対応リポジトリ数に制限がなくなりました。そのため、継続的な脆弱性分析が可能になります。Docker Scout のヘルス スコアを Docker Pro、Team、Business プランに統合することで、セキュリティとコンプライアンスを簡単に維持できます。
- Testcontainers Cloud: Testcontainers Cloud は、テスト ワークフローを合理化し、時間とリソースを節約するのに役立ちます。一新したプランでは、Testcontainers Cloud のシート単位ライセンスを廃止し、Docker Desktop や CI ワークフローで使用できる Docker Pro、Docker Team、Docker Business のクラウド ランタイム時間を追加しました。ニーズの拡大に応じて実行時間 (分) を追加することもできます。
今後の展望
Docker 社は、製品に対するアップデートと投資を続けており、先日発表された 2024 Stack Overflow Developer Survey では、Docker が開発者の間で最も使用され、賞賛するツールとして認められました。
これらのアップデートは、業界最高のツールを開発者に提供するという Docker 社の継続的な取り組みの始まりに過ぎません。ツールとテクノロジへ投資し続けることで、開発者が目標を達成するためのさらに強力なツールを提供できるでしょう。
新しいプランは、2024 年 11 月 15 日から適用開始となります。Docker Hub プランの制限は、2025 年 2 月 1 日に適用が始まります。2024 年 11 月 15 日から 2025 年 1 月 31 日までは、Docker Hub イメージのプルまたはストレージに対する料金は発生しません。すでに有償サブスクリプションを契約している場合、これらの新しいプランは、2024 年 11 月 15 日以降の次回サブスクリプション更新日に適用となります。新しい Docker サブスクリプションの詳細 と、各プランの機能の詳細な内訳をご覧ください。
この変更においてご質問やご不明な点がございましたら、Docker 社日本正規代理店 (Preferred Reseller) のエクセルソフトまでお問い合わせください。
*本記事は、Docker 社が提供している以下の記事から抜粋・転載したものです。
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