Docker Desktop 4.42 では、ネットワークの柔軟性向上、セキュリティの強化、AI ツールチェーンとのさらなる統合といった、強力な新機能が追加されました。これらの機能は、セットアップの手間を最小限に抑えながら利用できるようになっています。
このリリースでは、ネイティブの IPv6 対応、MCP ツールキットの完全統合、大幅に強化された Docker Model Runner、そして AI エージェント「Gordon」のアップグレードが含まれています。
IPv6 サポート
Docker Desktop は、さまざまなネットワーク環境に対応するために、カスタマイズ可能な IPv6 ネットワーク機能を新たに提供しています。これにより、デフォルトのデュアルスタック (IPv4/IPv6) に加えて、IPv4 のみ、または IPv6 のみのネットワークモードを選択できるようになり、組織のネットワーク要件に柔軟に対応可能です。
さらに、新しいインテリジェントな DNS 解決機能により、ホストのネットワーク構成を自動で検出し、サポートされていないレコード タイプをフィルタリングします。これにより、IPv4 または IPv6 のいずれか一方のみの環境でも接続タイムアウトを防ぐことができます。
これらの IPv6 設定は、Docker Desktop の「Settings > Resources > Network」セクションから利用でき、Settings Management 機能を通じてチーム全体に適用することも可能です。これにより、IPv6 のみに対応した環境を含む、複雑なエンタープライズネットワーク構成でも、Docker Desktop をより信頼性高く利用できるようになります。

Docker MCP ツールキットが Docker Desktop に統合
先月、Docker は MCP カタログとツールキットをリリースし、MCP サーバーを簡単に見つけて、利用しているクライアントやエージェント型アプリケーションと安全に接続できるようにしました。ユーザー数は 50% 以上増加し、MCP のプル数はついに 100 万回を突破しました。
そして今回、この MCP ツールキットが Docker Desktop に標準搭載され、拡張機能を別途インストールする必要がなくなりました。
Docker Desktop 上で、GitHub、MongoDB、Hashicorp などを含む 100 以上の MCP サーバーにアクセスできるようになり、必要なサーバーを有効化して設定すれば、Claude Desktop、Cursor、Continue.dev、Docker の AI エージェント「Gordon」などのクライアントと簡単に接続できます。
従来のように npx
や uvx
を使って MCP サーバーをホスト環境上で直接実行する方式とは異なり、Docker Desktop では各 MCP サーバーがセキュリティ境界を明確にした分離コンテナー内で実行されます。すべてのコンテナー イメージは暗号署名されており、秘密情報や設定データも安全に分離されています。

開発者の使い慣れた環境に合わせるため、Docker MCP の機能が CLI (コマンドライン インターフェース) でも利用可能になりました。従来のコマンド構造と同じ形式で、新たに導入された docker mcp
コマンドを使って、MCP サーバーの起動・設定・管理をターミナル上から直接実行できます。
この CLI プラグインには、カタログの管理、クライアント接続の設定、シークレットの管理など、MCP に関する包括的な機能が備わっており、より柔軟でスムーズな操作が可能です。

Docker の AI エージェント「Gordon」が MCP ツールキットと連携可能に
今回のリリースでは、Docker の AI エージェント「Gordon」が Docker Desktop 内の MCP ツールキットと直接連携できるようにアップグレードされました。
有効化するには、Gordon を開き、「Tools (ツール)」ボタンをクリックし、「MCP」ツールキットのオプションをオンにしてください。有効にすると、「MCP Toolkit」タブが表示され、設定済みの MCP サーバーから利用可能なツールが一覧で表示されます。

この統合により、追加のセットアップなしで 100 を超える MCP サーバーへ即座にアクセスでき、Docker のワークフロー内で AI 機能を手軽に試せるようになりました。
Gordon は、Docker のネイティブ ツールと広範な AI エコシステムをつなぐ橋渡し役として機能し、スクリーンショットの取得からデータ分析、API 連携まで、さまざまな用途に特化したツールを、統一された使いやすいインターフェースから活用できるようになっています。

さらに今回のリリースでは、「Dockerize」機能も強化され、Java、Kotlin、Gradle、Maven プロジェクトへの対応が拡張されました。これにより、より幅広いアプリケーションを最小限の設定でコンテナー化できるようになります。
コンテナー化の機能拡張と MCP ツールキットとの統合により、Gordon はこれまで以上に強力なツールとなりました。コンテナー ワークフローの効率化や繰り返し作業の削減、そして専門的なツールへのアクセスを通じて、アプリケーションのビルド・デプロイ・実行に集中できる環境を提供します。
Docker Model Runner の機能強化
モデルの立ち上げをよりスピーディーに
Docker Model Runner のユーザー体験がさらに向上し、Docker Desktop における GUI 機能が拡張されました。これらの UI 改善により、Model Runner の導入がより簡単になり、アプリケーションのビルと スピードも向上します。
専用のインターフェースには、モデルの検索・管理・トラブルシューティングを簡素化する 3 つの新しいタブが追加されました。さらに、新しい GUI は直感的でスムーズなオンボーディング体験を提供し、「2 クリック」で作業が完結する設計になっています。

Model タブをクリックすると、まず表示されるのが「Local」タブです。ここでは、すぐに利用可能なさまざまなサイズのモデルが一覧表示され、必要なモデルを素早くプルできます。モデルをプルした後は、チャット インターフェースを立ち上げ、すぐにテストや実験を行うことができます。
2 つ目のタブ「Docker Hub」では、Docker Hub の AI カタログからモデルをブラウズ & プルするための包括的なビューが提供され、別のツールに切り替えることなく Docker Desktop 内で直接操作できます。
3 つ目のタブ「Logs」では、推論エンジンのログをリアルタイムで確認でき、モデルの実行状況やデバッグ情報を Docker Desktop 上で即座に把握できます。
まとめ
インテリジェントなネットワーク機能の強化から、スムーズな AI 連携まで、Docker Desktop 4.42 はこれまで以上に安心して開発を進められる環境を提供します。IPv6 のネイティブ対応、100 以上の MCP サーバーへのアプリ内アクセス、そして Docker Model Runner の機能強化により、開発者が今いる環境に最適な形で支援することを重視したリリースとなっています。
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*本記事は、Docker 社が提供している以下の記事から抜粋・転載したものです。
Docker デスクトップ 4.42:ネイティブ IPv6、組み込み MCP、およびより優れたモデル パッケージング
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