API は現代のデジタル エコシステムのバックボーンとして、多様なシステム、アプリケーション、サービス間のシームレスな統合と連携を可能にします。組織は、堅牢な機能を提供し、ユーザー エクスペリエンスを向上させ、業務効率を高めるために、API への依存を深めています。さらに、API は AI を活用したシステムの将来において、これまで以上に大きな役割を担っています。AI 対応とエージェント コンシューマーの新たな波は、AI 関連の API 作成を 800% という劇的な増加へと導き、構造化され、相互運用可能で、AI 対応の API デザインの重要性をさらに強固なものにしています。
しかし、API への依存度が高まるにつれて、その品質を確保することの重要性も増しています。API 品質は、セキュリティ、信頼性、そして開発者とエージェントの両方のエクスペリエンス (しばしば開発者エクスペリエンスとエージェント エクスペリエンスと呼ばれる) に直接影響を与えます。テストが不十分な API は、組織をセキュリティ脆弱性に晒すだけでなく、機能不全、サービス中断、ユーザー満足度の低下を引き起こす可能性があります。これらすべて、またはそのいずれかは、API プロデューサーとコンシューマーの双方に深刻な影響を与え、評判と利益の両方に悪影響を及ぼします。
SmartBear は、API ポートフォリオ全体にわたって最高のツールを提供してきました。最近 SmartBear API Hub に統合された新機能「API Hub for Test」は、機能テストと自動テスト機能を提供し、チームがライフサイクル全体を通して API 品質を確保できるようにします。

API 品質の重要性
API がデジタル トランスフォーメーション (DX) と AI 統合戦略の中心となるにつれて、API品質に関連するリスクは著しく高まっています。テクノロジ専門家の 60% 以上が、ダウンタイムによって組織が 1 時間あたり少なくとも 10 万米ドルのコストを被ると見積もっており、そのうち 3 分の 1 は 1 時間あたり最大 50 万米ドルのコストがかかると指摘しています。API の普及に伴い、このような財政的リスクは、潜在的な障害を事前に特定し軽減するための徹底した API テスト実践の重要性を浮き彫りにしています。
API セキュリティに関する懸念も依然として根強い問題です。最新の OWASP API Security Top 10 レポートは、Broken Object Level Authorization (オブジェクト レベル認証の不備) や Broken User Authentication (ユーザー認証の不備) といった一般的な脆弱性を強調しており、コストのかかるデータ侵害や不正アクセス事件を防ぐための厳格なテストの必要性を強調しています。
もう 1 つの差し迫った問題は、API ドリフトです。これは、API ドキュメントや仕様成果物と実際の実装との間の不整合を指します。API ライフサイクルの最も長い部分が「本番環境」であるため、変更が非常に発生しやすく、しばしば必要であるという事実によって、この問題は悪化することがよくあります。デザインと同期してテストが継続的に進化することを保証するプロセスが確立されていない場合、ドリフトは非常に現実的な問題となります。最近の 6 億 5000 万回以上の API コールに関する業界分析では、本番環境の API の 75% が公開されている OpenAPI 仕様から逸脱していることが判明しました。このドリフトは、統合を著しく混乱させ、機能を低下させ、脆弱性を露呈させる可能性があり、継続的かつ統合されたテスト戦略の必要性をさらに強調しています。
これらの課題は、API のカタログ化、調査、コントラクト テスト、ゲートウェイに依存しない API ポータル、そして今回改善されたテスト機能を統合した、一貫性のある API エコシステムの提供を目指す SmartBear にとって、まさに最重要事項です。この統合されたアプローチは、テスト実践が進化する API デザインと一貫して連携することを保証し、プロバイダー側では機能テスト、コンシューマー側ではコントラクト テストを通じて API ドリフトを効果的に軽減します。これにより、API の信頼性、安全性、およびパフォーマンスを維持し、同時にコラボレーションとチーム ワークフローを改善します。

API Hub for Test について
SmartBear API Hub のコンポーネントである API Hub for Test は、API のデザイン、ガバナンス、テスト、ドキュメント作成を統合します。この一貫性のあるエクスペリエンスは、アーキテクチャ、開発、QA チーム間の従来のサイロをなくし、コラボレーションを合理化し、生産性を向上させます。
QA チームは、正確で最新の API デザイン アーティファクト (例: OpenAPI ドキュメント) から直接テストを開始することで、テスト ドリフトや不要な手戻りのリスクを最小限に抑えることができ、大きなメリットを享受できます。API Hub のテスト機能は、直感的なローコード/ノーコード テスト機能を提供することで、現代のアジャイル チームやハイブリッド チームをサポートし、QA と開発者間のリアルタイム コラボレーションを促進します。その使いやすさにより、高度な技術を持つ自動化エンジニアの必要性が減り、手動テスターも自動化による時間節約の恩恵を受けることができます。
API を使い始めたばかりのチームでも、大規模な API ポートフォリオを持つチームでも、この新機能は、組み込みのアサーション、再利用可能なテスト資産、そして CI/CD (継続的インテグレーションと継続的デプロイメント) ワークフローへのシームレスな統合を通じて、機能テスト、リグレッション テスト、統合テストを簡素化します。組織のニーズに合わせて簡単に拡張できるように設計されており、シーケンシャル実行と並列実行の両方をサポートし、GitHub、Jira、Slack といったチームが使用する幅広いツールとの連携機能も備えています。
既存のワークフローに直接統合することで、API Hub for Test は、API テスト プロセス全体で明確性、スピード、連携を求める現代のチームにとって理想的なソリューションとなります。
API Hub for Test を使ってみよう
統合テスト エクスペリエンスの価値を実証するため、具体的な手順を見てみましょう。
API カタログから始める: サンプルの Payees API の OpenAPI 定義にアクセスします。標準化とガバナンス チェックのガイドに従って、デザイン候補に進みます。
手動による調査: Explore 機能を使用して API のサーフェス領域を手動で調査し、その機能をしっかりと理解します。
テスト ケースの自動作成: 新しい Test 機能に移行し、API カタログから OpenAPI 定義を直接インポートして、テスト ケースを自動的に生成します。
テスト ケースの設定: 3 つの主要な API エンドポイントをカバーするテスト ケースを作成し、想定されるステータス コードのアサーションを設定し、変数インジェクションを使用してリクエストをチェーニングします。
スモーク テスト スイートの作成: 作成したテスト ケースを使用してスモーク テスト スイートを組み立てます。テストの失敗を通知するメールと Slack 通知を設定します。
ローカル コード テスト: ローカル トンネルを使用して、ローカルで実行されているコードに対してスモーク テストを実行します。環境パラメーターをオーバーライドして、ローカルで実行されている Azure 関数を指すようにすることで、クラウド環境とローカル環境の両方で堅牢なテストを実現します。
ステップ 1. API カタログ内の API へ移動

まず、API Hub for Design 内の API カタログを開き、サンプルの Payees API へ移動します。ここで OpenAPI 定義を開き、デザイン候補を作成し、API が提供する機能を確認します。標準化とガバナンス チェックが自動的に適用され、一貫性とコンプライアンスが確保されます。
ステップ 2. 手動による調査

次に、Explore 機能を使用して API のサーフェス領域をインタラクティブに調査できます。これにより、API の動作をより深く理解し、リクエスト/レスポンス パターンに関する想定を検証できます。
ステップ 3. OpenAPI からのテスト作成の自動化

OpenAPI 定義が完成したら、API Hub for Test を起動し、カタログから直接仕様をインポートします。これにより、API エンドポイントに合わせたテスト ケースのベースライン セットが自動的に生成されます。
ステップ 4. テスト ケースの設定

OpenAPI 定義から直接ベース テスト ケースを作成したら、想定されるステータス コードのアサーションの追加、変数インジェクションを使用したリクエストのチェーニング、ペイロードのカスタマイズなど、テストの設定を行うことができます。これにより、各エンドポイントを効果的に繰り返しテストできます。ここでは、3 つの主要な API エンドポイントをカバーするテスト ケースを作成し、想定されるステータス コードのアサーションの設定、変数インジェクションを使用したリクエストのチェーニングを行います。テスト ケース作成には多くの機能がありますので、詳細はドキュメントをご覧ください。
ステップ 5. API スモーク テスト用テスト スイートの作成

1 つ以上のテストを含むテスト スイートを作成できます。この例では、テスト スイートをスモーク テストとして活用し、メールと Slack による通知を追加して、関係者に障害を通知します。
ステップ 6. ローカル コード テスト

最後に、安全なローカル トンネルを有効にし、環境構成をオーバーライドしてローカルでホストされている Azure 関数を参照することで、サービスのローカル インスタンスを検証します。これにより、デプロイ前に変更を検証することが可能です。
共有または専用のテスト環境にプッシュする前に、ローカルで実行中のコードに対して完全なスモーク テスト スイートを実行できるため、生産性が目に見える形で向上します。迅速なフィードバック ループにより、後続の段階でのデバッグ時間を短縮し、より発生源に近い場所で問題を特定できます。また、コンテキストの切り替えを最小限に抑え、開発とテストのサイクルを短縮することで、よりアジャイルで反復的な開発ワークフローをサポートします。
API 成功の鍵は品質にあり
API 関連のダウンタイムによる平均コストが 1 時間あたり 10 万米ドルを超えることは珍しくなく、多くの場合 50 万米ドルを優に超えることを考えると、堅牢で統合された品質実践への投資は、安全策だけでなく、戦略的な優位性をもたらします。API Hub for Test のような品質重視の機能は、リスクを減らすだけでなく、より多くのものをより速く提供するというプレッシャーにさらされているチームに、時間、信頼、そしてコスト削減をもたらします。
API Hub for Test は単なる新しいテスト機能ではなく、真に統合された API ライフサイクルに対する SmartBear のビジョンを具現化する重要な拡張です。コントラクト テストと機能テストの両方をデザインと調査フェーズに直接組み込むことで、摩擦を軽減し、コラボレーションとコンテキスト共有によってサイロを排除し、最終的にチームがより良い API をより速く構築できるようにします。
チームは API Hub のコンテキスト内でデザインから機能検証までをシームレスに行うことができるようになり、フィードバック ループを大幅に短縮し、手戻りを最小限に抑えることができます。デプロイされたサービスをテストする場合でも、ローカルで実行されているコードを検証する場合でも、このテスト機能は不要なオーバーヘッドを導入することなく、必要な柔軟性、スケーラビリティ、および自動化を提供します。
さらに、これらの機能はスタンドアロンではなく、より広範な API Hub エクスペリエンスに組み込まれており、カタログ作成、ガバナンス、調査、コントラクト テスト、開発者ポータル機能内でのドキュメント作成、さらには堅牢な ReadyAPI オンプレミス スイートともスムーズに統合されます。ペースの速いハイブリッド環境で作業する現代のチームにとって、この統合モデルは、あらゆる段階での明確性、一貫性、およびコラボレーションを保証します。そして、すべての機能を API Hub でしか利用できないということはなく、十分なモジュール性を備えているため、他のテクノロジとの統合も柔軟に行うことができます。
SmartBear API Hub の進化を続ける中で、テストは、市場で最も完全で開発者と QA に優しい API 開発エクスペリエンスを提供するという SmartBear の使命の中心であり続けます。SmartBear API Hub はまだ始まったばかりであり、SDLC 全体で品質を提供し、チーム間のコミュニケーションを促進することに重点を置いた開発者ベースのツールを提供し続けます。API 品質の未来はすでに形になりつつあります!
API 分野はこれからエキサイティングな時代を迎えます。ぜひ私たちと一緒に旅をしましょう。皆さんが何を構築するのか、楽しみにしています!
この資料は、SmartBear Blog で公開されている「From Design to Delivery: How SmartBear API Hub Powers Quality-First APIs」の日本語参考訳です。