カメラの焦点距離とは?

焦点距離は、写真やフォトグラメトリ (写真測量) において必要不可欠な概念ですが、誤解されがちな概念でもあります。この記事では、フォトグラメトリにおける焦点距離の解釈、適用、カメラのフォーマット サイズなどについて詳しく説明しています。

焦点距離とは?

焦点距離の厳密な技術的定義は、レンズ理論に関する多くの背景なしでは困難であるため、ここでは簡素化します。焦点距離とは、結像面 (デジタル カメラのイメージ チップ) とすべての光線がレンズの内側で交差する点 (「光学中心」) の間の距離を指します。したがって、焦点距離が 20 mm であるという場合、光学中心から結像面までの距離が 20 mm (¾ インチ程度) であることを意味します。

焦点距離の数値が意味するところ

焦点距離の数値は、写真内に撮影シーンがどれだけキャプチャされているかを示します。数値が低ければ低いほどビューが広くなり、より広範囲のシーンが写っています。逆に、この数値が大きいと、ビューは狭くなり、写真に収まる範囲も限られています。下の画像を見ていただければわかりやすいと思いますが、この写真はどれも、カメラの位置は固定の状態で撮影されており、焦点距離 (画像上の mm 表示) のみが変更しています。

カメラには、概して 10 mm から 500 mm の範囲での焦点距離があります。カメラの種類によってその範囲は異なり、特殊なレンズにおいてはその範囲を超えるものもあります。10 mm の焦点距離では広角レンズ (広いシーンをキャプチャ)、500 mm の焦点距離では狭角レンズ (シーンの一部のみをキャプチャし、双眼鏡や望遠鏡を使用しているように高倍率) となります。

カメラには、焦点距離が 1 つしかない固定レンズ (「プライム」レンズとも呼ばれる) と、たとえば「18 mm – 55 mm」、「55 mm – 200 mm」といったように焦点距離が変更可能なズーム レンズがあります。PhotoModeler を使って高確度のフォトグラメトリ作業を行うには、固定 (プライム) 広角レンズ (APS-C フレーム カメラで 20 mm レンズを使用するなど) を最優先で推奨していますが、アプリケーションによっては異なる焦点距離を必要とする可能性があり、焦点距離に特別な注意を払うことにより、調整可能なズーム レンズを備えたカメラを使用する場合でも良い結果を期待できます。

注: フォトグラメトリの技術用語で、「画面距離」という言葉を目にすることがあるかもしれません。厳密にいうと、画面距離とは上記で述べた距離 (すなわち結像面からレンズのオプティカル センサーまでの距離) のことを指し、焦点距離とは、無限遠焦点時の画面距離ということになります。焦点と焦点距離に関する詳細は、以下を参照してください。PhotoModeler においては、カメラの焦点距離について記述している場合、実際には画面距離のことを示しています。

フォーマット サイズ

デジタル カメラを購入する時に、広告などで「35 mm 判換算」という表現を目にすることがあると思います。これはいったいどういう意味でしょうか。デジタル カメラのイメージング チップがカバーする画角は、たいてい標準の 35 mm フィルムよりも狭くなっています。35 mm フィルム カメラは長い間写真の標準となっていたため、多くの写真技術やメソッドは 35 mm を基本として開発されてきました。35 mm フィルム カメラには、幅 36 mm、高さ 24 mm のネガがあります (この「35」は、フィルム ストックの幅が 35 mm であることから由来しています)。35 mm フィルム カメラにおける (人間にとって「自然」に見える視野を持つ) 「通常のレンズ」 の焦点距離は 50 mm です。

最近のデジタル カメラには、6 mm x 4 mm ほどの小さなイメージング チップが使われていることがあります。スマートフォンの種類によっては、さらに小さなチップを使っているものもあれば、24 mm x 36 mm のフルサイズのものもあります。非常に一般的なサイズとしては、APS-C フォーマットの 16 mm x 24 mm があります。サイズが小さくなると、焦点距離にも影響が出ます。

たとえば、35 mm フィルム カメラとスマートフォン付属のカメラで自動車の写真を撮るとしましょう。同じ場所に立って、それぞれのカメラで 1 枚ずつ写真を撮ります。いずれの場合にも、フレームいっぱいに自動車を撮影します。35 mm フィルム カメラのレンズの焦点距離が 50 mm の場合、デジタル カメラの焦点距離は 4 mm であるかもしれません。このように焦点距離の数値が大きく異なっていても、結像面のサイズによって同じ結果を生み出すことになります。この場合、4 mm の焦点距離でのスマートフォン カメラの 35 mm 換算値は 50 mm となります。

写真家は一般的に 35 mm カメラに精通していることが多いため、カメラのメーカーはより理解しやすく説明する目的で「35 mm 判換算」を記載しています。また、異なるフォーマット サイズが存在する中で、何らかの参照基準があると役に立ちます。加えて、乗数が記載されている場合もあります。たとえば、APS-C の乗数はおよそ 1.6x です。つまり、 (Nikon D3200 などの) APS-C カメラで 32 mm レンズを使用すると、35 mm フィルム カメラで 50 mm レンズを使用しているのと同様に動作します。

ピント調整は焦点距離に影響するのか?

先ほど、焦点距離は焦点をあてる距離に関連していることを説明しました。焦点距離とは、無限遠焦点時の画面距離です。フォトグラメトリでは、写真を撮影する際のカメラの内部形態が関与してきます。よって、正確な画面距離を知ることが大変重要となります。

上記の質問への回答としては、ピント調整は焦点距離に大いに影響します。

どのレンズにも、具体的な焦点距離値 (ズーム レンズの場合には値の範囲) というものが存在します。この数値は、実際にはレンズが無限遠焦点時の画面距離を指します。よって、カメラにより近いオブジェクトに焦点をあてると、画面距離は変更します。たとえば、50 mm レンズで数フィート離れたオブジェクトに焦点をあてると、55 mm レンズと同等の画面距離を持つことになる可能性があります。マクロ設定 (5 インチ/13 cm 程度以下の非常に小さいオブジェクトに至近距離で焦点をあてるレンズ設定) を使用する場合がいちばん極端な例となります。50 mm の焦点距離を持つレンズ (無限遠焦点時の画面距離が50 mm) でも、数インチ先に焦点をあてると、実際には 100 mm の画面距離となり得ます。このような理由から、フォトグラメトリにおいては正確なジオメトリが必要であるため、実際のプロジェクトで使用する距離でのカメラのキャリブレーションが重要となります。

1 つの焦点で画面距離を算出するカメラのキャリブレーションを行い、別の異なる焦点でフォトグラメトリ プロジェクトを実行できる場合もあります。実際の許容差異は、確度要件と焦点変更の程度によって異なります。一般的には、2 m (6 フィート) の距離に焦点をあてて行ったキャリブレーションは、無限遠焦点のプロジェクトまで使用可能 (これは確度要件にもよります) ですが、逆に焦点が 50 cm (20 インチ) 先で合っているプロジェクトでは使用不可となるかもしれません。

しかし、多くの場合、画面距離/焦点距離に若干の影響を及ぼすピント調整の利点 (鮮明なターゲットや明確なフィーチャー) の方が、焦点距離や画面距離を一定に保つことよる利点 (およびピントの合っていない写真が撮影されるリスク) よりも上回っています。

焦点距離とフォトグラメトリ

焦点距離とフォトグラメトリ (PhotoModeler) に関する重要事項として次の 3 点が挙げられます。

  1. PhotoModeler は、ジオメトリをもとにカメラの位置を算出し、3D の座標点を作成するために、写真撮影時のカメラおよびレンズの画面距離を必要とします。そのためには、確度を上げるべくカメラのキャリブレーションを行って正確な焦点距離/画面距離を確定 (または少なくとも妥当な焦点距離の推定値を使用) し、ズーム レンズを使用している場合には、カメラのキャリブレーションを行った時と同等の焦点距離 (ズーム設定) でプロジェクトの写真を撮影する必要があります。 再現性を考慮し、最大画角またはフル ズームを使用します。
  2. フォーマット サイズと焦点距離はどちらも重要な項目です。焦点距離を把握しているだけでは十分ではありません。
  3. PhotoModeler は、次の 4 つの方法で焦点距離 (画面距離) およびフォーマット サイズを算出します。
    1) カメラのキャリブレーション
    2) 画像の EXIF ヘッダーを使った”Approximate Camera” (概算) メソッド
    3) “Inverse Camera” メソッド (出所のわからない画像を使用したプロジェクトの場合)
    4) フィールド キャリブレーションおよび自動キャリブレーション (モデリング プロジェクトの実行中に同時に行われるカメラのキャリブレーション) 
    一貫性を保ち、確度の高い結果を得るには、事前にカメラのキャリブレーションを行い、キャリブレーション時と同等の焦点距離でプロジェクト用の写真を撮影するようにしてください。

PhotoModeler とフォトグラメトリ

PhotoModeler は、写真をもとに高確度の測定を行い、3D データを作成できる、フォトグラメトリの主要なツールです。

PhotoModeler の特長、使用手順、またその原理などの製品概要については、こちらをご参照ください。

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What is Camera Focal Length?

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