ビジネス メールに必須のコンマのルール

コンマ (,) は、その地味な見た目からは想像できないほど大きな力を持っています。この句読点は、単語や項目、節を区切るソフトな間として多くの書き手に使われており、使い方次第では文の意味やトーンを変えることができます。

ビジネス メールにおけるコンマのルールを学ぶことにより、上司や投資家など、ビジネスに影響を与える人にメールを送る際に正しいトーンで書くことができ、コミュニケーション上の行き違いをなくすことができます。コンマの使用ミスが、裁判での判決において企業に何百万ドルもの損失を与える結果となってしまった例もあります。

この記事では、メールの挨拶でどこにコンマを入れるか、ビジネス コミュニケーションにおけるコンマの使い方、コンマの歴史的意義、メールでコンマの代わりにセミコロンを使う場合などについて説明します。

ビジネス コミュニケーションにおけるコンマの使い方とは?

ビジネス コミュニケーションにおけるコンマの使い方は、文のトーンや意味に影響するため、コミュニケーションのミスを防ぎ、チームと明確な目的を設定するには適切な使用が重要です。コンマは、挨拶と相手の名前との間、リストの項目と項目の間、または 2 つの独立した節をつなぐときに使います。

コンマを打つ場所を間違えると、文章の意味が変わってしまい、場合によっては何百万ドルもの損失を被ることさえもあります。1872 年、アメリカの国会議員が誤って “fruit” (「果物」) と “plants” (「植物」) の間にハイフン (“fruit-plants”) の代わりにコンマ (“fruit, plants”) を入れてしまった結果、熱帯産の果物がすべてが関税なしで輸入されることになり、当時の納税者は輸入業者への払い戻しのため 200 万ドル (現在の価値で) 4,000 万ドル以上 の負担を強いられることとなってしまった、という実話があります。

コミュニケーションにおけるコンマ

コンマがコミュニケーションにどのような影響を与えるかを示す最も有名な例のひとつに、“Let’s eat, grandma” (「おばあちゃん、食べましょうよ」) と “Let’s eat grandma” (「おばあちゃんを食べましょう」) の違いがあります。この仮定の文は、「柔らかい間」 (= コンマ) がいかに文の意味を変え得るかを明確に示していますが、その効果を示す実例もあります。

次の非常に有名な例は、「デルフォイの神託」と呼ばれています。古代ギリシャ中部のデルフォイにはアポロン神殿があり、多くの都市国家がここに参じて、政治や外交の指針を神託に求めたとされています。

“You will go you will return never in the battle you will perish.”

このフレーズは、戦争に行くべきか否かという問いに対する答えであるとされています。

“You will go you will return, never in the battle you will perish.”

このように、“never” の前にコンマを置くと、戦争が終わっても生還できる (“never perish”) から戦いに向かうべきだという意味になります。

“You will go you will return never, in the battle you will perish.”

しかしながら、“never” の後にコンマを置くと、その人が戦争から生きては戻れない (“return never”) ことを暗示してしまいます。

同様に、連続コンマと呼ばれることもある「オックスフォード コンマ」を使うか使わないかで、文の読み方が変わります。オックスフォード コンマは、“A, B, C, and D”、または “X, Y, or Z” のように、リストの最後から 2 番目の項目の後、最後の項目の前にある等位接続詞 (通常は and または or) の前に置きます。

スタイル ガイドによって、オックスフォード コンマを使うかどうかは異なります。しかしながら、オックスフォード コンマの欠如により、メイン州の酪農会社が米国控訴裁判所の判決で 500 万ドルを失う結果となったという実例もあります。

この裁判 (O’Connor v. Oakhurst Dairy) では、どの職務が時間外勤務手当の対象外であるかを定めた州法の次の 1 文が問題となりました。

The canning, processing, preserving, freezing, drying, marketing, storing, packing for shipment or distribution of:

(1) Agricultural produce;

(2) Meat and fish products; and

(3) Perishable foods.

裁判所は、上記の文において “shipment” と等位接続詞 “or” の間にコンマが省略されているため、”packing for shipment” と “distribution” が 1 つの行為 (出荷または流通のための「梱包」) なのか 2 つの行為 (「出荷用の梱包」または「流通」) なのかが不明確であると判断しました。もし州法が “or” の前にコンマを打っていれば、乳製品の「出荷用の梱包」または「流通」の 2 つの業務が時間外勤務手当の対象外であることは明らかであったことでしょう。(補足: これは、Oakhurst Dairy 社の配達運転手が雇用主を相手取って起こした訴訟で、コンマの欠如により、流通のための梱包業務が時間外勤務手当の対象外なのであって、流通業務はその対象であるということが最終的に認められました。)

ビジネスメールでの挨拶

ビジネス メールは挨拶言葉で始まり、挨拶はコンマで終わるものだと思っていませんか?実際にはそうではありません。ビジネス メールでは、コロンで終わるのが最も正式な敬語です。よって、”Dear Mrs. Johnson,” ではなく、”Dear Mrs. Johnson:” と書き、本文に続きます。

相手とカジュアルな関係であれば、挨拶言葉の最後にカンマを使っても間違いではないかもしれません。ビジネス メールでは、形式ばった文章を書く必要がないこともあり、その場合にはコロンも不要です。不安な場合は、コロンで終わることで安全策をとり、ビジネス メールのエチケットを実践しましょう。

冒頭挨拶と相手の名前、コンマの使い方

通常、メールの冒頭には挨拶や形容詞と相手の名前や肩書きの 2 つの要素があります。

前述の例では、挨拶は形容詞と名前で構成され、この 2 つの間にコンマはありません。しかし、直接の挨拶と相手の名前はカンマで区切るべきです。つまり、”Good morning, Mrs. Johnson” と書くのであれば、”Good morning” と “Mrs. Johnson” の間にコンマを打たなければなりません。

等位接続詞とコンマ

最も一般的な等位接続詞は、andornorsobutyetfor です。2 つの動詞、2 つの名詞、2 つの修飾語、2 つの独立節など、文法的に類似した文の要素を接続するために使用します。接続詞は文頭に使用することもでき、その場合は通常、その後にコンマを付けるべきではありません。

例文: But in the last quarter of this year, we’ve seen an increase in consumer activity.

等位接続詞が 2 つの項目のリストの中にある場合、その前にコンマを使う必要はありません。

例文: The departments that had most of the activity were toy stores and gift shops.

一方、2 つ以上の項目からなるリストの最後の要素の前に接続詞が使われる場合は、その直前にコンマを打ちます。

例文: Toys, plastic Christmas trees, and spirits went out of stock.

等位接続詞が 2 つの独立節をつなぐ場合は、その前にコンマを打ちます。

例文: The suppliers were contacted immediately, so we were able to restock the missing items in time.

コンマの代わりにセミコロンを使う場合

コンマと等位接続詞は、2 つの独立した節をつなぐのに最適な方法とは限りません。混乱を招く可能性もあり、ビジネス メールでは避けたいことです。

2 つの独立節にそれぞれ数個のコンマが含まれている場合は、コンマの代わりにセミコロンを使って区切ります。たとえば、最初の独立節には導入的な要素があり、その後にコンマが続き、2 つ目の独立節には 2 つのコンマの間に非必須要素があるとします。

例文: In the meantime, the consumers were encouraged to look around other departments; and that’s what, it turned out, led to a small increase in sales of nonseasonal items.

この場合には、等位接続詞 (“and”) の前にはセミコロンをつけるべきでしょう。

セミコロン (;)、コンマ (,)、ダッシュ (–) はしばしば置き換えることができます。ただし、ダッシュは文体を整えるツールとして、また同格語を補足するのみときに使うようにしましょう。同格語とは、人、場所、または物事に関するより詳細な情報を提供するために、別の名詞の後に続く名詞または名詞句のことを指します。

例文: There are only three ingredients – oatmeal, egg, and banana.

コンマの使い方に関する上級者向けのヒント

コンマの使い方は必ずしも白黒つけられるものではありません。たとえば、コンマは通常 2 つの独立節をつなぐために使われますが、コンマの前後にある単語がそれ自体で文章を構成できる場合には使用を避けるべきです。

誤用例: “John is ordering pizza, Evelyn is ordering ramen.”

上の例は「コンマ結合」と呼ばれますが、文法的に正しい文章に訂正する方法は3 つあります。

  1. 接続詞を追加する
    “John is ordering pizza, and Evelyn is ordering ramen.”
  2. セミコロンを使う
    “John is ordering pizza; Evelyn is ordering ramen.”
  3. 2 つの別個の文に分ける
    “John is ordering pizza. Evelyn is ordering ramen.”

コンマの使い方は、使用する修飾語の種類によっても異なります。制限的修飾 (restrictive modifier)、つまり修飾する名詞を特定または限定する単語にはコンマは必要ありませんが、非制限的修飾 (nonrestrictive modifier)、つまり文の意味に不可欠でない単語にはコンマが必要です。

制限的修飾: Neil Armstrong was the first man on the moon.

非制限的修飾: Neil Armstrong, the astronaut, was the first man on the moon.

ビジネス コミュニケーションにおけるコンマのルールについてよくある質問

Q:ビジネス メールで、文頭を接続詞で始めることは可能ですか?

A: 接続詞で文を始めるのは文法的には正しいですが、文頭に接続詞をつけない方がいいという考えもあります。フォーマルなトーンを使いたい場合は、文頭に接続詞を使わない方がよいでしょう。ただ、よりカジュアルな会話では接続詞を使うことができます。

Q: 複文では、コンマとセミコロンのどちらを使うべきですか?

A: “And”“but” or” などの接続詞で結ばれた複文では、コンマを使います。“However” のような接続副詞でつながった複文ではセミコロンを使いべきでしょう。

Q: ビジネス メールでの不適切なコンマの使い方は誤解を招きますか?

A: はい、不適切なコンマの使い方は誤解を招く可能性があります。コンマはソフトな「間」を表し、その「間」の位置が文のトーンや意味に影響を与えることがあります。

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Essential Comma Rules for Business Emails


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