
“He said, she said” という英語の表現を聞いたことがおありでしょうか。議論の場において誰かの言葉と相手の言葉に食い違いが生じることを指し、日本語では「言った言わない」や「水掛け論」とも訳される表現です。これは避けたい状況ですが、書き言葉においても同じことが言えます。Said を言い換える表現を活用することで、語彙が豊富になり、ライティングの幅が広がります。また、said が不要な場合もあります。
ここでは、ダイアログ タグとは何か、またそれがどのような場合に必要かを説明し、said を意味する別の表現の例や、ダイアログ タグを完全に使わない方法なども紹介します。
ダイアログ タグとは?
ダイアログ タグ (dialogue tag) とは、会話文の前、途中、または後に続くフレーズで、誰が話しているかを読者に伝えるものです。ダイアログ タグは、登場人物がどのように話しているか (トーンや情緒)、誰に向かって話しているか、どのように感じているかを示すためにも使われます。
最も一般的なダイアログ タグは said ですが、これを何度も繰り返すと文章が退屈に感じたり、聞こえたりしてしまいます。同様に、said の代用は、会話の一部を強調したり、その言葉がどのように話されたかを強調したりする必要がある場合にのみ使うべきです。要するに、ダイアログ タグは必要なときだけに、節度を持って使うべきです。
ダイアログ タグの例をいくつか挙げてみましょう。
“Let’s go investigate that haunted house,” Freddie said.
(「あのお化け屋敷を探検しに行こう」とフレディーが言いました。)
The world-famous astrophysicist Carl Sagan once stated, “If you wish to make an apple pie from scratch, you must first invent the universe.”
(世界的に有名な宇宙物理学者カール セーガン氏はかつてこう言いました。「アップル パイを一から作りたければ、まずは宇宙を発明しなければならない。」)
“I don’t want to lose this game!” they shouted.
(「この試合には負けたくない!」と彼らは叫びました。)
The queen looked at her royal advisors and proclaimed, “Do what must be done.”
(女王は王室顧問たちを見て、「なすべきことをしなさい」と宣言しました。)
これらからもわかるように、ダイアログそのものは引用符で囲まれていますが、ダイアログ タグは囲まれていません。
ダイアログ タグは常に必要?
ダイアログ タグは、誰が誰に向かって話しているのかを明確にするために必要ですが、タグを繰り返し使うと読みにくいだけでなく、タグ自体が不必要な場合もあります。
たとえば、あるシーンに登場人物が 2 人しかいない場合、1 人がもう 1 人に話しかけていることを示すために、said という単語を繰り返す必要はありません。例を挙げてみましょう。
“Where do you want to go for dinner?” Priya asked Jason.
(「夕食はどこに行きたい?」プリヤはジェイソンに尋ねました。)
“I’m craving burritos.”
(「ブリトーが食べたいな。」)
“We had burritos yesterday.”
(「ブリトーは昨日食べたばかりじゃない。」)
“You pick, then.”
(「だったら君が決めて。」)
これから 2 人の登場人物の間で会話が始まることを明確にすれば、上の例の最初にあるダイアログ タグも完全に削除することもできます。
プリヤのお腹が鳴ると、彼女はその夜ジェイソンと何を食べたいか考え始めました。「夕食はどこにする?ブリトーが食べたいな。」
他の人物が登場しない限り、この会話にダイアログ タグを使う必要はありません。ただし、片方が会話の途中で声を上げたときなどに、ダイアログ タグをはさんでどんな口調だったのかを強調することができます。次のセクションで説明するように、ダイアログ タグを使わなくても表現できる方法もあります。
Said の代わりに身体的動作を描写する
ダイアログ タグは、登場人物のトーンや情緒を伝えるために使うことができますが、同じ効果は身体的な動作を描写することによっても達成できます。以下は同じシーンでの 2 つの例で、1 つはダイアログ タグを使い、もう 1 つは人物の情緒を強調するために身体的な動作を描写しています。
ダイアログ タグ
“I’ve had it with these darn snakes on this darn plane,” said an angry Samuel.
(「飛行機に蛇なんて、もうこんなのうんざりだ。」と怒ったサミュエルが言いました。)
身体的動作
Samuel clenched his fist as he scowled. “I’ve had it with these darn snakes on this darn plane.”
(サミュエルは眉をひそめて拳を握りしめました。「飛行機に蛇なんて、もうこんなのうんざりだ。」)
文章を書くときの経験則に、“Show, don’t tell” (言うのではなく描写せよ) というものがあります。つまり、最初の例にあるように、サミュエルが怒っていることを明示的に読者に伝えるのではなく、拳を握ったり、表情を変えたりして彼が怒っていることを示す方が良いのです。
“Show, don’t tell” 戦略の採用により、文章全体でダイアログ タグを繰り返すことを避け、同じ情報をより魅力的な方法で読者に伝えることができます。
また、このテクニックを使って、said の言い換え表現を使わないようにすることもできます。たとえば、ある人物が叫んでいることを強調したいとしましょう。
ダイアログ タグ
“Enough!” Bella shouted at the room.
(「もういい!」ベラは部屋に向かって叫びました。)
身体的動作
“Enough!” The room shook with the force of Bella’s voice.
(「もういい!」ベラの声の勢いで部屋が揺れました。)
繰り返しになりますが、2 つ目の例はベラがどのように話しているかをより具体的に示して、彼女の発言がどのように語られたかをより詳しく説明しています。しかしこの場合、話し手が彼女であることが明確である必要があります。
Said を言い換える表現 14 例
ここでは、said を言い換える表現を、例文とともにご紹介します。
1 “If you add all the flour at once, the dough will become too tough,” the chef explained.
(「小麦粉を一度に全部入れると、生地が硬くなりすぎるからです」とシェフは説明しました。)
2 “I don’t think we should be putting artificial turf on our football fields,” one of the residents commented.
(「サッカー場に人工芝を敷くべきではないと思います」と住民のひとりがコメントしました。)
3 “No, you said you were watching the kids,” Terri replied.
(「いや、君が子どもたちを見ていると言ったじゃないか」とテリーが答えました。)
4 “If we give up another touchdown, this game is over,” Sufjan stated.
(「またタッチダウンを取られたら、この試合は終わりだよ」とスフジャンが言いました。)
5 Before Alex was even done with his sentence, Courtney blurted, “What were you thinking?”
(アレックスが言い終えないうちに、コートニーが 「何考えてたのよ?」とぼやきました。)
6 “Fine, we can have ten more minutes of recess,” the principal announced.
(「よし、あと 10 分休み時間を与えよう」と校長先生が告げました。)
7 Zoya looked at Molly and remarked, “You look tired; maybe you should take a nap.”
(ゾーヤはモリーを見て、「疲れているみたいだから、昼寝をしたほうがいいよ 」と言いました。)
8 Dad stood up at the table and declared, “It’s time to choose our annual family vacation.”
(父がテーブルの前に立ち、「恒例の家族旅行を決める時が来た」と宣言しました。)
9 “Thank you so much,” they responded.
(「ありがとうございます」と彼らは答えました。)
10 “The flooding damaged houses up and down the coast,” reported the journalist.
(「洪水により、海岸のあちこちの家屋が被害を受けました」とジャーナリストは報道しました。)
11 “There’s a goat standing on a cow!” exclaimed Molly.
(「牛の上にヤギが立っている!」とモリーが叫びました。)
12 “Don’t take another step,” repeated the elf.
(「もう一歩も動くな」と妖精は繰り返しました。)
13 That’s when Lucy mentioned, “We’re going in the wrong direction.”
(その時ルーシーが、「間違った方向に進んでいるみたい 」と言いました。)
14 “If we color with chalk on the sidewalk, we should do it after it rains,” noted Brian.
(「歩道にチョークで色を塗るなら、雨が降ってからにしよう」とブライアンが言いました。)
まとめ
ダイアログ タグとは?
ダイアログ タグは、会話文の前、途中、または後に続くフレーズで、誰が話しているかを読者に伝えるものですが、登場人物がどのように話しているか (トーンや情緒)、誰に向かって話しているか、どのように感じているかを強調するためにも使われます。
ダイアログ タグは必要?
たとえばふたりの人物が会話している時など、ダイアログ タグが不要な場合も多々あります。
“Said” を意味する別の表現は?
Said の別の表現には、explained、commented、stated、blurted、declared、remarked、proclaimed、announced などがあります。また、ダイアログ タグの代わりに、その人物がどのように話したり感じたりしているかを説明するために、身体的な動作を描写することもできます。
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「Other Ways to Say “Said”」
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