Docker で DevOps の自動化を改善する方法

DevOps は、ソフトウェア開発ライフサイクル全体を通じてコミュニケーション、コラボレーション、イノベーション、速度、セキュリティ、俊敏性を促進する組織が定めた原則により、開発者と運用チームの結束の強化や、より優れたソフトウェアの開発を実現します。また、DevOps の人気と採用率は継続的に増加し続けており、2024 年 4 月のレポート (Linux Foundation のプロジェクトである Continuous Delivery Foundation (CDF) が委託したもの) の調査対象となった世界中の開発者 1 万名の 83% が DevOps を活用していると回答しました。

DevOps には、コードの記述や変更に伴う CI/CD (継続的インテグレーション/改善 (CI))、継続的なデプロイ/デリバリー (CD)) から、幅広い開発プロセスをカバーする重要な自動化機能まで、さまざまなものが含まれます。また、DevOps の原則は、コードの概念からエンドユーザー エクスペリエンスに至るまで、より優れたアプリケーションの開発に重点が置かれています。この統一されたフレームワークが存在する前、コード記述は、コラボレーションを容易にしたり、効率的な管理、速度、品質を促進したりするのが難しい別々のサイロで行われていました。これらは、最終的に DevOps のフレームワークと原則に影響を与えました。  

DevOps の原則とプラクティスは、アプリケーションの機能、欠点、コードの不具合に関するユーザーのフィードバックへ対応することで、本番環境に移行する際のコードのセキュリティと運用上のリスクを軽減します。

このブログ記事は、特に重要な DevOps 機能の 1 つである、アプリケーションの開発ライフサイクル全体でプロセスを高速化および合理化するための自動化に焦点を当て、DevOps プロセスを活用するメリットの拡大や推進を目的としています。

DevOps の活用が広がる中、Docker のコンテナー化プラットフォームが DevOps における重要な要素として多くの開発者に利用されています。特に、Docker の自動化機能やさまざまな機能がその魅力です。

DevOps の自動化とは

DevOps の自動化は、労働集約的かつ反復的なプロセスを自動化するため、大幅な時間節約に繋がります。これにより、開発者はビジネス価値を生み出す新しいコードのイノベーションやアイデアの着想に取り組めます。

DevOps 自動化ツールを使用して反復的な手動タスクを自動化すると、開発者や運用チームの頻繁な介入を排除する自動アクションで効率と生産性が大幅に向上します。 

自動化できる DevOps プロセスはなにか

DevOps の自動化は、CI/CD パイプラインとワークフロー、コードの記述、監視とログ記録、Infrastructure as Code (IaC) ツールなど、アプリケーション開発環境の幅広いタスクで使用できるため、多くの価値をもたらします。また、構成管理、インフラストラクチャのプロビジョニング、単体テスト、コード テスト、セキュリティ ステップとスキャン、トラブルシューティング、コード レビュー、コードのデプロイと配信、プロジェクト管理などの改善と効率化にも役立ちます。

DevOps ライフサイクルへ有益かつ時間節約を実現する自動化を取り入れると、従来のソフトウェア開発方法と比べて手動の介入や人為的エラーを大幅に減らし、よりクリーンで安全なコードを記述できます。 

DevOps 自動化ツールの利点

DevOps の自動化による運用の合理化と改善は人為的エラー率を減らし、コード記述とデプロイ プロセスの効率と速度を向上させるだけではありません。

一貫性と信頼性の向上、予測可能で反復可能な結果の提供、複数のアプリケーションとプロセスのスケーラビリティと管理性の向上などもあります。これらの利点は、自動化によって多くの人為的なミスや誤算を減少させます。

その他の利点には、マージの競合 (複数の開発者による同コードの同時変更で起きる矛盾や衝突) を自動的に処理し、一度に自動コード テストを実行することにより、同時にアプリケーションに取り組む複数の開発者間のスムーズなコラボレーションの実現もあります。また、アプリケーションのトラブルシューティングを行う自動化により、問題が発生したときにシステム担当者にすぐに通知すると、プロジェクトの開発時間を短縮できます。

Docker で DevOps を自動化する方法

DevOps 自動化において柔軟なプラットフォームとして Docker は、無料の Docker Personal プランから最上位の Docker Business プランまで、4つのサブスクリプションを提供しています。

Docker Business には、開発のボトルネックを特定し、自動化でリソースを解放し、反復的なタスクや操作部位における課題を解決する便利な機能が含まれています (2024 年 9 月の発表では、 Docker サブスクリプション プランの内容変更により、開発ワークフローにさらなる価値、柔軟性、パワーが付与されます)。以下では、Docker Business の一部の機能をご紹介します。 

Docker Image Access Management (イメージ アクセス管理)

Docker Business を使用すると、Docker Image Access Management などの機能でタスクを自動化できます。これより、管理者は Docker Hub からプルして使用できるコンテナー イメージのタイプ (Docker 公式イメージDocker 検証済みパブリッシャー イメージ、およびコミュニティ イメージ) を制御できます。さらに、アプリケーションのビルドに使用する必要なコンテナー イメージのプライベート レジストリとコミュニティ リポジトリをより簡単に検索できます。 

Docker Image Access Management は、開発者に選択肢を与えると同時に、信頼できない悪意のあるコミュニティ イメージをアプリケーションのコンポーネントとして誤って使用するのを防ぐためのガードレールとなります。例えば、開発者に社内で作成された少数のイメージのみを使用させる場合と比べると、これは重要な利点です。

Docker Image Access Management は、 Docker Business のお客様のみが利用できます。  

Docker 自動テスト 

その他の Docker DevOps 自動化機能には、Docker Hub を介して実行できるソースコード リポジトリ テストを含む自動テストが含まれ、コンテナーを使用してソース コード リポジトリの変更を自動的にテストできます。任意の Docker Hub リポジトリ で、自動テスト機能を有効にして、ソース コード リポジトリへのプル要求に対してテストを実行し、継続的インテグレーション テスト サービスを作成できます。

テストを実行するための自動テスト ファイルは、実行するテストを一覧表示するサービスを定義した docker-compose.test.yml ファイルの作成により設定できます。docker-compose.test.yml ファイルは、イメージのビルドに使用された Dockerfile と同じディレクトリに配置する必要があります。

Hardened Docker Desktop

Docker Business プランに含まれる Hardened Docker Desktop のさまざまな機能の活用で、Docker コンテナーのセキュリティを自動化できます。Hardened Docker Desktop のセキュリティ機能は、開発者のエクスペリエンスや生産性に対する速度やパフォーマンスの影響を最小限に抑えながら、開発者環境のセキュリティ強化を目的としています。 

これらの機能により、厳格なセキュリティ設定を適用でき、開発者やコンテナーが意図的または意図せずコントロールをバイパスするのを防ぎます。また、この機能によりコンテナー分離機能が強化され、悪意のあるペイロードなどの潜在的なセキュリティ脅威が、Docker Desktop Linux VM やその基盤となるホストに侵入するのを防ぎます。

Hardened Docker Desktop を使用すると、セキュリティ管理者は Docker Desktop の設定を細かく制御できるだけでなく、所有権でユーザーによる変更を削除および防止できます。

自動ビルド

もう 1 つの自動化および生産性向上ツールである Docker 自動ビルド機能では、外部リポジトリのソース コードからイメージを自動的にビルドし、ビルドされたイメージを指定した Docker リポジトリにプッシュします。Docker Business、Team または Pro プランで利用可能な自動ビルドは、コマンドを使用して Docker イメージに組み込めるブランチとタグのリストを作成します。自動ビルドでは、最大 10GB のイメージを処理できます。

強化されたコラボレーション ツール 

Docker の統合スイート全体では、開発者と運用チームが協力してプロジェクトやアプリケーションの成果を最大限に引き出すためのコラボレーションを強化するツールを利用できます。

Docker DesktopDocker EngineDocker CLIDocker ComposeDocker Build/BuildKitDocker Desktop Extensions など、さまざまな機能でソフトウェア開発プロセス全体を通じて生産性の向上、コードエラーの削減、セキュリティ強化、イノベーションの推進など、時間節約に貢献します。

Kubernetes との統合によるスケーリングとオーケストレーションの簡易化

また、Docker のコンテナー化プラットフォームは、Kubernetes コンテナー オーケストレーション プラットフォームとうまく統合でき、コンテナーの開発、デプロイ、管理の開発者エクスペリエンスを最適化します。Docker と Kubernetes は、Docker Engine をユーザーフレンドリーかつ安全なKubernetes (K8s) 機能の基盤として利用したり、Docker Desktop を使用して手動で構成したコンテナーの潜在的な課題を回避する、より包括的なアプローチとして利用したりできます。 Docker Desktop には、ボタンを押すだけで完了する K8 セットアップが含まれており、これは便利な自動化機能の 1 つです。 

サポートとトラブルシューティング 

Docker の発展に伴い、ナレッジベースの情報は絶えず増えています。Docker エコシステムを活用する Docker ユーザーはドキュメントとリソースを無償で利用できます。また、Docker 社は開発者と運用チームが互いに協力して作業を進めるスタイルを採用しているため、Docker ユーザーは共通の質問に対する答えを見つけやすく、ほとんどの問題に対処できます。

Docker 社の日本正規代理店であるエクセルソフトは、定期的な Docker に関するセミナーの開催やオンデマンド動画の提供、さらに Docker 導入前後の個別ミーティングの実施を承っています。セミナーやオンデマンド動画はこちらをご確認下さい。

その他のリソース ~ Docker Scout と Docker Build Cloud

Docker は上記のツールや機能だけでなく、自動化、コラボレーション、そしてより柔軟なコードを記述するための多くのツールを提供しています。

たとえば、Docker Scout は、コンテナー イメージを使用する際に、ソフトウェア サプライ チェーンのセキュリティをさらに強固にするために構築されています。コンテナー イメージには、セキュリティ脆弱性にさらされやすいソフトウェア要素が含まれている場合があります。

Docker Scout は、コンテナー イメージを積極的に分析し、アプリケーションやコンテナーに含まれるコードの詳細なインベントリであるソフトウェア部品表 (SBOM) を作成することで、この問題に対処します。その SBOM を継続的に更新される脆弱性データベースを照合し、セキュリティの弱点を特定、修正することで、コードの安全性を高める手助けをします。

Docker Build Cloud は、ローカルとクラウドの両方でコンテナー イメージをより迅速にビルドするのに役立つ Docker サービスです。これらのビルドは、設定不要なクラウド インフラストラクチャ上で実行され、リモート ビルド キャッシュを利用してすべてのワークロードに最適化された環境で行われます。このアプローチにより、チーム全員がどこでも迅速にビルドできるようになります。

Docker Build Cloud を使用する際、通常のビルドと同じ手順でコマンド docker buildx build を実行します。通常のビルド コマンドでは、ビルドは Docker デーモンにバンドルされた BuildKit のローカル インスタンスで実行されます。しかし、Docker Build Cloud を使用する場合、ビルド リクエストはクラウド上でリモートで実行される BuildKit インスタンスに送信され、すべてのデータは転送中に暗号化されます。Docker Build Cloud はローカル ビルドと異なり、ビルド速度の向上、共有ビルド キャッシュ、ネイティブのマルチプラットフォーム ビルドなどの利点があります。

まとめ

Docker で DevOps の自動化を改善することは、効率的かつ創造的に、また広範なコラボレーションを通じて最良の成果を上げるための賢明な戦略です。

Docker Business の機能を利用して、DevOps の自動化を促進しましょう!


エクセルソフトは Docker の Preferred Reseller として、Docker Business を販売しています。Docker 製品のライセンスや機能に関するご質問、製品デモのご要望を承っています。お問い合わせはこちらから。


*本記事は、Docker 社が提供している以下の記事から抜粋・転載したものです。

DevOpsの自動化を改善する方法

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