強化された Docker MCP Catalog ~ MCP サーバーを安全に発見・実行する新たな方法

Model Context Protocol (MCP) エコシステムが急成長中

Model Context Protocol (MCP) エコシステムが急速に拡大しています。Docker MCP Catalog は公開から数週間で 100 万回以上のプルを記録し、安全に MCP サーバーを実行したいという開発者のニーズの高さが証明されました。この記事では、Docker MCP Catalog に関する重要なアップデートを発表します。検索機能の強化や、新たに導入された「オープンなサーバー登録プロセス」など、多くの改善を加えました。

すでに数百人の開発者から「自分たちの MCP サーバーを Docker で公開したい」という声が寄せられており、Docker は、安全な AI ツール配布の標準を確立するというミッションの実現に向けて加速しています。

なぜ Docker が MCP エコシステムに投資するのか

MCP サーバーの急速な普及は、同時に大きな問題も浮き彫りにしています。現在広く行われている npxuvx を使ったサーバー実行では、信頼性のないコードがホスト環境でそのまま実行されてしまい、システム全体が危険にさらされます。また、依存関係の管理も煩雑です。

たとえば以下のようなリスクがあります。

  • ファイルシステム全体へのアクセス
  • ネットワーク接続
  • 環境変数や機密情報
  • システムリソースへの無制限アクセス

一部の MCP クライアントでは環境変数へのアクセス制限をしていますが、これは一般的な対策ではありません。このまま本番環境に進むのは非常に危険です。

Docker の強み

Docker は、クラウドネイティブ アプリケーション向けにこのような問題を 10 年以上にわたって解決してきました。信頼性のあるコンテナー実行環境とツールを開発者に提供し続けており、今その経験と技術を MCP エコシステムにも活用しています。

Docker MCP Catalog 経由で MCP サーバーを実行することで、以下のようなセキュリティを確保します。

  • 改ざんされていないことを保証する暗号署名
  • ソフトウェア部品表 (SBOM) による構成の可視化
  • ホストシステムからの完全な隔離
  • 必要最小限のアクセス権のみを許可

これは開発者の負担を増やすものではありません。セキュリティを「一番楽な選択肢」にすることが目的です。

強化された MCP Catalog

ユースケース別で探しやすく

新しい MCP Catalog は、開発者が自分に最適な MCP サーバーを簡単に見つけられるよう再設計されています。従来どおり Docker Hub や Docker Desktop の MCP Toolkit からもアクセス可能で、以下のように用途別に整理されています。

  • データ連携 (データベース、API、ファイル システム)
  • 開発ツール (IDE、コード解析、テスト)
  • コミュニケーション (メール、Slack、メッセージ)
  • 生産性 (タスク管理、カレンダー、メモ)
  • 分析 (データ処理、可視化、レポート)

検索機能の強化

名前だけでなく、機能、ツール名、GitHub タグ、カテゴリなどから柔軟に検索できます。

セキュリティの透明性

カタログ内のすべての MCP サーバーは「Docker 製」または「コミュニティ製」として明記されています。Docker 製であればビルド署名や SBOM が提供されており、信頼性が確保されています。

MCP サーバーの分類 ~ Docker 製とコミュニティ製

Docker 製 MCP サーバー

Docker チームがビルド・署名・検証まで一貫して行うことで、最高水準のセキュリティを提供します。

  • 暗号署名付きイメージ
  • SBOM (ソフトウェア部品表)
  • 証明可能なビルド履歴
  • 脆弱性の継続的スキャン

コミュニティ製 MCP サーバー

開発者自身がパッケージ化し公開します。Docker 側ではビルドプロセスまでは管理しませんが、コンテナー化されているというだけで、直接実行よりも大幅なセキュリティ向上が図れます。

将来的に、コミュニティ製から Docker 製への変更申請も可能です。

サーバーの公開受付を開始

本日より、すべての開発者・企業向けに MCP サーバーの登録受付を開始しました。

Docker MCP Catalog にサーバーを公開することで、自分の MCP ツールを数百万の Docker ユーザーに届けることができます。また、安全な MCP 配布の新しいスタンダードを共に作り上げることにもつながります。

登録の手順

  1. Docker イメージとして MCP サーバーをパッケージ化
  2. GitHub 経由で申請: docker/mcp-registry にプルリクエスト
  3. 登録方法を選択: Docker 製 (ビルドを Docker が担当) or コミュニティ製 (開発者自身が管理)

審査は迅速かつ透明なプロセスで進めます。セキュリティ基準を満たす質の高いサーバーは、すぐに公開可能です。

事例 ~ ClickHouse

ClickHouse は、MCP Catalog の初期パートナーの一社です。同社は「Docker 製」を選択し、以下のように述べています。

ClickHouse は、リアルタイム分析を得意とするオープンソースの高速データベースです。AI エージェントが現実のアプリケーションに組み込まれていく中で、低レイテンシー・高同時実行・コスト効率を求めるワークロードに ClickHouse MCP サーバーが最適であることが増えています。
Docker MCP Catalog を通じて、より多くの開発者に当社のソリューションを届けると同時に、最高レベルのセキュリティ基準 (署名、SBOM、ビルド証明、脆弱性スキャン) で提供することで、安心して使っていただける環境を整えました。
– Tanya Bragin, VP of Product and Marketing, ClickHouse

今後の展望 ~ リモート MCP サーバー

今後、リモート MCP サーバーにも対応予定です。これにより、以下を実現します。

  • 自動スケーリング可能なマネージド MCP サービス
  • チーム間での機能共有(コード配布不要)
  • 機密操作に対する厳格なセキュリティ制御
  • 公式 MCP レジストリとの統合

公式 MCP レジストリとの連携

Docker は現在、MCP コミュニティと連携し、公式 MCP レジストリの実現に向けて取り組んでいます。

  • 公式レジストリは「MCP サーバーの電話帳 (イエローページ)」の役割
  • Docker は、それらを安全に配布・実行するプラットフォームを提供

この連携により、発見性と安全性の両立が可能となります。

今すぐ始めよう

  1. MCP Catalog を検索。自分のユースケースに合った MCP サーバーを探せます
  2. Docker Desktop のインストール。Gordon、Claude、Cursor、VSCode などのツールと連携可能です。
  3. サーバーを公開する。安全な AI ツールを配布しましょう。
  4. 最新情報をフォロー。MCP Gateway やリモート機能のアップデートをお見逃しなく!

エクセルソフトは Docker の Preferred Reseller として、Docker Desktop を販売しています。Docker 製品のライセンスや機能に関するご質問、製品デモのご要望を承っています。お問い合わせはこちらから。


*本記事は、Docker 社が提供している以下の記事から抜粋・転載したものです。

Docker MCPカタログ:MCPサーバーを安全に検出して実行する方法

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