Docker Compose をエージェント時代へ ~ AI エージェントの構築が簡単に

エージェントは未来を担う存在です。まだ開発を始めていない方も、近いうちに関わることになるでしょう。業界やユースケースを問わず、エージェントは人の代わりに判断や文脈を踏まえて行動できるため、繰り返しの作業を任せることが可能になります。

しかし、エージェント開発は急速に進化している一方で、現状では手間がかかり、難しく、楽しいとは言えません。さまざまなプロンプトやモデル (先端モデルやローカル/オープン モデル) を使って素早く試行錯誤する必要があり、 MCP ツールを社内データと安全に接続しなければならず、さらには他の人も実行できるよう、すべてを宣言的にパッケージ化する必要があります。そして、それを一度構築すれば、ローカル環境、CI、あるいは本番環境など、どこでも動くようにしなければなりません。

これらの課題は、実は目新しいものではありません。まさに Docker が最初に生まれた理由でもあります。かつて Docker がマイクロサービスの実現を可能にしたように、今回はエージェント時代に向けた Docker の進化をご紹介します。

Compose がエージェント時代に突入

Docker は、エージェントやエージェント アプリケーションの構築、配布、実行をより簡単に行える新機能の提供を開始しました。10 年前に登場した Docker Compose は、複数のコンテナーを用いたアプリケーションをどのように定義し、ビルドするかという課題を解決し、現在では世界中の開発者に広く利用されています。今回、その Compose にエージェント開発のための新たな機能が加わり、Docker はエージェント時代に向けてさらに進化を遂げました。

今や compose.yaml を使うだけで、オープン モデル、エージェント、MCP 対応ツールを定義し、docker compose up ひとつでエージェント スタック全体を立ち上げることができます。開発環境から本番環境まで、エージェントはすでに接続され、準備万端の状態で稼働します。

これだけではありません。Compose は、現在もっとも利用されているエージェント開発フレームワークとの統合もスムーズに行えます。

  • LangGraph
    LangGraph のワークフローを定義し、サービスとしてラップし、compose.yaml に組み込めば、docker compose up でグラフ全体を実行できます。
  • Embabel
    モデルやツールを Compose で接続し、Embabel 環境をまるごと起動できます。
  • Vercel AI SDK
    ローカルで補助的なエージェントやサービスを簡単に立ち上げられます。
  • Spring AI
    ベクトルストアやモデルのエンドポイント、エージェントを Spring AI のバックエンドとともに立ち上げられます。
  • CrewAI
    CrewAI のエージェントをコンテナー化し、Compose で管理可能です。
  • Google ADK
    ADK ベースのエージェント スタックを、エージェント、ツール、ルーティング層を含めて 1 ファイルで定義し、Docker Compose で簡単にデプロイできます。
  • Agno
    Agno ベースのエージェントやツールも Compose で簡単に実行できます。

そして、Compose の進化は SDK 連携だけにとどまりません。Docker の AI 機能全体との統合により、さらに強力な開発体験を提供します。

Docker MCP Catalog では、信頼性の高いプラグ & プレイのツール ライブラリにすぐアクセスできます。リポジトリを探し回ったり、互換性を気にしたり、手動で接続したりする必要はありません。必要なツールを Compose ファイルに追加するだけで、すぐに稼働します。

Docker Model Runner を使えば、Docker Hub からオープンウェイトの LLM を直接取得し、ローカルで実行できます。OpenAI 互換のエンドポイントが組み込まれているため、既存の SDK やライブラリがそのまま使えます。コードの書き換えもツールの再構築も不要で、GPU アクセラレーションにも対応しています。

では、ローカル リソースが足りない場合はどうするのでしょうか?

Docker Offload の登場 ~ クラウドのパワーをローカルのシンプルさ

エージェント開発でローカルのリソース制限に悩まされるべきではありません。そこで登場するのが Docker Offload です。モデルやコンテナーをクラウド GPU 上で実行するための、シームレスなソリューションです。

Docker Offload は、計算負荷の高いタスク (大規模言語モデルやマルチエージェントのオーケストレーションなど) を、高性能なクラウド環境にオフロードすることで、インフラの制約から解放してくれます。複雑なセットアップや GPU の不足、面倒な設定も不要です。

Docker Desktop や Docker Engine にネイティブ統合されており、Compose からクラウドへの移行もワンクリックで完了します。これまでどおりローカルで構築、テスト、スケーリングしながら、その裏側では Docker が処理を代行してくれます。使い慣れた docker compose up の体験が、クラウドの力でさらに強化されました。

今なら 300 分の無料 Offload 利用枠 が用意されています。ぜひ試して、ローカルからクラウドへ、エージェントを自在にスケーリングしてください。

Compose は Google Cloud と Microsoft Azure にも本番対応

そして最後にもう一つ重要なお知らせがあります。Compose ファイルは、開発時に使ったものをそのまま書き換えや再設定なしで本番環境にデプロイできるようになりました。

Google Cloud Run および Microsoft Azure Container Apps Service との新たな統合により、Docker Compose を使ってサーバーレス アーキテクチャを定義できます。たとえば Google Cloud では、新しい gcloud run compose up コマンドで、Compose ファイルをそのままサーバーレス環境にデプロイできます。Azure との統合についても、現在密に連携を進めています。

YAML の一行目から本番展開まで、Compose を使えばエージェント開発のすべてのステップが一貫性をもち、移植性が高く、何よりシンプルになります。

一緒に未来を Compose しましょう

ソフトウェアの未来は「エージェント駆動型」です。開発者一人ひとりが、複数の LLM を活用し、目的に沿って推論、計画、実行できるエージェントを構築していく時代です。

Docker Compose、Docker Offload、Docker の AI 機能、そして Google、Microsoft、各種エージェント SDK とのパートナーシップにより、その未来は誰にでも手が届くものになります。

Docker は、インテリジェントなエージェントを開発から本番まで簡単に構築、実行、スケールできる最も手軽な手段です。


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*本記事は、Docker 社が提供している以下の記事から抜粋・転載したものです。

Docker が Compose をエージェント時代にもたらす: AI エージェントの構築が簡単になりました

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