Docker Desktop 4.44 ~ より賢い AI モデリング、安定したプラットフォーム、シンプルになった Kubernetes ワークフロー

Docker Desktop 4.44 では、信頼性の強化、AI モデル管理の高度化、ツール統合の簡素化に重点を置き、開発者が自分のスタイルで開発を進められる環境を提供します。

Docker Model Runner の機能強化

Model Runner ワークフローの可視化

Docker Model Runner (DMR) で AI 推論リクエストやレスポンスを直接確認できるようになりました。これにより、モデルの挙動を迅速にトラブルシュート/デバッグでき、AI ワークフローに透明性とデバッグ機能をもたらします。特に AI や LLM ベースのアプリケーションを試しているユーザーにとって、大きな使いやすさの向上につながります。

新しいリクエスト/レスポンス インスペクターを使えば、推論のリクエストとレスポンスのサイクルをより深く確認できます。HTTP リクエストとレスポンスのペイロードが記録され、プロンプトの内容やヘッダー、モデルの出力を Model Runner の実行環境内で確認可能です。この透明性により、不正な入力を素早く特定できるようになります。

リアルタイム リソース チェック

複数のモデルを同時に実行しても、リアルタイムでリソースをチェックできるようになりました。この機能はシステムのフリーズや遅延を防ぐだけでなく、推論モデルと埋め込みモデルを同時に実行することも可能にします。これにより、開発者は Docker Desktop を安心して高度な AI ユースケースに活用できます。

システム制約によってパフォーマンスが低下する可能性がある場合には警告が表示されるため、推論中に Docker Desktop やワークステーション全体が固まってしまうリスクを避けられます。Docker は GPU の利用可否やメモリ制約を検知し、警告を発しつつ、ローカル開発時に DMR エンドポイントを保護する CORS ルールの設定も可能です。これにより、大規模モデル実験でもシステムがクラッシュせず、スムーズかつ予測可能な推論ワークフローを実現します。

Goose と Gemini CLI の MCP クライアント対応

Docker MCP Toolkit が Goose と Gemini CLI を MCP クライアントとして新たにサポートしました。これにより、Docker MCP カタログで利用できる 140 以上の MCP サーバへ、ワンクリックでシームレスに接続できます。

GitHub、Postgres、Neo4j などのコンテナー化された MCP サーバへ簡単にアクセスでき、インフラの設定に時間をかけることなく、知的で目的指向のエージェント開発に集中できます。複雑な部分は Docker が裏で処理するため、チームはより速く反復し、自信を持ってデプロイできるようになります。

図 1: Goose と Gemini CLI が MCP クライアントとしてサポートされ、ワンクリックでセットアップ可能に

新しい Kubernetes コマンド

Docker Desktop CLI に Kubernetes を直接操作できる新コマンドが追加されました。ツールや UI を切り替える必要がなくなります。

docker desktop kubernetes

このコマンドにより、Docker Desktop に含まれる Kubernetes クラスターの有効化/無効化、ステータス確認、設定オプションの表示をターミナルから直接行えます。Model Runner、Dev Environments、WSL サポートなど、他の Desktop 固有機能と同じ CLI に統合されているため、操作がシンプルになります。

Docker と Kubernetes の環境を行き来することが多い開発者にとって、CLI から直接管理できることで認知負荷を減らし、作業効率を向上します。マイクロサービスのデプロイ準備や、ローカル クラスターでの統合テスト、一時的なセットアップでの切り替えなど、幅広い用途でワークフローが加速します。

設定検索とプラットフォーム改善

設定検索の改善

設定画面の検索機能が強化され、必要な項目を掘り下げて探さなくても素早く見つけられるようになりました。

図 2: 改良された設定検索バー

macOS ~ Apple Virtualization が標準化

macOS では Apple Virtualization が標準の仮想化バックエンドとなり、パフォーマンスが向上しました。QEMU は完全に削除され、起動時間やリソース使用が最適化されています。Apple のハイパーバイザー フレームワークを活用することで、コンテナー ワークロードのコールドスタートが速くなり、メモリ管理も効率化します。さらに、環境構築やトラブルシュート時の手間も軽減されます。

Windows + WSL2 ~ 性能と安定性の改善

Windows + WSL 環境では、動作がより滑らかになり、安定性も向上しました。重いワークロードを実行していても、フリーズが減り、起動が速く、UI の応答性も改善されています。

主な改善点:

  • バックグラウンドのメモリ使用量を削減
  • アイドル状態のコンテナーに対する賢い CPU スロットリング
  • グラフィック系ワークロードにおける WSL との統合強化

これにより、グラフィック処理を含むマルチモデル パイプラインを Windows 上で安心してテストできます。

まとめ

Docker Desktop 4.44 では、プロンプト調整、複数モデルの同時実行、Kubernetes ワークフローの移行といったシナリオで、開発体験とシステムの信頼性がさらに強化されました。狙いは「予期せぬ挙動の削減」「可観測性の向上」「反復速度の加速」です。

このリリースは、Docker が「開発者のための必携ツールキット」「安全な AI アプリケーションをビルドするためのプラットフォーム」へ進化していくための大きな一歩です。MCP との新たな統合から GPU を活用した Model Runner 体験まで、Docker はシンプル、セキュア、スピーディーに、次世代のインテリジェント ソフトウェア開発を支援していきます。

Docker は今後も AI エコシステムの進化に合わせて進み続け、現在のニーズに応えるだけでなく、プロトタイプから本番までを迅速かつ安全に推進できる信頼できるプラットフォームであり続けます。


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*本記事は、Docker 社が提供している以下の記事から抜粋・転載したものです。

Docker デスクトップ 4.44:よりスマートなAIモデリング、プラットフォームの安定性、合理化されたKubernetesワークフロー

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