データ集約的な機能のプロトタイプ作成におけるバランスの見つけ方

インタラクティブなオンライン電卓などのデータ集約的な機能のプロトタイプを作成する場合、すべてを模倣するのではなく、実世界のエクスペリエンスをシミュレーションするプロトタイプを作成するようにバランスを取る必要があります。Genworth 社の「Beyond Dollars Study 2018」によると、ほとんどの人が長期介護に対するプランを持っていません。Genworth 社の受賞歴のあるインタラクティブな計算ツールは、長期介護に備えるための第一歩として役立ちます。

Genworth 社の介護費用計算ツール (図 1) は、ユーザーに地域の長期介護サービスの費用を提供します。このツールでは、いくつかのプロトタイプが作成されました。このような計算ツールで生成される膨大な量のインタラクションと、Axure のようなプロトタイプ作成ソフトウェアの豊富な機能を使用することで、実際のテストに必要な数よりも多くの要素とインタラクションのプロトタイプを作成してしまう可能性があります。プロトタイプの作成に時間がかかりすぎると、テストで見つかった問題の解決に十分な時間を取ることができません。

このインタラクティブな計算ツールでは、開発開始から 3 年を経て、プロトタイプ作成とテストの適切なバランスを見つけることができました。ここでは、データ集約的な機能のプロトタイプ作成とテストにおいて注目すべきいくつかのヒントを紹介します。


図 1- Genworth 社の介護費用計算ツール

可能な場合、より低い忠実度でテストする

紙ベースのプロトタイプ作成、ワイヤーフレーム、忠実度の低いモックアップを利用して、情報アーキテクチャ、ページ レイアウト、ページ間のインタラクションなどの幅広い問題をテストします。これらは多くの時間を必要としません。これにより、コンテンツとレイアウトに関する決定を下して、忠実度の高いプロトタイプでインタラクションのテストに集中することができます。

時間をかけてプロトタイプに対する綿密なアプローチを計画する

非常にリアルなデータ集約的なプロトタイプを作成するソフトウェアの習得には時間がかかります。最大の課題の 1 つは、同じ動作/インタラクション (Show/Hide と Dynamic Panel など) を生成する方法が複数あることです。そのため、作業を開始する前に特定のインタラクションに最適な方法を決めておき、プロトタイプ全体を通して一貫して使用することが重要です。

Genworth 社の介護費用計算ツールでは、通常、アクション基づいてページ要素を表示したり、非表示にする、単純なインタラクションに Show/Hide を使用しています。例えば、介護費用ページでは、ユーザーが「long term care (長期介護)」の横にある情報アイコンをクリックすると、長期介護の説明が表示されます (図 2)。そして、情報アイコンを再度クリックすると説明が消えます (図 3)。


図 2 – Show/Hide – 説明が非表示の状態 (Hide)


図 3 – Show/Hide – 説明が表示された状態 (Show)

より複雑なインタラクションには、Dynamic Panel (ダイナミック パネル) がよく使用されています。インタラクティブな計算ツールの基本機能は、ユーザー入力に基づいて数値データを表示することです。ダイナミック パネルは、データの変化をスムーズにシミュレーションするのに役立ちます。ダイナミック パネルは、ページの同じ領域にある複数の要素の外観とインタラクションを設定できるコンテナーです。コンテナーの各バージョンは「state (状態)」と呼ばれます。一度に表示できるダイナミック パネルの「state」は 1 つのみであるため、ダイナミック パネルを使用してページに表示するデータを変更できます。介護費用計算ツールでは、ダイナミック パネルを使用して、ユーザーが選択する場所、期間、年、利率に基づいて費用の変化をシミュレーションします。この例では、ダイナミック パネルを使用して、ルイジアナ州ニューオーリンズ地域の介護サービスの費用が表示されています (図 4)。新しい場所 (カリフォルニア州フレズノ)、期間 (月)、年 (2029)、および利率 (3%) を選択すると、データとダイナミック パネルの表示が変わります (図 5)。


図 4 – ダイナミック パネル – 介護サービス費用 (ルイジアナ州ニューオーリンズ)。
下部のデータ テーブルがダイナミック パネルです。


図 5 – ダイナミック パネル – 介護サービス費用 (カリフォルニア州フレズノ)。
異なる場所、期間、年、利率を選択すると、下部のデータ テーブル (ダイナミック パネル) のデータと外観が変わります。

実際のデータでテストする

ダミー データは、早期のプロトタイプではうまく動作しますが、忠実度の高いプロトタイプでは、より現実的なエクスペリエンスをシミュレーションするため実際のデータが役立ちます。また、実際のデータを使用することで、ビジュアル デザインを追加でチェックできます。場合によっては、実際のデータ出力に応じて、デザインを調整する必要があるかもしれません。

介護費用計算ツールでは、プロトタイプ作成時に実際のデータのサブセットを使用することで、ユーザーのデータに対する反応、データを見た後のアクション、そしてデータに関する質問を理解することができました。

現実的なダミー データの作成には時間がかかります。代わりに、実際のデータのサブセットを使用することで、時間を節約できます。

機能と理解度をテストする

基本的なレベルで、ツールがデザイン通りに機能するかテストすることは常に重要です。また、ユーザーがデータを理解しているかどうかをテストする必要があります。一般に出力の説明を必要としないオンライン電卓とは異なり、介護費用計算ツールでは、ほとんどのユーザーは介護サービスの種類や関連費用について精通していません。そのため、プロトタイプには、各種介護サービスの定義をヒントとして含めることが重要です (図 6)。


図 6 – 介護サービスの定義を提供するヒント

適切な機能を備えたプロトタイプ作成ツールを見つける

インタラクティブな計算ツールのデザインでは、ツール全体のエクスペリエンスを向上するマイクロインタラクションが重要です。マイクロインタラクションは、ユーザー アクション (ボタンをクリックなど) によって変更されたユーザー インターフェイス要素に関するフィードバックを通知します。フィードバックには、画像、アニメーション、サウンド、メッセージなどを利用できます。インタラクティブな計算ツールで利用可能な各種ボタン、スライダー、入力フィールド、ドロップダウン リストなどを使用して、マイクロインタラクションは計算ツールがユーザーの入力に反応していることを知らせ、安心感を与えるのに役立ちます。

介護費用計算ツールで評価が必要な重要なマイクロインタラクションは、新しい Autocomplete (自動完了) 機能からのフィードバック メッセージでした。ユーザーが入力フィールドに「市、州、または郵便番号」を入力し始めると、場所の候補がドロップダウン リストに表示されます。ユーザーがリストから特定の場所を選択すると、入力フィールドの下に「The closest region for Cost of Care data is: [Name of a Nearby (MSA) Metropolitan Statistical Area]. (介護費用データに最も近い地域は次です: [付近の大都市統計圏の名前]。)」というメッセージが表示されます (図 7)。このマイクロインタラクションのプロトタイプ作成とテストでは、ユーザーがフィードバック メッセージを見て、混乱や疑問が生じていないかを確認することができました。複雑なインタラクションの作成には間違いなく学習曲線がありますが、リアルなマイクロインタラクションを作成できる忠実度の高いプロトタイプ作成ツールを使用することで、ユーザーのデータ集約的なツールの利用状況に関する洞察を得ることができます。


図 7 – 自動完了機能とフィードバック メッセージ

すべてのインタラクションに名前を付ける

オンライン計算ツールでは、ユーザーが情報を入力したり、ボタン、テキスト リンク、スライダー、カルーセル、入力フィールド、ドロップダウン リストなどのページ要素を操作することで、データが変化します。これらのインタラクションを作成する際には、インタラクション自体だけでなく、移動または移動のトリガーとなるすべての要素に名前を付けることが重要です。以下の例から、固有の名前がない場合、特定のページ要素を見つけることは困難であり、時間がかかることが分かります (図 8)。


図 8 – ラベル付けされていないページ要素

プロトタイプにすべてを含めない

ページ、タスク、またはインタラクションをプロトタイプに含めることができる場合であっても、そうすべきであるとは限りません。利用可能な場合、ユーザー調査とメトリックを使用して、ユーザーにとって重要なタスクを特定します。これにより、プロトタイプの作成で注目すべき点が明らかになります。エッジ ケースもありますが、最初は重要なタスクのプロトタイプ作成に集中すべきです。

ラピッド プロトタイピングの目的は、テストや反復のためリアルなエクスペリエンスを迅速にシミュレーションすることです。ユーザーのフィードバックを取得して、組み込む時間が必要です。

データ集約的なエクスペリエンスのプロトタイプ作成は、楽しく、やりがいがあるものです。ここで紹介したヒントにより、効果的で忠実度の高いプロトタイプを作成して、ユーザーが介護費用計算ツールをどのように使用するかを十分に理解することができました。これらのヒントが、皆さんプロトタイプ作成に役立つことを願っています。

免責事項: ここに記載されている見解および意見は筆者のものであり、Genworth Financial, Inc. の見解、立場、意見 (明示または黙示を問わず) を代表するものではありません。


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