2024 年 AI トレンド ~ ソフトウェア開発者の洞察による Docker 社最新レポート

開発プロセスへの人工知能 (AI) 統合の推進により、アプリケーション開発の領域は急速に進化しています。近日公開予定の「アプリケーション開発の現状レポート」の先駆けとなる「2024 年 AI トレンド レポート (Docker 社提供)」はとても興味深い内容となっています。

最新の Docker 社によるアプリケーション開発の現状調査の結果は、開発者がどのように AI を採用し、利用しているかについての洞察を提供し、より知的で効率的かつ適応性のある開発手法への移行を反映しています。AI がソフトウェア開発においてますます重要な位置を占めるようになるにつれて、この変化は、技術業界全体で見られる大きな傾向の一部となっています。

Docker 社のユーザー調査チームが毎年実施するアプリケーション開発現状調査は、Docker 社のプロダクト マネージャー、エンジニア、デザイナーが Docker ユーザーから洞察を得ることで、Docker 社が提供する一連の製品を継続的に開発および改善する方法の 1 つです。 たとえば、Docker 社による 2022 年アプリケーション開発の現状調査では、Docker ユーザーが最も頻繁にサポート/ドキュメントを参照するタスクは、Dockerfile の作成であることがわかりました (60%)。この調査結果は、Docker AI のイノベーションを促進するのに役立ちました。

2023 月下旬に実施したアプリケーション開発の現状調査では、1,300 名もの開発者にご協力いただきました。オンライン調査では、使用しているツール、アプリケーション開発におけるプロセスや不満、業界トレンドに対する考え、Docker の利用状況、開発者コミュニティへの参加について尋ねました。この調査は、開発者がどのような領域に焦点を当てているか、現在何に取り組んでいるか、そして何が最も重要かを理解するために行いました。

この調査では、約 1,300 名の方からの回答があり、すべての質問にお答えいただいた約 885 名の回答に基づいてレポートを作成しました。

Docker 社の調査の回答者について

調査の回答者は、趣味で開発を行っている方から 5,000 名以上の大企業に勤める方まで、多様なバックグラウンドを持つ方々にご参加いただきました。回答者の 42% が中小企業 (従業員 100 人以下)、28% が中規模企業 (従業員 100 〜 1,000 人)、25% が大企業 (従業員 1,000 人以上)で働いていると回答しています。 

回答者の半数以上がエンジニアリング関連の職に就いており、36% の回答者がバックエンドまたはフルスタックの開発者、21% が DevOps、インフラストラクチャ マネージャー、またはプラットフォーム エンジニア、4% がフロントエンド開発者として働いているとのことでした。その他には、開発/エンジニアリング マネージャー、会社のリーダー、プロダクト マネージャー、セキュリティや AI/ML の領域での役職が含まれていました。経験豊富な方 (6 年以上、54%) と経験の浅い方 (0〜5 年、46%) の割合はほぼ均等でした。

今回の調査では、Docker エコシステムの中で機械学習 (ML)、エンジニアリング、データ サイエンスに重点を置いた役割が著しく増加していることが分かりました。2022の調査では、この層にあたる回答者の約 1% だったのに対し、最新の調査では 8% を占めています。ML エンジニアとデータ サイエンティストが急速に増え、これは、AI がソフトウェア開発分野においてますます重要になってきていることや、開発者が使うツールと AI/ML 科学者が使うツールの種類に以前は明確な違いがあったのに対し、最近では両者が利用するツールが似てきていることを示しています。

回答者の 34% 以上が、コンピューティングまたは IT/SaaS 業界に携わる方でしたが、その他にも、会計、銀行、または金融 (8%)、ビジネス、コンサルタント、または管理 (7%)、エンジニアリングまたは製造 (6%)、および教育 (5%) といった分野で働いている方からの回答もありました。さらに、メディア、学術研究、輸送または物流、小売り、マーケティング、広告、PR、慈善団体やボランティア活動、医療、建設、クリエイティブ アートやデザイン、環境や農業など、さまざまな分野に携わっている方からの回答も得ることができました。

Docker ユーザーは回答者の 87% を占め、 13% が Docker を使用していないと回答しました。  

AI に関する最新トレンド

参加者に、現在の業界で最も重要だと感じるトレンドについて尋ねました。回答者の 40% が GenAI と回答し、回答者の 38% はソフトウェア エンジニアリングの AI アシスタントと回答し、これらがソフトウェア開発における重要な業界トレンドとして最も多くの方々に選ばれました。5 年以上の経験を持つシニア開発者 (バックエンド、フロントエンド、フルスタック開発者) は GenAI を最も重要視する傾向があり、経験 5 年未満の若手開発者はソフトウェア エンジニアリング用の AI アシスタントを最も重要視しているようです。この違いは、ソフトウェア開発のキャリアを通じて、AI を多様かつ独自の方法で使用していることを示しているのかもしれません。

AI は明らかにトレンディですが、実際に開発者は AI についてどのように考えているのでしょうか。過半数 (65%) は、AI を利用することを前向きな選択肢であるとし、仕事が楽にしてくれて (61%)、より重要なタスクに集中できる (55%) と述べています。一方で、AI を自分の仕事に対する脅威と見なしているという回答 (23%) や、AI が仕事を難しくしているといった回答 (19%) は、多く見かけませんでした。 

面白いことに、高い AI の利用率やポジティブな意見があるのにもかかわらず、回答者の 45% が AI を過大評価していると考えているようです。これはなぜでしょうか。理由は明確には分かりませんが、この結果が仕事への脅威と並行して考えられられている可能性があります。回答者は AI を自分の仕事における重要で便利なツールと見なしている一方で、それがすぐに自分たちを仕事を奪うかもしれないという可能性をあまり心配していないのかもしれません。

開発の領域で AI がどのように使用されているか

AI ユーザーに、AI を何に使っているのか、AI にどの程度依存しているか、最も頻繁に使用する AI ツールは何かを尋ねました。開発者の過半数 (64%) は、すでに AI を仕事に使用していると報告しており、AI がソフトウェア開発分野に浸透していることが分かります。開発者は、主にコーディング (33%)、ドキュメントの作成 (29%)、調査 (28%)、テストの作成 (23%)、トラブルシューティング/デバッグ (21%)、CLI コマンド (20%) などに AI を活用しているようです。 

また、仕事に AI を使用していると回答した 568 人に対して、仕事をこなすために AI にどの程度依存しているかを、0 (まったく依存していない) から 10 (完全に依存している) のスケールで尋ねました。回答には大幅なばらつきがあり、役割や経験年数によって異なりましたが、全体的な平均依存度は 10 点満点中約 4 点で、比較的低い依存度を示しています。

開発者ツールキットでは、ChatGPT (回答者の 46%)、GitHub Copilot (30%)、Bard (19% (現: Gemini)) などの AI ツールが最も頻繁に使用していることが分かりました。

まとめ

Docker 社による 2024 年 AI トレンド レポートで、人工知能はすでにソフトウェア開発のアプローチ方法を変えつつあることが分かりました。最新の調査において 800 人以上の回答者から得た洞察は、アプリケーション開発のあらゆる側面に AI がシームレスに統合された未来への展望を明らかにしました。コーディングやドキュメント作成からテストのデバッグや作成まで、AI ツールは効率と問題解決能力の向上に不可欠になりつつあり、その利用により開発者は、より創造的で重要な作業に集中できるようになります。

ChatGPT、GitHub Copilot、Bard などの AI ツールを開発者が採用することは、開発プロセスにおけて AI がどれだけ価値が高いかを示しています。さらに、Docker コミュニティ内で機械学習エンジニアリングとデータ サイエンスへの関心が高まっていることは、AI 技術がますます一般的に受け入れられ、取り入れられつつあることを示しています。

Docker 社は開発者を支援し、変化に対処するためのイノベーションを続けている一方で、ソフトウェア開発における AI の進展は、機会と挑戦をもたらしています。AI を人間の能力に取って代わるものとしてではなく、人間の能力を補完するポジティブな力として受け入れることが重要です。Docker 社は、開発者が AI を効果的に活用するためのツールとリソースを提供することで、この変化を促進し、開発者がイノベーションの最前線に立ち続けられるようにすることに取り組んでいます。

今後も Docker 社は、これらのトレンドを注視し、それに応じて Docker 製品に適応し、ソフトウェア開発における AI の可能性を最大限に引き出すためにユーザー コミュニティを盛り上げていきます。業界の進化に伴い、Docker 社の役割も変化し、アプリケーション開発の未来を形作る中で、Docker ユーザーが AI 駆動の開発時代における課題に対処し、競争力を高め、新たなビジネスチャンスの機会をつかめるよう支援していきます。


エクセルソフトは Docker の Preferred Reseller として、Docker Business を販売しています。2022 年 1 月 31 日以降、中・大規模組織による Docker Desktop の利用には有料サブスクリプションが必要となっています。詳細は、弊社 Web サイトをご確認ください。


*本記事は、Docker 社が提供している以下の記事から抜粋・転載したものです。

AIトレンドレポート 2024:ソフトウェア開発におけるAIの役割の高まり

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