Model Context Protocol (MCP) は、AI エージェントと外部ツールをつなぐ新たな標準として急速に広まりつつあります。しかし、開発者の体験はまだ十分に追いついていません。情報は分散しており、セットアップは煩雑で、セキュリティは後回しにされがちです。この課題を解決するには、1 社だけの取り組みでは不十分です。安全でスケーラブル、かつ信頼できる MCP エコシステムの実現には、プラットフォームやベンダーを超えた業界全体での協力が不可欠です。
こうした課題を解決するために、Docker MCP Catalog と MCP Toolkit のベータ版がリリースされました。Docker MCP Catalog は、Docker Hub に統合されており、人気の高いコンテナー化された MCP サーバーを厳選して掲載。エージェント AI 開発のスタート地点として、最適なツールを簡単に見つけることができます。さらに、MCP Toolkit を使えば、インストールの簡素化、認証情報の管理、アクセス制御の適用、実行環境のセキュリティ確保までを一括で行えます。MCP Catalog と Toolkit を組み合わせることで、開発者やチームは、MCP ツールをより安全に、効率的に、スケーラブルに活用するための土台を手に入れられます。
今回の取り組みでは、Stripe、Elastic、Heroku、Pulumi、Grafana Labs、Kong Inc.、Neo4j、New Relic、Continue.dev など、クラウド、開発者向けツール、AI 分野で信頼されている多くの企業と連携しています。Docker Desktop から、Gordon (Docker AI エージェント) や Claude、Cursor、VSCode、Windsurf、continue.dev、Goose などの主要 MCP クライアントへ、ワンクリックで接続できる環境を整備。これにより、強力でインテリジェントな AI エージェントの構築が、これまで以上に簡単になります。
この取り組みは、Docker のミッションとも完全に一致しています。Docker はコンテナー革命を牽引し、ソフトウェアの開発、デプロイのあり方を大きく変革しました。現在、2,000 万人を超える開発者が Docker を利用して、最新のアプリケーションをビルド、共有、実行しています。そして今、Docker はその信頼性を武器に、次なるフロンティア「エージェント AI × MCP ツール」へと進化しようとしています。
今後も業界全体と連携しながら、安全で信頼性の高い MCP エコシステムの構築を推進していきます。
Model Context Protocol (MCP) は急速に注目を集めており、エージェント型 AI システムの基盤として広がりつつあります。しかし、開発者にとってのエクスペリエンスには、いまだに多くの課題が残されています。以下は、現在の主な課題点です。
信頼できる公式ツールの発見が難しい
MCP サーバーを見つけるには、レジストリやコミュニティがまとめたリスト、ブログ記事などを探し回る必要があります。それでも、本当に公式で信頼できるかどうかの判断は難しく、開発者にとって大きなハードルとなっています。
インストールや配布の複雑さ
MCP ツールの導入には手間がかかります。リポジトリをクローンし、Node.js や Python などで依存関係を調整し、場合によっては自身でローカルにサービスを立ち上げる必要があります。多くのツールはコンテナー化されておらず、セットアップや持ち運びが困難です。さらに MCP クライアントとの接続には個別の設定が必要で、導入の障壁をさらに高くしています。
認証とアクセス制御が不十分
多くの MCP ツールは、npx
や uvx
で起動され、ホスト環境へのフルアクセス権限を持ったまま動作します。認証情報はプレーン テキストの環境変数として渡されることが多く、機密情報が漏洩するリスクが高くなります。また、スケーラビリティやセキュリティの観点からも設計が不十分で、ポリシー制御、監査ログ、標準的なセキュリティ機能などのエンタープライズ対応が欠けています。
Docker がこれらの課題をどう解決するのか
Docker MCP Catalog と MCP Toolkit は、これらの課題に対応するために設計されています。MCP サーバーの発見、インストール、認証プロセスを安全かつシンプルにし、開発者が信頼できる MCP クライアントと簡単につながることを可能にします。
安全かつ分離されたコンテナー環境で MCP サーバーを簡単に発見・実行
MCP Catalog では、Stripe、Elastic、Neo4j などを含む 100 以上の MCP サーバーを Docker Hub 上で簡単に発見、利用できます。さらに MCP Toolkit(Docker Desktop の拡張機能)を使えば、これらの MCP サーバーを迅速かつ安全に起動、操作できます。MCP サーバーをコンテナーとしてパッケージ化することで、ランタイムのセットアップや依存関係の衝突、環境の違いといった一般的な課題を回避でき、「コンテナーを実行すれば、すぐに使える」状態を実現します。
このように、Docker は MCP を取り巻く体験を大幅に改善し、開発者がより安全で効率的にエージェント AI を構築できる未来を支えています。

Docker が取り組んでいるのは、単なる発見やインストールの簡略化だけではありません。MCP におけるセキュリティ エクスペリエンスを中心に据えている点が特徴です。
MCP は Docker コンテナー イメージ内で実行されるため、開発者がすでに信頼している Docker のセキュリティ機能をそのまま活用できます。また、ソフトウェアのサプライ チェーン全体を守るための豊富なセキュリティ ツール群とも連携可能です。
さらに、Docker MCP Toolkit は、MCP サーバー特有の新たな脅威。たとえば「ツール・ポイズニング」や「ツール・ラグプル」などにも対応。安全なコンテンツと実行環境の両方を提供する Docker の強みを生かして、これらのリスクに立ち向かいます。

Docker MCP Catalog と Toolkit を使い始めるには、Docker Desktop の拡張機能メニューからアクセスしてください。または、こちらのリンクからインストールできます。詳細についてはドキュメントをご覧ください。
ワンクリックで MCP クライアントと安全に連携
厳選された MCP のリストや簡略化されたセキュリティは出発点にすぎません。Docker MCP Catalog に登録された MCP サーバーは、任意の MCP クライアントと連携可能です。
Gordon (Docker AI エージェント)、Claude、Cursor、VSCode、Windsurf、continue.dev、Goose などの主要クライアントとは、ワンクリックでスムーズに統合できます。
Docker MCP Toolkit には、OAuth 対応や安全な認証情報ストレージが組み込まれており、MCP サーバーや外部サービスとの認証を、環境変数に機密情報を直接書き込むことなく実現できます。これにより、MCP ツールは初回の実行から安全かつ信頼性の高い状態で動作します。

エンタープライズ対応の MCP ツール環境 ~ Docker Hub でビルド、管理、共有
近々、独自の MCP を Docker Hub 上でビルド、公開できるようになります。Docker Hub は 1,400 万以上のイメージと数百万人のユーザーを抱える、信頼されたコンテンツのエコシステムです。
チームは Docker Hub を通じて、認証済みのイメージ、高度なイメージ分析、ライフサイクル管理、そしてエンタープライズ向けのツールを利用しており、その信頼性の高い機能群が MCP にも拡張されます。
これにより、常に最新の MCP ツールにアクセスできるだけでなく、自分たちの MCP を安全かつ確実に配布することが可能になります。コンテナー イメージと同様に、MCP も Registry Access Management や Image Access Management といったエンタープライズ機能と連携し、開発者のワークフローをエンドツーエンドで安全かつ効率的に支援します。
まとめ
Docker MCP Catalog と Toolkit は、急成長する MCP ツールの世界に必要な「構造」「セキュリティ」「シンプルさ」をもたらします。MCP サーバーの発見、インストール、セキュリティを標準化することで、よりスマートで高性能な AI アプリケーションやエージェントの開発における障壁を取り除きます。
外部ツールとの接続、ワークフローのカスタマイズ、IDE 内での自動化の拡張など、どの用途であっても Docker なら簡単かつ安全に対応可能です。そしてこれは、ほんの始まりにすぎません。Docker は今後も MCP エコシステムの拡充とツール管理の効率化に投資し、強力な AI ツールをすべての開発チームに届けていきます。
Docker Catalog と Toolkit があれば、AI エージェントは「組み込み機能」だけに縛られません。「つなげられるすべて」が、力になります。
Docker MCP Catalog と Toolkit を使い始めるには、Docker Desktop の拡張機能メニューからアクセスしてください。または、こちらのリンクからインストールできます。
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*本記事は、Docker 社が提供している以下の記事から抜粋・転載したものです。
Docker MCP カタログとツールキットの紹介: MCP で AI エージェントを強化するシンプルで安全な方法
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