Docker Desktop 4.41 ~ Model Runner の Windows サポート追加、MacOS QEMU 仮想化オプションの非推奨

Docker Desktop 4.41 では、さまざまな新機能が登場しています!次の AI ブレークスルーを構築する方も、大規模な開発環境を管理する方も、このリリースには開発を加速し、よりスマートにコラボレーションするためのツールが満載です。

たとえば、Docker Model Runner が Windows (NVIDIA GPU acceleration に対応) に対応したことや、 Compose や Testcontainers のサポート、さらに Docker Desktop 上でモデルを管理する新機能など、AI 開発がこれまで以上に身近になります。

そのほかにも、 Visual Studio Code 用の新しい Docker DX Extension 、Mac ユーザー向けのスピード向上、 Microsoft Store 上での Docker Desktop の新しい公開場所など、よく使うワークフローにもうれしいアップデートが加わっています。

それでは、今回のアップデート内容を詳しく見ていきましょう!

Docker Model Runner が Windows、Compose、Testcontainers に対応

今回のリリースでは、Docker Model Runner が Windows ユーザーでも利用可能になり、NVIDIA GPU のサポートも追加されました。さらに、モデルの管理、プッシュ、共有がより簡単になるよう改善されており、Docker Hub への統合や、Docker Compose や Testcontainers といったおなじみのツールとの連携にも対応しています。

Docker Model Runner は、モデルの取得やランナー サービスの注入を Docker Compose プロジェクト内でオーケストレーションできるほか、Testcontainers のライブラリを通じての利用も可能です。これらのアップデートにより、既存のツールやワークフローを活用しながら、AI アプリケーションをより迅速に開発できる環境が整いました。

また、CLI を使ったモデル管理機能に加え、Docker Desktop に新しく「Models」セクションが GUI に追加されました。これにより、コンテナーやボリューム、イメージと並んで、モデルの閲覧、実行、管理を視覚的に行えるようになり、開発者にとってさらに柔軟な操作が可能になっています。

図 1 Docker Desktop からモデルを簡単に閲覧・実行・管理

開発者エクスペリエンスをさらに強化する機能として、モデルを Docker Hub に直接プッシュできるようになりました。これは、コンテナー イメージを扱うのと同様の操作で行え、モデルの保存、共有、チーム間でのコラボレーションを一貫したワークフローで実現します。

モデルが「一級のアーティファクト」として扱われることで、開発者は既存の信頼ある Docker のツールをそのまま活用しながら、モデルのバージョン管理、配布、デプロイを行えます。追加のインフラやカスタム レジストリは不要です。

docker model push <model>

また、 Docker Compose との統合により、AI アプリケーションを従来のマイクロサービスと同じ Compose ファイル内で定義、設定、実行できるようになりました。これにより、別ツールや特別な設定は不要となり、開発チームはモデルを他のサービスと同様に扱えるようになります。

図 2: Docker Compose を使ってサービス (AI モデルの実行も含む) を定義

同様に、Testcontainers との統合によって、AI モデルを対象としたテストも可能になりました。まずは Java と Go に対応しており、今後さらに多くの言語に対応予定です。これにより、開発者は Docker Model Runner を利用して、AI サービスを含むアプリケーションの実行や自動テストを行えるようになります。

特に、大規模言語モデル (Large Language Models) を活用したエンドツーエンドのテストが可能になることで、アプリケーションのロジックや統合コードの検証を自動化でき、品質の高いリリースを自信をもって行えるようになります。

String modelName = "ai/gemma3";
DockerModelRunnerContainer modelRunnerContainer = new DockerModelRunnerContainer()
       .withModel(modelName);
modelRunnerContainer.start();
 
 
OpenAiChatModel model = OpenAiChatModel.builder()
       .baseUrl(modelRunnerContainer.getOpenAIEndpoint())
       .modelName(modelName)
       .logRequests(true)
       .logResponses(true)
       .build();
 
 
String answer = model.chat("Give me a fact about Whales.");
System.out.println(answer);

Docker DX Extension in Visual Studio ~ 問題を早期に発見し、自信を持ってコードを書く

Docker DX Extension が Visual Studio Marketplace に登場しました。この拡張機能は、コンテナー開発のワークフローを効率化するために、充実した編集機能、リント (構文チェック)、脆弱性スキャンを備えています。昨年導入された Build Check を活用し、 Dockerfile に対するインライン警告やベストプラクティスの提案が得られます。

さらに、コンテナー イメージの参照に既知の脆弱性が含まれている場合には警告が表示され、開発サイクルの早い段階で問題を把握できます。

Bake ファイルに対しては、補完機能や変数ナビゲーション、Dockerfile のステージに基づくインライン提案も用意されています。複雑な Docker Compose 構成を扱う開発者には、サービスを一覧しやすいアウトライン ビューも搭載されており、構成の全体像をすばやく把握できます。

図3: Visual Studio の Docker DX Extension は、脆弱性の修正や Dockerfile 最適化に関する具体的な推奨を提供

詳しくは、ブログGitHub repo をご覧ください。まずは Docker DX をインストールして、Visual Studio Marketplace からすぐに始められます。

MacOS QEMU 仮想化オプションの非推奨について

Docker Desktop for Mac における QEMU 仮想化オプションは、2025年 7月 14日をもって非推奨となります。

新しい Apple Virtualization Framework によって、パフォーマンスや安定性、macOS のアップデートとの互換性が向上し、 Apple Silicon アーキテクチャとの連携も強化されます。

影響について

  • macOS で仮想化バックエンドとして QEMU を使用している場合、 Apple Virtualization Framework (デフォルト) または Docker VMM (ベータ) への切り替えが必要です。
  • なお、非ネイティブアーキテクチャをエミュレートするための QEMU の役割 (マルチプラットフォーム ビルド用) は今回の非推奨の対象外です。
  • マルチアーキテクチャ ビルドは今後も従来通り動作します。

詳細は、公式アナウンスをご確認ください。

Docker Desktop が Microsoft Store で提供開始

Docker Desktop が Microsoft Store からダウンロード可能になりました。Windows 向けには EXE ベースのインストーラーとして提供され、インストールやアップデート体験が大幅に向上します。企業環境での導入管理も簡素化され、 IT 管理者 にとってもメリットのある配布方法となっています。

主なメリット

開発者向け

  • 自動アップデート。Microsoft Store がアップデートを自動で処理し、常に最新の状態を維持
  • スムーズなインストール。起動時のエラーが減り、より信頼性の高いセットアップが可能
  • 一元管理。他のアプリケーションと一緒に、なじみのある UI で管理

IT 管理者向け

  • Intune MDM とのネイティブ連携による一括配布
  • Microsoft Store の企業向け配布チャネルを活用した展開管理
  • ストア アクセスが制限された環境でも 自動アップデートを実行
  • 企業向けソフトウェアと同様の更新プロセス を提供

この新しい配布手段は、 Windows ユーザー向けの Docker 利用体験の向上と、企業での管理性強化の両面をサポートする取り組みです。

まとめ

Docker Desktop 4.41 は、開発者のいる場所に寄り添い、どんな技術スタックや環境でも革新的なアプリをより簡単にビルド、テスト、リリースできるよう進化しています。

AI モデルを Docker Hub にプッシュするもよし、Docker DX Extension で問題を早期発見するもよし、Mac で高速な仮想化を体感するもよし。このアップデートは、日々の開発を強力にサポートするものばかりです。


エクセルソフトは Docker の Preferred Reseller として、Docker Desktop を販売しています。Docker 製品のライセンスや機能に関するご質問、製品デモのご要望を承っています。お問い合わせはこちらから。


*本記事は、Docker 社が提供している以下の記事から抜粋・転載したものです。

Docker デスクトップ 4.41:Docker Model Runner は、Windows、Compose、Testcontainers の統合、Microsoft Store の Docker Desktop をサポートしています

Docker の最新情報をお届けするエクセルソフトのメールニュース登録はこちら

タイトルとURLをコピーしました